第22話:無くした形見
在夢の一人称は
私だったり、
あたしだったりします。
気まぐれです
理人:「あ、って……」
直弥:「わりぃ。
忘れちまった!」
理人:「いやいや!
忘れ物したみたいに
言わないでよ!」
要:「雅紀も、白石に
捕まったとなれば、
もう駄目だな。
だから、ボケは俺が
掛け持ちしよう」
理人:「さりげに雅紀の
ポジションとらないでよ!
雅紀が帰ってこれなく
なるよ!」
炎:「あいつがいなくても
成り立つんじゃないか?」
要:「それに、雅紀の
ポジションは馬鹿担当
だったということを
忘れたのか?」
理人:「……
…ひ、ひとまず!
僕は雅紀を助けに
行ってくるよ」
舞風:「やめておけ、
理人君。
あの白石君に捕まった
となれば、もう駄目だ」
理人:「なら、雅紀と
一緒に謝ってくるよ。
白石さんもそこまで鬼
じゃないだろうし」
直弥:「いや、鬼だな」
要:「甘く見ない方が
賢明だな」
理人:「でも雅紀を‥」
在夢:「…あれ、あれ?」
突然在夢が騒ぎだす。
在夢:「ない」
未頼:「どうしたの〜
在夢ちゃん?」
在夢:「ちょっとね…
さっき落として
きちゃったかな?」
理人:「どうしたの、
在夢さん?」
在夢:「いや〜
ちょっと落とし物をね。
だから、私もついて
いっていいかな?」
理人:「白石さんに
見つかったらただじゃ
きっとすまないよ、
在夢さんは」
在夢:「何さその、
《在夢さんは》って!
まるで私がいつも
何かやらかしてるみたい
に聞こえるよ!」
要:「事実だろうが」
炎:「なんならついでに
捕まってこい」
在夢:「う〜…
のけ者みたいに感じた‥」
理人:「さ、さあ行こ!
教室に」
在夢:「うん、それは
いいんだけどさ‥‥」
在夢が下を指差す。
僕もついで下を見る。
在夢:「私たちさっきから
木の上だよ…
どうやって降りるの?」
理人たちは窓から逃げた
が、高さが高さなので、
近くの木に全員が
散らばって乗っていた。
直弥:「何だ、
そんなことか」
理人:「解決策があるの?」
直弥:「理人。
これは小説だぜ?
これから何が起こるか
俺が喋り出した時点で
もう大方予想はついてる
だろ?」
在夢:「あ、まさかっ!」
理人:「ちょ、直弥!
それはだ…め‥」
突然目の前が暗くなった、
と思ったら、僕たちは
もう地面の上にいた。
在夢:「あちゃ〜
やっちゃったね〜」
直弥:「別にいいだろ。
というかお前誰だ?」
在夢:「ん〜?
というかあんたこそ誰?」
おかしい…そう僕は
思った。
なぜなら、校内で2人を
知らない人はまずいない。なのに何故この
2人は共にその相手の
ことを知らないの
だろうか‥‥
在夢:「と、理人君は
考えたのであった〜」
理人:「いやいや、
勝手に想像しないでよ。
ほら、行こ」
直弥:「じゃあ理人。
俺たちは部屋に戻ってる
からな」
理人:「うん、わかった」
教室
理人:「…大丈夫かな。
ガラガラガラ‥」
教室には白石さんは
いなく、雅紀が壁に
もたれかかっていただけ
だった。
理人:「在夢さんは
忘れ物を探しておいて」
在夢:「おっけ〜!」
理人:「雅紀…
雅紀!…起きて」
雅紀:「う、う‥‥」
理人:「雅紀っ!
大丈夫?」
雅紀:「う、宇田‥‥」
あ〜、駄目だこりゃ。
何かの後遺症みたいに
なってる‥
理人:「忘れ物
見つかった?」
在夢:「う〜ん、
だ〜め〜だ〜!
ない〜!」
理人:「そもそも何を
忘れたの?」
在夢:「お守りみたいな
ものかな〜」
理人:「…白石さんが
持っていっちゃったの
かもね」
在夢:「あ〜、かもね〜
じゃあ、行ってくるよ」
理人:「え!
危ないよ、本当に
捕まっちゃうよ?」
在夢:「じゃあ理人君も
一緒に来てくれる?」
理人:「え、僕も?」
在夢:「来てくれないの?」
理人:「あ、や、その…
…い、行くよ」
在夢:「悪いね〜。
なんか無理やりきて
もらっちゃったみたいで」
理人:「はは‥
(違うの?)」
生徒会執行部室前
在夢:「お、重々しい‥」
理人:「さ、入ろう」
在夢:「う、うん‥」
中には執行部員らしき
人が1人だけいた。
理人:「あ、あの〜」
白石:「ん、捕まりに
きたの?
こんなところに来る
なんて」
在夢:「え〜とね〜
何か拾ったものある?」
白石:「……ないわよ。
用はそれだけ?
なら、今日のところは
勘弁してあげるから
もう帰りなさい」
理人:「お咎めは‥」
白石:「今日だけ勘弁
してあげるから」
理人:「あ、ありがとう
ございます‥‥」