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パラノイド  作者: 悠木智優
1/1

発症

初投稿で拙い作品で粗いところが目立ちますが、読んでいただけたなら幸いです。豆腐メンタルなので感想はお手柔らかにしてもらえると嬉しいです。

俺は傭兵をやっている。傭兵と言えば聞こえはいいが、本当は万屋のような物だ。傭兵にも色んな階級があるが、俺自身はいたって普通のそこらにいる底辺の傭兵。

 今回、受けた仕事は、ストラーダ事務所からだ。仕事内容は自分の事務所を襲った蜥蜴が、下水道に逃げたから代わりに始末して欲しい。という依頼でここに来た。


 怪しくて本当は受けたくなかった仕事だったが、金が急に必要になって、仕方なく依頼を受けた。報酬が良かったんでな。


 それで、蜥蜴というのはこの都市の裏側、いわば表立って活動できない裏稼業の連中の事だ。ほら、蜥蜴って汚い所とかにいるだろ? 


 奴らの中にも階級が存在していて様々な名称が存在していて、蜥蜴だけじゃなく色んな呼称があるが、それは別の機会にでも説明しよう。今は依頼の話だ。


本来ならこの仕事はそこまで手のかかる仕事では無なかったんだ。そこまで優秀でもない俺でも出来るような仕事だった。


 だが俺はよりによって最近、都市で発生している。都市が指定した。原因不明の・怪奇災害・変異偏執病(パラノイド) に巻き込まれてしまったんだ。


 今はこの依頼を受けた事を死ぬほど後悔しているよ。本当にやめておくべきだった。








 今回の仕事現場は薄暗い下水道、月明かり以外何の光も無い程に暗いそこで標的の蜥蜴供を始末していく。


「やめっ……! ガッ……!」


「こいつで最後か........。」


 そう、呟きながら最後の生き残りの男の首に、刀を首に振り下ろし首を刎ねる。そして死体から離れ、刀に付着した血を振り払う。


この依頼、かなり高額の報酬だった割にえらく簡単に事が終わったな……。


「標的の数がやけに少なかったな……。簡単すぎる。」


やっぱり嵌められたか……? 何かイレギュラーが起きる前に、撤退して依頼の完了報告をするべきだな。俺がストラーダ事務所へと向かおうとすると後方から声が聞こえる。





「い、いやだ……まだ、死にたくない…!!」


 間違い無く先程、始末した男の声がする。


「何......?」


 声がした方に視線を向けると仕事の途中で、確かに首を刎ねたはずの男の死体に首が付いていた。


「確かに首を刎ねた筈だが....?」


 男は首から血を垂れ流し、必死に腕を使って這いながら逃げようとしている。生き返ったのか.....?元気な奴だ。


「妙だな、まぁいい……。」


 俺はその男を怪しく思いながらも、仕事を終わらせる為に男へ近づいていく。


「く、くるなぁ......ッ!!」


 男は近づいて来た俺に気づき、俺に怯えながら腕を使ってセイウチのように逃げていく。


「運が悪かったな、悪いが仕事なんだ。」


「恨んでくれても別に構わない、許しを乞うつもりは無いからな。」


 そう言って男に向かってもう一度、刀を力強く振りかぶる。今度は生き返らないよう、念入りに手足を飛ばすことも忘れずに。あと、ついでに男の近くに落ちていた大型のマチェットを拾っておく。


「ひぃ……!? やめろ……やめてくれ……!!」


 そんな事を言われても困る……俺にも生活があるんだ。どんな烙印(スティグマ)を使ったのか知らんが、早く死んでくれ。厄介な事に巻き込まれる前に。


「お、おれ……に……!!」


「……?」


 なんだ......? こいつ、急に様子が変に......?


「近づくんじゃねぇェェェェエエエッッッ!!」


「なん……ッ!?」


 男がそう叫ぶと、男の身体が急激に風船の様に膨張し破裂した。辺り一面に中身が撒き散らされる。


 撒き散らされた中身は路地裏の壁を人のものでは無いような蛍光色の紫と黒に染め上げた。


「……何だ。今のは。」


 クソ....警戒はしていたが、回避が間に合わなかった.....。俺の全身にべったりと謎の液体がかかっている。


「クソッ......身体中ベトベトだ.....」


 最悪だ、こんな事ならもっと離れれば良かった。

見たこともない液体だ、さっきまでの連中からはこんなの出なかったぞ……。


 この液体のせいで、俺の身体に何が起きるか分からない、慌てて液体のかかった上着を脱ぐ。


 それにしても、こんなの初めてだ。こんな妙な液体を出す奴なんて、それこそ都市外の古墳や遺跡の怪物でもなきゃそうそういないだろうに。


「散々だったな……。」


 仕事を報告して早く帰ろう、ただでさえ怪しい依頼だというのに、見たことの無い液体までぶっかけられた。とんだ厄ネタだ。


 俺の身体にどんな影響があるかも分からない、帰りに最寄りの医院に寄らないと……。


 金欠だからこの依頼を受けたのに、治療代まで出す羽目になるとは……。何の為にこの仕事を受けたのかもいよいよ分からなくなってきたぞ、全く……。


「疲れた……。早く帰ろう。」


 帰る為に俺が表通りに繋がる道へと出ようと、背を向けた瞬間。後ろから奇妙な音がする。


「何だ....?」


 まるで溝を這いずるような音が聞こえる。その音に慌てて振り向くと、先程の男が撒き散らした液体が宙に浮いて、破裂した男の身体に集まり、ナニカの形を型取り始めた。


 ………不味い、物凄く不味い。間違い無く俺は嵌められた。俺はこの現象を知っている。


 この現象は最近、都市が怪奇災害に指定した。


 変異偏執病(パラノイド)


