最終回:また明日(後編)
とてつもなく長いです。
今までと比べたら。
在夢:
「ほー、このソースの
中にこの卵を入れて
混ぜるわけですか」
ヴェル:
「それがベストだと
お祖父様とお祖母様は
言ってましたね」
日本人が外国人に
日本の料理の食べ方を
教えてもらうなんて
奇妙な光景だなぁ。
在夢:
「卵、卵…
慎重に、慎重に……
ってぇ、あーー!!」
卵の殻をどうしても
器の中に入れてしまって
苛立つ在夢さん(16)
在夢:「歳を言うなぁ!
喰らえ、卵爆弾!!」
理人:「うわわ!」
別にまだ言っても
いいんじゃない!?
なんて考えつつ、
とっさに
雅紀の袖を掴んで
そのまま僕の前へ‥
ベチャ!(うおっ!!)
見事に
雅紀の顔にヒット!
雅紀:
「てめ、
こら、黒輝ーっ!!」
在夢:「やーやー
ごめんごめーん!」
逃げながら謝る在夢さん
にはもちろん反省の色は
見えない。
キャーキャー言っている
うちに、ドアを誰かが
ノックする音が。
在夢:「ん?
はいはーい!
今出ますよ……
っておおお!!」
死界になっていた玄関に
行ったはずの在夢さんの
声が突然消えた。
理人:
「……在夢さん?」
………
返事はない。
理人:
「在夢さーん!
……あれ?」
返事がないなんて
一体どうしたんだろ。
玄関に向かってみる。
そこには‥‥
在夢:
「んーんんー!
(痛い痛いー!!)」
白石:「騒ぎすぎです。
…あら水無月理人。
あなたもいたのに
この始末?」
在夢さんの手を
後ろで組ませて、
さらに口をもう片方の手
で押さえつける人物。
白石さんだった。
白石:「ったくもう‥
世話がやける妹ね」
在夢:「え?」
?
今白石さん、在夢さんを
《妹》って‥‥
白石:
「今日はもう寝なさい。
明日は朝から体育委員
主動のラジオ体操よ」
在夢:
「あ、う、うん‥‥」
白石:
「…また明日ね、在夢」
在夢:
「…また、明日‥天海」
ガチャン、とゆっくり
ドアが閉められる。
在夢:「………」
理人:
「妹に、在夢‥‥」
在夢:「…お姉ちゃん」
白石さんが在夢さんを
妹って呼んだってことは
もう仲直りした?
いやでも…
(在夢さんを
チラリと見る。
その様子はまだ困惑
しているみたいだった)
この調子ってことは
白石さんがいきなり
仲直りしてきたってこと
なのかな?
理人:「…在夢さん?」
在夢:
「……は!
ささ、理人君、
みんなに料理全部
食べられないうちに
早く戻ろっ!」
理人:「う、うん‥」
在夢さんは僕にまだ
隠していることが
あるのか?
Ι
Ι
長かった宴会も
終わりを告げ、
消灯時間ぎりぎりまで
遊びまくった僕たちは
各々の部屋に
戻っていく。
未頼:
「じゃあまた明日ね〜」
舞風:
「明日また会うことを
楽しみにしてるぞ」
ヴェル:
「明日こそ
負けませんよっ!
次は絶対
海賊王にトップで
なりますからね」
舞風:「君は我が下僕が
ふさわしい‥」
音がしないくらい
鼻血が自然に
流れてるよ!
在夢:
「いやー、
楽しんだー楽しんだー」
未頼:
「炎ちゃんは、
私の部屋に来る?」
在夢:「それとも私?」
舞風:
「ここはあえての‥」
炎:「未頼ちゃんで」
舞風:
「そんな言い終わらない
うちに即決しなくても
いいじゃないか‥」
…舞風さんは
攻めはよくても
無視されるのは
弱いんだね。
要:「メモメモ‥」
理人:
「要っ!?
(何のために?)」
‖
そして
みんなが帰ったあと‥
直弥:
「ん、んーー…
俺たちも
そろそろ寝るか」
眠たそうに
背筋を伸ばしながら
意見を請う。
理人:「そうだね。
明日朝早くから
ラジオ体操が
あるみたいだし」
雅紀:
「そんなん
言ってたっけか?」
理人:「ううん。
執行部のサプライズ
企画だってさ」
直弥:
「それを何で
理人が知ってんだ?」
直弥の顔からは
クエスチョンマークが
絶えず出ていた。
理人:「それはさっき
玄関に白石さんが来て、
そんなことを
言ってたから」
しかし、それに納得が
まだつかないようで、
直弥:
「何であいつらの天敵の
俺たちにそんなこと
教えるんだ?」
理人:
「さ、さあ。
そこまではね‥‥」
ここはまだ直弥には
詳しく教えなくても
いいはずだよね‥
直弥:「……そうか」
…なんだろう。
まるでもう裏はわかった
ような言い方は。
直弥:
「よーし!
なら明日、
第1回目の活動は、
《ラジオ体操をいかに
素晴らしく、完璧に
表現できるか学年丸ごと
やってみよう大会》だ!!
それでは消灯!
また、明日だ」
カチッ、と
電源が落とされる。
雅紀:
「早く寝ねえとな…
羊が1ぃー匹!
羊が2ぃー匹!
