第21話:宇田修羅頭
窓枠には2つの影。
そしてその正体は‥
理人:「直弥!
それに炎!」
炎:「それにとは何だ。
それにとは」
直弥:「待たせたな、理人。
帰ってきたぜ」
理人:「……あれ?
明日まで戻らないん
じゃなかったの?」
直弥:「それがよ。
お前らの写真見てたら、
早く遊びたくて
しょうがなかったんだ。
だから帰ってきた」
要:「お前が行っていた
ところは愛知では
なかったのか?」
直弥:「ああ、そうだぜ」
要:「速すぎないか?」
直弥:「何が」
要:「移動速度がだ」
直弥:「ふっ、
そんなことか。
なら答えは簡単だ。
理人に早く
会いたかったからだ」
理人:「いや、
全然簡単じゃないから!
答えになってないから!」
炎:「まあ、理人も要も
落ちつけ」
要:「ん、直弥の肩をもつ
と言うのか、炎?」
炎:「そうじゃない。
けど‥‥‥」
理人:「炎?‥」
?:「にゃー、ぎにゃー」
何かの鳴き声が窓の
外から聞こえてくる。
要:「にゃー?
……そういうことか、炎」
理人:「え、何が?」
直弥:「理人、そういう
ことはお前にはまだ早い」
要:「直弥。
お前は実の妹を買収
するという
最低なことをした」
直弥:「そんなことを
言われるために俺は
帰ってきたんじゃねえぜ」
炎:「落ちつけ、要」
要:「炎。お前もお前だ。
そんな安いことにぃぃ!‥‥‥しまった」
舞風がごぼうを要の
わき腹に突き刺していた。
舞風:「油断は禁物だぞ、
要。まさか、話し中に
攻撃されるとは思って
なかったわけでは
ないだろう?」
要:「ぐっ……バタッ」
直弥:「お、何だこりゃ」
舞風:「理人君争奪戦
だ。勝てば理人君と一緒
に帰れる権利を有する
ことができる‥」
直弥:「何!
なら俺たちも参加
させてもらうぜ」
炎:「私はしないっ!」
直弥:「そういうなよ。
理人と一緒に
帰れるんだぜ?」
炎:「いらん!そんなの」
直弥:「じゃあ+猫だ」
炎:「やろう」
理人:「いやいやいや。
何その理由‥」
直弥:「来るぞ来るぞ!
俺の中に眠りし存在、
《宇田》がぁぁ!!」
在夢:「おー!
やっぱり《宇田修羅頭》
だったんだね〜!」
理人:「違うからね」
在夢:「おー、
鋭いツッコミ〜」
直弥…宇田マスク
炎…のちに、
一石二鳥という
ことわざを生み出した
という伝説の駐車場の石
再開!
直弥:「しばらくこの姿
とはおさらばだ……
…!!」
直弥がマスクを顔に
近づけた瞬間、周りの
空間が崩壊しそうな
くらいの覇気を僕は
感じた‥‥
未頼:「うわーっ!!
な、直弥さんが、
直弥さんが〜!」
ムトトンムトトン、
ムトトンムトトン、
タタ〜!
豪快な音楽が教室に
満ちていく。
宇田:「ウダ〜!」
すでにそれは直弥の
面影を残して
いなかった。
未頼:「怖い怖い怖い怖い怖い怖い〜!!」
未頼が殺菌スプレーを
宇田に向けて噴射する。
宇田:「ウダ?
…効かなウダ〜」
未頼:「ほわわわわ〜‥‥」
理人:「未頼さん!」
未頼が、衝撃的な
あまりに、倒れて
しまった。
舞風:「未頼君!
…なかなか、やりがいが
ありそうだな‥」
宇田:「我を倒せウダダ?」
炎:「おーりゃあ!!」
炎があの石を投げる。
舞風:「むっ!
しかし、あまいっ!
……ボキッ」
ごぼうが根元から折れる。
そして、石は
跳ね返され、
宇田に向かう。
宇田:「…ウ?
ダッ!!」
宇田の反応は追いつかず
、面に当たる。
宇田:「ウッ…
…り、理人‥」
宇田が倒れた衝撃で、
マスクは割れ、
正真正銘の直弥がその顔
を見せる。
直弥:「宇田のパワーを
もってしても、理人には
勝てなかったか」
理人:「あっ、
投げたの炎ね」
直弥:「そうだったな…
…舞風、今回は炎の勝ち
でいいな?」
舞風:「そうだな。
権利は炎君に譲ろう」
炎:「いや、権利は
いらないから猫」
理人:「そうだよね‥」
炎:「…でも、一緒に
帰ってやってもいい」
理人:「え?」
予想だにしなかった言葉
を聞いた気がする。
理人:「今何て‥」
要:「理人。
そういうことはあまり
聞き直さないものだぞ」
要がよろけながらも
立ち上がる。
直弥:「そうだぜ。
……よし、みんなで
帰るぞ!」
理人:「え、結局
みんなでなの?」
直弥:「理人は俺たちと
帰るのが不満か?」
理人:「そ、そんなこと
はないけど‥」
直弥:「なら早く出よう。
時間的にそろそろ
やばいぞ」
理人:「やばい?」
直弥が廊下の方を
素早く見る。
直弥:「白石だよ‥」
舞風:「ここで捕まるのは
確かにやばいな」
理人:「窓からなら
逃げれるかな?」
直弥:「グッドアイデアだ
、理人。
よし、行くぞ」
炎:「待て、まだ
み、み、未頼ちゃん…が
残っている!」
要:「俺に任せろ」
そういうと要は軽々と
未頼さんを持ち上げた。
直弥:「時間がない。
急ぐぞ!」
ぞくぞくと教室から
脱出する。
白石:「ん、鍵が開いてる
……こらっ!」
在夢:「わっ!
き、来たっ!」
白石:「待ちなさい!
黒輝在夢!」
在夢:「じゃ、じゃあね〜」
白石:「ったく…
ん、これは‥」
外
理人:「あれ?
雅紀は?」
直弥:「ん、……あ」