最終回:また明日(中編)
《ウィアスターズ》の
次作はタイトルが少し
変わります
何時間かすると、
午前中の活動
《野山で
フィールドワーク》は
終わりを迎えていた。
いや、
迎えているはずだった。
雅紀:
「松茸ーっ!!
しめじーっ!!
榎田ーっ!!」
理人:
「いや、榎田って誰」
直弥:
「雅紀、理人、
無駄口たたいてる
暇があるなら捜すんだ!
なんとしてでも、
遭難だけは避けろ!!」
理人:
「それは
わかってるけどさ‥‥」
今、僕たちが
どういう状況に
陥っているのかというと
…それは数時間前のこと
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
先生:「えー、
君たちにはこれから
付近のマップを
書いてもらいます。
チーム編成は3人制で、
時間は午後5時まで!」
直弥:
「あいつらは俺たちに
何をさせたいんだ?
…まあいい!
よし、雅紀に理人!
俺たちでここらを
闊歩するぞぉ!!」
雅紀&理人:「おー!!」
Ι
Ι
山に入って早5分、
道に迷った……
全員が地面に手をつき、
すでに希望を
無くしつつあった。
雅紀:「……腹減ったな」
直弥:「……そうだな」
理人:「でも
食べれるものなんて‥」
辺りを見回す。
もちろん、
苔や雑草しかない。
雅紀:「……あったぜ」
直弥:「あ?、何がだ?」
雅紀:「茸」
直弥&理人:
「………」
……茸?
ふと雅紀の方を見る。
しかし、すでにそこは
蛻の空。
雅紀:「あーー‥」
まさに、
今、目の前で!
そのはじまりの原因は
始まろうとしていた!!
Ι
Ι
雅紀:「おっ!!
茸発見したぜー!!」
理人:
「だから雅紀!
ちゃんとそれが
毒茸かどうかを確認‥」
雅紀:「バクッ!
……こいつもいけるな」
すでに雅紀は
制止がきかず、
半ば暴走状態と
化していた。
直弥:
「日が暮れてきたな‥」
太陽はもう
1時間もすれば
完全に沈むだろう。
雅紀も
鎮まればいいんだけど。
直弥:「ったく!
マップの帰り道だけが
わかんねえな」
道に迷い、
食料は生えてる茸。
とても、現代人が
犯すはずのないような
ありえないミスばかり。
僕たちは無事に
帰れるんだろうか‥
そのとき!
〈ざわざわ…〉
突然前の草が
誰かによって
掻き分けられようと
していた。
動揺が…はしる。
?:
「…理人君か?
こんなところで
何をしている?」
しかし、
そこに舞い降りたのは
救いの手。
それは、
偶然通りかかった、
舞風:
「…雅紀よ。
貴様はついに原始人と
同レベルのところまで
堕ちたか」
雅紀:
「がは?(ああ?)」
直弥:
「すまねえな、舞風。
こんなところまで
呼び出しちまって」
舞風:「気にするな。
貴様だけだったら
見捨ててやろうかとも
思ったが、
理人君のことだ。
今回もまた貴様と一緒に
行動しているんだろうな
と思って来てやった」
直弥:
「…差別意識が
国家レベルくらいに
酷えな」
舞風:「冗談だ。
道に迷ったんだろう?
おおかた」
直弥:「そのとーおり」
舞風:
「世話が焼ける
リーダーだ。
ほら、理人君も
私についてこい」
理人:
「あ、ありがとう
舞風さん」
舞風:「…んか‥‥」
?
あれ、急に無言に
なってしまった。
その顔はどこか、
不満による虚しさの
顔のようにも見えた。
Ι
Ι
在夢:
「必殺!
