第24話:在りし夢
とにかく、
学校に到着した僕たち。
理人:「本当に缶蹴り
するの?」
要:「怖いか?」
理人:「そ、そんなん
じゃないけど‥」
直弥:「よし、じゃあ
ジュース買ってくる」
理人:「今から行くの?」
直弥:「さっき決めた
ばっかでまだ何も準備
してなかったからな」
そう言い残すと直弥は
暗闇に消えていった。
炎:「……」
ヴェル:「……」
舞風:「2人共どうした?」
炎:「…しゅ、宿題
忘れてたから今日は
もう帰る」
ヴェル:「わ、私も‥」
そう言うと炎とヴェルは
向きを変えて駆け出そう
としていた。
舞風:「逃げるのは
許さないぞ?」
2人の進路を遮る。
舞風:「ヴェル君。
君はまだここに来た
ばかりで宿題も何も
出てないだろ?」
ヴェル:「う‥‥」
炎:「でも私はあるぞ!」
舞風:「代わりに私が
やっておこう。
それで文句はないだろう?」
炎:「むう‥‥」
直弥:「おい、
買ってきたぞ」
それを要に投げた。
要:「俺が飲むのか?」
直弥:「俺は今から他に
準備をしてくる。
飲むくらいいけるだろ?」
要:「まあ構わんが」
直弥:「理人、舞風。
炎と北神を逃がすなよ」
理人:「あ、うん。
わかった」
舞風:「容易いことだ」
直弥:「じゃあ、しばらく
待ってろよ」
30分後
直弥:「よし、鬼を
決めよう」
舞風:「私がやろう」
直弥:「やりたいのか?」
舞風:「鬼になれば
理人君や炎君やヴェル君
を……ふふふ」
炎:「バカ兄!
舞風にはやらせるな!」
直弥:「まあ、そうだな。
舞風にやらせたら全滅
確定的だからな」
舞風:「釣れないなぁ‥」
直弥:「公平にじゃんけん
で決めよう」
舞風:「私が除かれている
時点ですでに公平では
ないだろう」
直弥:「今回だけだからさ。
許してくれよ」
舞風:「…ちっ」
理人:「(怖っ!)」
直弥:「ああそれと、
雅紀のことだけどな。
さっき起こしてきたから
参加してることを
忘れるなよ」
要:「雅紀も参加か、
腕がなるな。
…よし、始めよう!」
直弥:「じゃーんけーん、
ほいっ!」
僕の1人負けだった。
直弥:「じゃあ鬼は
理人な。制限時間は
あの時計が11時を
まわるまでだ。
それでは、始まりだぁ!」
みんなが一斉に逃げる。
ああ、なんか虚しいな‥
只今の時刻、10時
校舎に入ってみると、
小さな箱と手紙が
置いてあった。
理人:「直弥からだ…
《理人。
ここに発信機と非常事態
用に通信機を置いておく。
逃げているやつは全員、
受信機を付けていて、
発信機が近くに来ると
音を出すように
なっている。
俺たちの移動可能範囲は
この校舎の1階と2階、
それに4階だ。
3階には近づくな。
誰かいるかも
しれないからな。
通信機は多分使わない
だろうが、もし必要な
時は連絡する。
では、グッドラック!》」
理人:「3階以外か。
よしっ!」
缶の位置は2階の中央
フロアにある。
ここは4方向から入る
ことができるから注意
しないと。
そういえば直弥が色々
仕掛けたみたいだけど、
何なんだろう?
そんなことを考えながら
2階を捜索していると、
ゴミ箱の陰から何かが
顔を覗かせている。
理人:「…誰だろう?
…炎?、要?、ヴェ‥」
突然その陰がドキリと
慌てふためくように
見えた。
理人:「(ヴェルだな‥
近づいたら驚く
だろうな〜)」
一歩、また一歩と近づく。
するとゴミ箱の方から
勢い
よく、ビビビビビ、と音が鳴り響く。
ヴェル:「ひゃっ!」
理人:「北神
ヴェルロッサ、
見〜つけた」
缶の場所に走り出す。
ヴェル:「ま、待って
くださいっ!」
理人:「缶蹴っちゃうよ」
ヴェル:「名前が短い
ですよ、それじゃあ」
理人:「短い?」
ヴェル:「私のフルネーム
は確か……
《ヴェルロッサ=F=
アルバローザ…》」
理人:「無理無理!
長すぎるよ!」
ヴェル:「これがルール
なんですから守って
ください、リヒト」
理人:「いきなり
呼び捨て!?」
ヴェル:「炎さんが
呼び捨てでいいと
おっしゃっていました」
理人:「あ、炎が‥」
あまりの名前の長さに
半ばヴェルを捕まえる
のを諦めかけた。
その時だった。
カンッ…
缶が蹴られた音がした。
舞風:「缶は蹴らせて
もらったぞ。
また頑張ってくれ」
缶はあっけなく
蹴られてしまった。
どんな感じで
ヴェルが直弥たちに
ついていったのか‥
直弥:「炎!
こいつらのこと
ちゃんと世話しろよ?」
炎:「当たり前だ。
…さあ、行くぞ
マイ、ミラ、ナメ、
その他もろもろの猫さん
たちよ」
直弥:「お前がつける
名前ってやっぱり‥」
炎:「よーしよしよし
……よし?」
要:「どうしたんだ、
急に立ち止まって、炎?」
炎:「なんか…いる」
直弥:「いる?
何が‥‥」
そこには小さな少女が
1人、猫の中に
紛れ込んでいた。
舞風:「これは‥‥
なかなか‥」
直弥:「おい、誰だ
お嬢ちゃんは?」
要:「直弥‥」
要が直弥の肩に手をやる。
直弥:「何だよ‥」
要:「しらばくれても
もう遅いぞ」
直弥:「…は?」
炎:「…道を正せなかった
私に原因があるのか‥‥」
舞風:「炎君、
それは違うぞ。
彼は自らの意思で
こうなったんだ。
君のせいではない」
未頼:「そうだよ、
炎ちゃん!
問題は直弥さんに
あるんだよ。
だから落ち込まないで?」
直弥:「……お前ら、
いつも俺をそんな目で
見ていたのか?」
他:「うん!」
直弥:「……(泣)」
ヴェル:「あの〜
道に迷ったので
聞きにきただけ
なんですけど‥」
直弥:「グスッ…道?」
ヴェル:「はい。
この近くに引っ越して
来たばかりなので」
直弥:「…なら、
俺たちと一緒に来ないか?」
ヴェル:「へ?」
直弥:「楽しいやつらが
待っているぜ」
舞風:「ああ、本当に
楽しくなりそうだ‥」
ヴェル:「いいんですか?」
直弥:「俺たちにそんな
遠慮はなしだ。
一緒に遊ぼうぜ?」
っていう具合です。
発言内容が危なっかしい
人がいましたけど‥