 と呼ばれる現象。突発的に発生するこの現象は対象の年齢、性別に関わらず発症する。発症した人間は少しの時間が経過すると肉体が変異し始める。


 肉体が変異し始めると発症者の身体を怪物へと再構成させ、発症した人物の、トラウマ・恐怖・癖・不安・などを元にした怪物へと変貌させ、様々な形の物に作り替える。


 例としては、魚や動物、悪魔のような怪物から天使、稀に無機物であるはずのピアノや車にすら変貌する。


 そして恐らくこの男が俺に対して感じていた恐怖は死への恐怖。


 都市直属の組織、シロヘビ回生医術院が開放している情報には変異偏執病(パラノイド)を発症した人物は、自分を害す可能性を全て排除するまで暴れ続け、最終的には肉体がクラスターになる者もいる。


 この変異偏執病(パラノイド)という病気は質の悪い事に変異偏執病(パラノイド)を発症した人物の血液に触れてしまうと感染してしまうのだ。


 しかもこの現象、厄介な事に治療法が現在、存在していない。もし仮に治療するとしたら身体を丸ごと全身、高級義体に取り替えるか、シロヘビのクソみたいなぼったくりの回生保険にでも入っていれば話は変わるかも知れ無いが。


 そして不味いことに、俺はこの男の血液らしきものを既に全身に被っている。この時点で間違い無く俺は感染しているという事だ。正直、物凄く慌てていて、思考が上手く回っていない。


 俺が悠長にそんな事を考えていると、男に付着した液体が男の肉体を変異させていく。


 骨格から筋肉、脳みそや神経が形成されていくと、まるでアルマジロのような姿に変貌した。


「アルマジロ……!?」


 それはアルマジロと呼ぶには余りにも気味の悪い姿をしていた。体格は4、5メートルはあり、本来なら厚い鱗に覆われているはずの身体はクラゲのように透明で、血液が流れているはずの血管は発光する紫色の液体が流れている。


 最近、G社が昔の破損した機械からサルベージした、狩猟ゲームに出てくる赤いのそっくりだ。色は全く違うが。


 俺が呟いた言葉に反応した怪物アルマジロもどきは身体を丸め始めた……。


「何だ……?」


怪物アルマジロもどきが身体を丸め終わると、血管の中の液体が強く発光し、まるで砲弾のように俺に向かって凄まじい速度で突っ込んできた。


『_______!』


「不味い———ッ!?」


 慌てて怪物アルマジロもどきの突撃を横に飛んでかわし、先程拾っておいたマチェットで切りつけておく。


「掠っただけでも即死か……。」


 アルマジロもどきの突撃はまるで空間ごと削り取ったかのように下水道の壁を抉り取っていた。


 もし仮に今のを喰らっていたとしたら、間違いなく俺は即死していただろう。


 そう思うと身体から冷や汗が出てくる、とんでもない亜空間タックルだ。空間を削り取るなんてこれが市販のゲーム作品だったら間違いなく詐欺判定だと間違いなくキレられていただろう。


 それに、突撃を避けた際に、先程拾っておいたマチェットで斬りつけたが、斬りつけたマチェットの先端から半ばまでが折れる訳でもなく、削り取られている。この化物の正体は間違い無く......。


「最近噂になっている、変異偏執病(パラノイド)か———。」


 不味いな、こいつをどうするか考えなくては。……本当なら俺はもう、こいつに関わる必要は無い。


 ……既に仕事の目的である蜥蜴達は既に始末してあるし、無理にこいつとやり合う必要は無いのだから。放っておけば俺より、もっと上の生物専門の傭兵達がコイツを始末するだろう。


 だがこの仕事を出した連中が、この化物のことを想定していない……なんていう可能性はありえない。恐らく俺は嵌められたのだ、ストラーダに。


 でもストラーダの奴がそんな事をするだろうか......? 蜥蜴共に襲撃を受けて経営が傾いてる奴がわざわざ敵を増やすような真似を......?


 奴の事務所が切迫詰まっているのは、よく知っている。ストラーダの事務所にもっと違う上の連中から、高額で依頼が来たのかもしれない。


アイツからすれば断る事の出来ない依頼だろう。報酬が良いなら尚更だ。さしずめ俺は丁度いい捨て駒か?


