第36話:また歩むから
男子生徒:「じゃあ
カツ丼1つとお茶!」
理人:「えーと…
どうすれば‥‥」
舞風:
「まあ見ているがいい、
理人君。
……はあ!!」
気合いを込めた瞬間、
すでに舞風さんは
お盆にカツ丼とお茶を
のせて席の前まで
着いていた。
舞風:「注文の品だ。
間違いないな?」
男子生徒:
「おお…
やっぱ簡単すぎたな。
ほらよ、お金」
舞風:
「確かに受け取ったぞ」
そして戻ってくる。
舞風:「ざっと
こんなものだろう」
理人:
「よくわかったよ、
ありがとう舞風さん」
直弥:「さあ、
どんどんこい!
ウィアスターズの力、
見せてやろうぜ!!」
Ι
Ι
未頼:「は〜い、
注文のラーメンで……
…っわわ〜!!」
未頼さんは目の前で
お盆を宙に
舞い上げながら転倒する
体勢になって‥‥
在夢:「どっか〜ん!!」
理人:
「いやいや、おかしい
ってその効果音」
舞風:「どちらかというと
どんがらがっしゃーん!!
だな」
未頼:
「うう、誰も助けて
くれない〜(泣)」
要:「甘えるなぁ!!」
未頼:「ほえ!?」
突然現れては怒鳴る要。
要:「故時。
こんなことで挫けるなら
お前は
そこまでの人間だ。
しっかりしろ」
未頼:「あぁ…うん」
半ば無理やり納得
させられてるような‥
要:「そんなことでは、
お前は強くなれない。
力をつけろ、
己自身に打ち勝て!」
未頼:「お、おお!」
要:「ようし!
故時、俺についてこい!
目指すは、地平線の果て
までだーーっ!!」
未頼:「おお〜!!」
理人:「ちょっと!
未頼さん、要?」
2人は
僕の制止を振り切り
食堂から駆け出して
いってしまった。
炎:「未頼ちゃんと
馬鹿が情熱に
燃えているぞ‥」
理人:「なんていうか…
流されやすいね」
Ι
Ι
女子生徒:
「すみませーん。
ビビンバ3つと」
男子生徒:
「餃子を2セット、
あとお茶は2つで
カルピス5つ。
デザートに
トリプル
アイスクリームの
〈バニラ、
チョコ、抹茶〉と
〈ミント、
ストロベリー、
ブルーベリー〉を
1つずつ頼む!」
ヴェル:「ええー!?」
直弥:「こいつはまた
強敵だな」
ていうかむこうも
無理承知で
頼んでるよね‥
ヴェル:
「ご、ご注文の方
繰り返させて
いただきますっ!
…………
…ビビンバ丼を2つ?」
直弥:「聞き返すなよ」
雅紀:「ヴェル公……
こうなったらもう
黙っちゃいられねえ!
ヴェル公、
こいつを使うんだ!」
そう言うと雅紀は
手のひらサイズの何かを
ヴェルに手渡した。
ヴェル:
「磯貝さん、
ありがとう
ございますっ!
……ところでこれは?」
雅紀:「俺特製の、
《マッスル
クランパー》だぜ」
ヴェル:
「マッスル
クランパー?」
雅紀:「何か技の名前で
あったら使いたくね?」
雅紀らしいといえば
雅紀らしいけど、
マッスルクランパー……
マッスルは筋肉だとして
クランパー……
クランプは《つる》って
意味だから………
理人:「あー、雅紀?」
雅紀:「どうした理人」
理人:「その材料って
何を使ってるの?」
雅紀:「材料?、さあ」
理人:「さあ!?」
雅紀:
「スクワットしながら
思いついたからな〜
材料は一切不明だな」
理人:「…まさか
その名前って‥‥」
雅紀:「わかんねえ」
理人:「その効果も?」
雅紀:「わかんねえな」
ヴェル:
「せっかくですから
代用してみましょう」
理人:「ちょ、
待ったヴェ‥」
ヴェル:「これ、
ウィアスターズ特製の
《マッスルクランパー》
ですっ。
良かったら
飲んでください!」
男子生徒:
「お、いいのか?
なら遠慮なく‥‥」
理人:「待ったーっ!!」
…ゴクゴクゴク。
……………
男子生徒:
「………おわっ!!」
みるみるうちに
あれを飲んだ名も知らぬ
生徒の顔は
青ざめていって‥‥
男子生徒:
「……ワダッ」
!!!!
ワダッ!?
何故急にそんなことを?
直弥:
「ん、おい雅紀。
俺がそこに後で使う
つもりだった仮面
知らないか?」
雅紀:「仮面?
あの《ウダッ》とか
いうやつのことか?」
直弥:
「いやそれじゃなくて
つけたら《ワダッ》って
いうやつ」
理人:「……まさか」
男子生徒:「ワダッ」
で、でも
仮面はつけてないし
暴走もしてない。
直弥の仮面は並大抵の人
なんかの精神力じゃ
もたないはず‥‥
直弥:「…なんだ、
テーブルの
下に転がってたのか。
……ん?
羽根が少し
千切れてるな」
理人:「……」
雅紀:「………あ」
あ!?
今なんか雅紀
思い出したよねぇ!?
男子生徒:
「……ウグッ。
…な、何だったんだ
あの言葉に
出来ないような
凄まじい気持ち悪さは」
雅紀:「どうやら
改良が必要みてえだな」
理人:
「もう作らなくて
いいからねっ!?」
男子生徒:
「き、気持ち悪い…
さっきの注文
やっぱパスで」
直弥:
「なんか知らねえけど
一件落着!!」
Ι
Ι
直弥:「さてお前ら。
さっきのやつの利益を
言うぞ。
……理人が1100円、
黒輝とヴェルが700円、
炎が600円、
舞風が1800円、
要が800円、
未頼が300円、
俺が2400円で
計8400円だ」
在夢:「おお、
1日の昼休みで
その金額は凄いねぇ。
ていうかなんで
兄貴と姉貴だけそんなに
稼いでんですかぁ?」
直弥:「天性の才能」
舞風:
「あいつら
Mっ気が異常」
理人:「いやいや、
Mっ気ってなにさ」
舞風:
「なに、彼らは
変なプレイが
好きみたいでな。
私は仕方なく
Sにまわっただけだよ」
理人:
「まわらないでよ‥」
直弥:「おい俺スルーか」
在夢:「オオ、アニキ
テンセイノサイノウッテ
ナンデスカ?」
直弥:「そこまでして
普通に聞きたくねえか!
そうかよ、無理やり
言わなくていいよ!」
在夢:
「でねー未頼ちゃん‥」
直弥:
「…………(泣)
(ネガティブモード
発動中)」