最終回:また明日(前編)
今日の
天気は快晴だった。
暑いというわけでもなく
寒いというわけでもなく
在夢:「絶好調だねぇ!!」
うーん!、と腕を
青空に伸ばして
気持ちよさそうに
海を眺めていた。
‖
この場所につく
数時間前のこと‥
先生:
「よし、全員出席と。
みんなはバスの中に
入った入った!」
直弥:「よし、乗るか」
バスに乗る列の先頭に
素早く並ぶ。
理人:
「ボソッ…
直弥、炎は
どこにいるの?」
直弥:
「ま、バスに乗ってから
のお楽しみだ」
理人:「……」
そして僕たちは
バスの最後列に。
直弥:「要や舞風も
こっちに来れたら
よかったんだけどな」
理人:「確かにね」
みんなが揃ったら
どんなに派手な騒ぎが
起こることだろうか。
ヴェル:
「在夢さんなら
《やっほー
来ちゃいましたぁ》
とか言いながら
来そうですけどね」
ヴェルが
微笑を浮かべる。
?:「ほらほらぁ、
どいたどいたぁぁ!」
すると突然、
どこか焦りながら
バスの通路を無理やり
通ろうとする
その声の持ち主は
目の前に現れた。
在夢:
「やっほー、
来ちゃいましたぁ」
ヴェル:
「……私、実は
エスパーでしたか?」
理人:
「僕たちみんなが
エスパーだと思うよ」
すると、
今度は違う声が。
白石:「こら!
黒輝在夢、待ちなさい」
在夢:
「しつこいなぁもう」
白石:
「あなたは
2号車でしょ。
即刻戻りなさい」
在夢:「べー、だ!
私はショベルカーでも
ここを動くつもりは
ないですよ!」
あかんべーしながら
白石さんに挑発する
その行動に、
白石さんも諦めがついた
のか、そそくさと
その場を離れていく。
白石:「はぁ…
もういいわ。
好きにしてちょうだい」
そして彼女は
やれやれといったように
下車した。
在夢:「やったー!!
勝ったぞー!!」
炎:「やるな《騒音》」
在夢:「え!?
今どこから私の称号を
呼ぶ声が!?」
炎:「ここだ、ここ」
在夢:「どこだ、どこ」
僕も辺りを見回すが
どうしても
視界に入らない。
炎:
「だーかーらー、
ここっ!!」
炎は、直弥がずっと
抱えていた巨大な鞄から
頭だけを覗かせていた。
在夢:
「ぎゃぁぁーーあっ!!」
そりゃ驚くよね。
何で直弥が
荷物入れの中に
この鞄を入れなかった
のかわかったよ。
ヒュー……ガツンッ!!
どうやらバスの屋根に
よからぬ何かが
降ってきたみたいだ。
Ι
Ι
要:「俺参上ーーっ!!」
舞風:
「退屈しのぎに
来てやったぞ」
その突然の来訪者は、
進行方向
向かって右に要。
左に舞風さんだった。
理人:「……」
もちろん、彼らは
バスの上に来たわけで、
窓の枠に顔を
ひょっこり
覗かせる形だった。
要&舞風:「よっと!」
そして2人は
ずば抜けた運動神経で
そのままバスへ。
理人:
「ちょ、ちょっと!?」
要:「問題ない。
置き手紙がある」
舞風:「私もだ」
理人:
「それでもねぇ‥」
要:
「こんな文章を
書いたんだ。
問題はなくまい」
それは
なんとも達筆な字で、
高校生が書いたものとは
到底思えない
ほどだった。
理人:
「いやでも……って、
手紙手の中!!」
そう、要が僕に
見せた文章はその元、
まさに置いてきたはずの
手紙だった。
要:「ん……」
しばらくの沈黙‥‥
要:「……雅紀ぃぃ!!
貴様ぁぁーーっ!!」
雅紀:「ああーーっ!?」
いきなり乱闘を
始めだす2人。
今回ばかりは雅紀
理不尽だよね。
舞風:
「直弥よ、
炎君はどこだ。
来ているのだろう?」
直弥:「よく気づいたな」
炎:「私ならここだ」
ひょっこりとまた
頭だけを覗かせた。
舞風:「うわぁっ!!
お前は軟体人間か!」
別にそういうわけ
じゃないんだけどな‥、
と少し気落ちしながら
頭をまた鞄に戻す
炎であった。
Ι
Ι
そして話は
今に遡るわけである。
在夢:「ああ〜
早く泳ぎだいなぁ」
舞風:「三途の川を
泳がせてやろうか」
在夢:
「遠慮しておきます‥」
顔が引きつっている。
話の受け手にしか
わからないような
殺気でも
感じたのだろうか。
雅紀:「要っ!
水平線まで
耐久レースしようぜ」
また無茶なことを。
要:「よし、やるか!
と、言いたいところだが
先に俺は
クラスの仕事を
片づけないと
いけないからな」
雅紀:「ちぇっ……
理人っ!
俺と耐久‥」
直弥:
「雅紀、残念だが。
しばらくは俺たちも
クラスの仕事に
尽くさないといけねえ
みたいだからな。
(ここで雅紀の服の襟を
掴んでクラスのところへ
連れていこうとする)
…ウィアスターズ
行動開始は、
キャンプ
ファイヤーからだっ!」
雅紀:「おーし!
ならちゃっちゃと
終わらせてやるぜー!!」
物凄い勢いで
クラスの級友のもとへ
走っていき、
薪割りをこなしていく。
このまま放っておいたら
勝手にやって、
終わらせて
しまうんだろうか…
などという
妄想を横目に、
炎は終始戸惑っている
様子だった。
理人:「炎?
僕たちのクラスに来る?
炎なら他のみんなも
知ってるし喜んで歓迎
してくれるよ?」
炎:「うぅ……
わかった、行く」
自信なさげな返事に
少し不安を抱いたけど、
それは炎の抱えている
不安よりもずっと小さい
ことだとわかってた。
少しでも炎の不安を
和らげるためにと、
笑顔をつくってみせる。
炎もそれで
自信がついたのか、
少し微笑んでくれた。