「こんな事を悠長に、考えている暇も無さそうだな」


 先程の突撃で俺を仕留められなかった事に気づいたのか、怪物アルマジロもどきはキョロキョロと周りを見渡している。


「俺を見失ったのか……?」


 視野が狭すぎ無いか? こいつ。放置しても良いか? こいつ。


 でもこいつを放置して、専門の傭兵が来るまでに出た被害の責任を問われ、俺が弁償する。なんて事になったらこの依頼を受けた意味が無い、本末転倒だ。


 奴らなら破壊した物の責任転嫁ぐらい平気でやるだろう。仕方がない、何とかしてこいつを仕留めなければ......。


 俺はそう心の中で決め、怪物アルマジロもどきに向かって一気に跳躍し、刀で怪物アルマジロもどきの背中を斬りつける。


「浅いな......有効打にはならなかったか。」


 斬り付けられた怪物アルマジロもどきは突然、背中に走った痛みに驚愕し、怯え、俺に背を向けて身体を丸め防御する。


『_______!!」


 幼児が頭に手を回し、身体を守るかの様に身体を丸めた怪物アルマジロもどきは、突然大きな鳴き声で、泣き叫び始めた。


 何だこいつは、先程から奇怪な行動ばかりで気味が悪い。身体を丸めて突進してきたかと思えば、斬りつけた途端に怯えて、身体を丸め、涙を流して鳴き始めた。怪物アルマジロもどきの鳴き声は奇妙な程耳障りな声で、妙に苛つく。なんなんだこいつは一体、訳が分からない、まるで子供の様で怪物とは思えないような仕草だ。


「隙だらけな背中だな……さっさと終わらせてやる。」


俺は隙だらけの怪物アルマジロもどきの背中を刀でぶった斬る為に。怪物アルマジロもどきに刀を抜いて飛びかかる。そして泣いている隙だらけの怪物アルマジロもどきの首をいともたやすく切り落とした。


「呆気なさすぎないか……?」


だが怪物アルマジロもどきの泣き声を聞いていた、俺の身体に異変が起き始めた。


初めの異変は身体中の血管に結晶が入り込み、歯車の様に回っているかのような耐えられないような痛みだった。キング・オブ・ペイン・と呼ばれている、尿路結石の様な。


「ガァァァァッッッ!?」


突然、全身に走った痛みに耐えきれず、俺は獣の様な声を上げて、地面にのたうち回る。

俺の全身に一度も体感したことの無いような痛みと共に不快感が駆け巡る。他にも岩を動かした時に岩の裏側にびっしりとくっ付いていた大量の虫を見たときのような、地面にいた、カタツムリの割れた殻の中身を見てしまった時の様な、気持ちの悪い不快な嘔吐感。


そして暫くのたうち回っていると、俺の頭の中に何か妙なものが川のように流れ込んで来る。


 《《感情の源泉・自死への欲望に対する疑問・自己の色・異界技術・科学と魔法の定義・終わりへの不信・深層心理の置き換え・烙印の日・心核の発現・他者の眼球・本性の融解・怠惰な自責・変異への熱望・返却不可の可能性・理想論の現実・幻想の発現》》


「ゴホッ……ゴホッ……ぉえぇえっ……!!」


突如、俺の頭に入り込んできた、理解不能な情報に俺の頭が拒絶反応を起こし、咳き込み、胃の中の全てを嘔吐する。


今のは一体何だ……!? 訳が分からない……、俺の頭に一体何を注ぎ込んでいる!? 感情の源泉? 心核の発現? 何だそれは……。他にも様々な物が大量に流れんで来る。


「おぇっ…ごふっ……うぐぅ…ッ!!」


俺の身体は耐えきれず、鼻から血を垂らし、口から吐血し始める。駄目だ……。これは間違いなく理解してはいけない物だ。知ってはいけないもの、俺の様な底辺の傭兵が知ってはいけない、何かなのは間違い無い......。


「クソッ……やっぱり厄ネタだったか……!!」


段々と俺の意識が薄れていく、身体は異常な発熱を起こし、汗が滝の様に流れている。

駄目だ……もう……意識が……保てな…ぃ……。


なんだ……? だれかきた……のか……?


「………ふん。」


何処からか足音が聞こえて来る。少しすると誰かが俺の横に立っているのが分かる。


「悪運の良い奴だな。」


何だ……? 今の……は…誰の……声だ……?

まずい……この…状況じゃ……ロクな…抵抗も……!


「まだ、お前に死なれては困るんだ。貴重な成功例なんでな」


何だ……身体が、浮き上がって……。もしかして…これは……。


「さっそく、私の診療所に運ぶとしようか。」


運ばれている…のか……? まずい、このままだと間違いなく俺は、良くて拷問、もしくは何かの実験体にされる……!!


「はな……せ……っ……!!」


俺が身体を動かし、俺を持ち上げた誰かに抵抗すると。その誰かは俺が抵抗した事に驚いている様子だった。


「なに……? まだ意識があるのか。」


「ますます興味深いな、早く実験したくて仕方がなくなってきたぞ……!」


クソッ……もう…いしきが……!!


「ふむ、流石にもう限界か。」


「まぁいいか、今はゆっくり休むといい。」


「おやすみ、未来の助手くん?」






























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