羊が‥」
理人:「雅紀うるさい」
雅紀:
「理人にだけは
嫌われたくねーーっ!!」
こうして、
騒がしい1日は
終わりを迎えた……
‖
‖
‖
……はずだった。
Ι
Ι
ボォーーー!!
ガタッ、ゴゴロゴロ!!
目の前が…
よく見えない‥
お腹が締めつけられてる
感じだ。
抱えられてるみたい。
でも、誰に?
?:「…う道がねえか、
くそっ!!」
上から声がする…
首が痛くて見れない‥
?:「…弥!
向こうだ!向こうなら
まだ火の……ってない」
やっぱり何かおかしい。
どうなってるんだ?
?:
「こっちは
ヴェルを先に行かせた!
今頃旅館の外だぜ」
……雅紀?、かな。
だとしたら今近くに
いるのはきっと‥
直弥:「おい!
理人、炎、
目を覚ませ!!」
炎?
いるの?
…炎は眠っているかの
ように直弥の左脇に
抱えられていた。
理人:「え…炎‥」
直弥:
「!
気付いたか、理人」
理人:
「これは…
どうなってるの?」
要:
「平たく言えば
火事だな」
理人:
「炎は大丈夫なの?」
直弥:
「少し気絶
してるだけだ。
今すぐにでも起きる」
理人:「良かった‥」
炎が無事なら良かった‥
直弥:「すまねえな。
こんな目に
遭わしちまって」
理人:
「直弥のせいじゃないよ
、謝らないで」
雅紀:「……要」
要:「……雅紀。
どうやら思ってることは
一緒のようだな」
雅紀:「ああ……
直弥、理人と炎を連れて
先に行ってくれ」
直弥:「なっ!!
馬鹿言ってんじゃねえ!!
俺たちウィアスターズ!
いつも一緒
だったじゃねえか!」
要:「状況が違うんだ。
聞いてくれ直弥。
俺たちはお前たちを
外に出したあと、
故時や黒輝を
助けにいく。
舞風ならみんなをすでに
集めているか、
逃がしているだろう」
直弥:
「でも…
そしたらお前らが‥」
雅紀:
「行けっつってんのが
聞こえねえのかぁぁ!!」
要:
「俺たちのことは
後から考えろぉ!!
今は2人を逃がすんだ。
それが、
リーダーの役目って
ものだろうがぁ!!」
理人:「雅紀…要ぇ!!」
彼らは最後に微笑み、
強く睨んだ。
雅紀&要:
「さっさと
行けーーーっ!!」
直弥:「ち、畜生ぉぉ!!
絶対に生きろよぉ!」
ガタッ、ゴーン!!
炎に包まれた木の柱が
僕たちの上にーー!
要:「当たり前だぁ!!」
素手で
炎の柱を殴り倒す。
雅紀:
「走れ走れ走れーー!!」
炎:「ん…んんん」
理人:「炎!」
今のこの状況の
判断をしようと、
目をこすりながら
直弥の脇の中で
辺りを見渡していた。
雅紀:「ぐおおっ!!」
炎:「っ!?」
炎の目の前で雅紀が
柱の下敷きになる。
炎:「雅紀ぃぃ!!」
雅紀:
「…ち、ここまでかよ」
要:「雅紀ぃぃ!!…くっ」
要が膝をつき
咳をし始める。
もう呼吸が
ままなってない。
雅紀:
「向こうには、
楽しい…こと…が‥あんのかな」
要:
「それは…間違いだぞ…
今が、ここが1番
楽しいんだ‥」
炎:「か、要ぇ‥」
半泣き状態の炎の声は
何とも弱々しく、すでに
力を失っていた。
その時突然体がグイッと
引っ張られた。
直弥:
「炎、理人、走れ!」
炎:
「何言ってんだバカ兄!
雅紀が…要が……」
直弥:
「炎、理人と行け。
理人、炎は任せた」
直弥は簡潔に
そう言っただけだった。
理人:
「…直弥はどうするの」
直弥:「………けよ」
理人:「…?」
直弥:
「炎を連れてとっとと
行きやがれーーっ!!」
理人:「……」
返事はしなかった。
でも僕は直弥に小さく
頷き、炎の手をとる。
炎:「り、理人!?」
理人:「行くんだ、炎」
炎:「ば、馬鹿3人も
いつもみたいに一緒に
行くんだろう!」
理人:「……」
炎:
「理人!!答えてくれ!!」
無言のまま走り出す。
辺りは全部炎に包まれ、
逃げ場は完全に
なくなっていた。
理人:「……窓だっ!」
炎:
「カギを開けな…
…熱っ!!」
理人:「大丈夫、炎?
僕がやる…つっ……
よし、開いた」
それが悪かった。
たちまち火の手は外界の
空気に飲み込まれる
ように吸い寄せられ、
《バックドラフト現象》
が起きた…………
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
…
‖
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僕たちは…死んだんだ。
今まで読んでくださって
ありがとうございました
‖
‖
え、何この終わり?
とか言うかも
しれませんが、
これでいいんです。
タイトルが今のから
少し変更しますが、
(名前で判断されて
読んでもらえないため)
彼らの物語は続きます。
死んだのに?
No problem.
最初意味不明ですが
途中からわかります。
では、また明日…