ファイヤー
ジャグリングゥ!!」
観客:「おおーっ!!」
火が灯っている
木切れ6本を、
体を回転させながら
回している。
ヴェル:
「イッツ,
デンジャー
パフォーマンスッ!!」
どうやら、
在夢さんが何やら凄い
芸をしているらしい。
舞風:
「おっ、
また猿の曲芸を」
理人:「やっと
帰ってこれた‥‥」
直弥:
「ある意味
冒険だったな‥」
近くにあった
パイプ椅子に2人揃って
座らせてもらう。
もちろん雅紀は
そのままバーベキューに
突入。元気だねぇ。
炎:「……ん」
炎がスポーツドリンクを
紙コップにいれ、
無言に近い声で
差し出す。
…………直弥にも。
直弥:「炎……
ありがとな」
炎:
「…間違えて
入れすぎただけだ。
ほら、
こっちの表面張力が
とんでもない方が
バカ兄のやつだ」
直弥:
「それでも、
ありがとな、炎」
炎:「……」
少し赤面するが、
隠そうとはしなかった。
炎:
「あっちで馬鹿2人が
また馬鹿なことしてる
から見に行こう、理人」
理人:「うん、いいよ」
そして、直弥をおいて
2人のもとへ向かう。
直弥:
「……
(炎もようやく
ここまで来れたか。
明日が楽しみだぜ)」
理人:
「…直弥が
不自然に笑ってるね」
炎:「ああ、あれは‥」
《不敵な笑み》。
炎曰わく、
馬鹿馬鹿しいことを
考えついたときに
見せる怪しい笑顔。
でも今日見たあの顔は、
僕たちを優しく見守る
まるで、
お兄さんのような‥‥
こんなの、
直弥の目の前じゃ
恥ずかしくて
言えないけどね。
在夢:「こーれで!
フィニッシュゥ〜!!」
Ι
Ι
旅館
直弥:
「カタカタ
カタ、カタカタ‥‥」
物凄いスピードで
旅館から借りた
パソコンで何やら
データを集計していた。
理人:
「直弥ー!
ご飯が来たよー!」
この旅館は中々
サービスがよく、
出前感覚でご飯が部屋に
届けてくれる。
直弥:「…ああ、
先に他の奴らと
食べててくれ」
理人:
「直弥も早く来てね」
直弥:「おうっ!」
直弥が1人だけいる
部屋をあとにする。
ああ、何て静かな
部屋だったか。
ここで僕が振り返れば
きっとそこには‥‥
在夢:
「理人君バーン!!」
勢いよく顔面に
枕が投げられる。
そう、今この部屋には
ウィアスターズの
メンバーが総集結
していた。
そして始まったのが
この枕投げ。
ちなみに直弥が別室に
移動したのは被害を
避けるためである。
未頼:
「お〜!!
鯛のお頭だ〜!
マグロの刺身だ〜!
ウナギのくジッ!!、
痛い〜〜!!」
未頼さんが料理に夢中に
なっている間に
舞風さんが
未頼さんの顔を枕で
クリティカルヒット!!
舞風:
「まだまだだな、
未頼君も。
そんなことではとても
王家七○海には
入れないぞ?」
未頼:「いいもん!
別に王家七○海に
入れなくたって!」
舞風:「そうかな?
もし七○海に入れたら、
金銀財宝が手に入るぞ」
未頼:
「クッキーと
誰かを想う気持ちが
あればそんなの
要らないよ〜」
舞風:「なっ!
くっ、これでは私は
ただの金に目を眩んだ
愚かな女ではないか」
そんなこんなで
ワイワイガヤガヤと
していると、
1枚の長い紙を持った
直弥がちょうど部屋に
戻ってきた
ところだった。
直弥:
「ふー、やっと
中間成績の発表だ」
理人:
「成績って何の?」
要:「……あぁ!
《イデアルランキング》
のことか?」
直弥:
「そうそうそれそれ」
《イデアルランキング》
昼夜問わず行われた
校内バトルランキング。
あれ結構
楽しかったなあ。
雅紀の武器が
豆腐のときなんて、
自ら武器破壊したもん。
直弥:
「熾烈な闘いのすえ、
ランキングは
こうなった!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1:舞風紫苑
[化け物]
2:崋崎直弥
[ロス、ロリ疑惑]
3:水無月理人
[選びどころが
かなり無難]
4:宮島要
[《今、彼はきっと…》
で台湾にいそう]
5:崋崎炎
[小動物>人類
理論唯一の支持者]
6:故時未頼
[精一杯の
オウンゴール]
7:黒輝在夢
[全日本奇人
選手権優勝候補]
8:北神ヴェルロッサ
[お茶と間違えて
白醤油を飲む]
9:磯貝雅紀
[不思議と憎めない男]
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
理人:
「こう見ると、
色々あったね〜」
在夢:「結局雅紀君は
最弱の最下位ですね」
雅紀:
「何故だぁぁーーっ!!」
直弥:「何で俺のだけ
勝手も負けても
ずっと一緒なんだよ!?」
舞風:「まあ妥当だな」
要:「己の過去を
振り返ってみろ」
炎:「……私以外にも
支持者はいるだろ?」
ヴェル:「皆さん皆さん!
夕食が冷えちゃいます
から早く食べましょう」