第15話:自然に笑えばいい
ちょっと長いです
理人:「任せてよ」
次の日
理人:「舞風さん
どこにいるのかな?」
廊下をひたすらに僕は
歩いていた。
要の言う分には、
舞風さんは毎日
多忙らしい。
だから、廊下を歩いて
いればいつか会える
だろうという考えだ。
理人:「舞風さんの教室ってそういえば
どこ……あ、いた!」
舞風さんは廊下の右から左をとんでもない
速さで走っていた。
いや、多忙にもほどが
あるでしょ、あれは。
理人:「ちょ、
ちょっと待ってください
舞風さん!」
舞風:「ん?
ああ、昨日の少年…
…理人君だったか?」
理人:「ちょっと話が
あるんですけど
いいですか?」
舞風:「私の仕事を
手伝ってくれるなら
構わないぞ?」
理人:「じゃあやらせてください!」
舞風:「良い心構えだ。
走るぞ」
理人:「え、あ、はい!」
あれ?
自然に話し方が
敬語になってる。
舞風さんって3年生?
そこから僕たちは
走りまくった。
図書室に始まり、
資料室、各教室、放送室、職員室、トイレ、体育館倉庫と
順調にきていた。
時々応援の声もあり‥
直弥:「理人、死ぬなよ!」
雅紀:「理人ぉぉ!
俺も手伝うぞぉぉ!」
といいながら雅紀が
走ってきたので、
舞風さんが無情にも
腹に蹴りをいれた。
雅紀:「理、理人ぉぉ!
ガクッ‥」
要:「雅紀!
……馬鹿か」
炎:「馬鹿ばっかだ」
未頼:「頑張ってね〜」
あれ?
未頼さん以外
おかしいよ?
雅紀に関しては
罵声浴びせられてるし‥
体育館倉庫
舞風:「理人君のおかげで仕事がはかどった。
礼を言うぞ」
理人:「いえいえ、
別に僕は何にも
してませんよ」
舞風:「そう謙遜しなくていいぞ?
手伝ってもらえて
嬉しいんだ」
理人:「…舞風さん」
舞風:「ん、どうした?
体育館倉庫に2人きり
というこの絶妙な
シチュエーションに
興奮しているのか?」
理人:「全然考えて
ませんでしたよ、
そんなこと」
舞風:「では何だ?」
理人:「この前直弥を
脅してませんでしたか?」
舞風:「……」
理人:「どうして
したんですか?」
舞風:「私には
どうやったらうまく
人と接することができるのかわからない
んだよ」
理人:「そんなの簡単
ですよ。
普通でいいんです」
舞風:「普通‥」
理人:「普通って
いっても、
何もしないんじゃなくて
自然に挨拶をして、
自然に話して、
自然に笑えばいいんです」
舞風:「……」
舞風さんは何か考え込むようにうつむいた。
理人:「舞風さん。
もう一度、テストして
みましょうよ」
舞風:「…そうだな。
あんな入り方は許される行為ではないからな」
理人:「そしたら‥」
舞風:「すぐあのリーダー的少年に会ってくる」
理人:「舞風さん。
直弥っていうんですよ」
舞風:「わかった!
ありがとう、理人君!」
舞風さんは目にも
止まらぬ速さで、
倉庫を出て行った。
教室前廊下
舞風:「直弥君!」
直弥:「うおっ!
何だ急に。
慣れない呼び方を
するなよ!」
舞風:「む、では
何と呼べばいい?」
直弥:「崋崎か直弥とかで
いいぜ」
舞風:「直弥、
私はウィアスターズを
抜ける」
直弥:「何だと?」
舞風:「そしてもう一度
テストを受けるぞ」
直弥:「(ふっ、理人の
やつ、やってくれたな)
…ああ、いいぜ」
舞風:「よろしく頼む」
放課後
直弥:「テスト開始だ!」
要:「今回はどんなテスト
にするんだ?」
理人:「舞風さん、
今回は‥」
舞風:「わかっているさ」
直弥:「そうだな…
…前とかぶるんじゃ
つまらないからな…
よし、《あれ》を
しよう」
理人:「《あれ》って
もしかして、バトル?」
直弥:「イエス!」
舞風:「バトルだと?」
要:「ああ、バトルというのは‥」
舞風:「そこからは結構だ
。やればわかる‥」
雅紀:「吐き気を
感じるぜ‥」
理人:「覇気でしょ‥」
直弥:「相手はそうだな…
久しぶりに俺がやろう」
要:「直弥がやるのか!」
雅紀:「え〜
ちょっときついん
じゃねえの?」
炎:「バカ兄、死ね!」
直弥:「炎…
それが兄に対する最後の言葉になるかも
しんねえんだぞ?」
炎:「ふ〜ん。死ね」
直弥:「うおおおお!!」
舞風:「…そろそろ
始めるぞ」
FIGHT!
雅紀:「おい、お前ら!
何か武器持ってきてくれ」
男子生徒:「対戦カードは誰なんだ?」
雅紀:「直弥と舞風だ」
男子生徒:「直弥か、
おもしろそうだな。
いいぜ、投げるぞ!」
女子生徒:「舞風さん!
これ使って」
直弥は〈リサイクル用に
ためてた牛乳パック
(50円分)〉
を手にした。
舞風は〈木魚を叩く
ときの棒〉を手にした。
直弥:「こんなもの何で
持ち歩いてんだよ」
舞風:「相手に狂いなし」
《直弥の先攻》
何やら接着剤でパック
同士をくってけている。
《舞風の後攻》
目にも止まらぬ速さで
みだれづきを決める。
直弥は余裕の表情で
かわした。
《直弥のターン》
牛乳パックは長刀らしき物体に形を変えた。
長刀が舞風を捉える。
《カウンター》
直弥はみだれづきを
まともにくらった。
直弥にダメージが
60、70、80、
90、90=〈390〉
直弥:「カウンターとか
聞いてねえぇぇ!」
直弥は倒れた。