第6話 西龍寺の秘密とNo.2
そこには竜に乗り剣を持った一人の男の銅像が立っていた
「待ってちょっとそこで止まって
これを耳に着けて」
西龍寺がポケットから先の尖った耳に装着する物を渡してきた
「これをこうやって耳に嵌めるのよ」
「これはなんだ?」
「いいから早く着けて
それは後で説明するから
話が進まないじゃない」
俺がそれを耳に嵌めた瞬間消えた
触ってみるとどうやら耳に嵌っているようだが
目には見えないようになっているようだ
そして俺はそこにある銅像について聞いた
「あれは誰の銅像なんだ?」
「あれは3年前に竜ヶ崎勇っていう男がボリティーブのボスに戦いを挑んだっていう話を示じいちゃんから聞いたでしょ
その人の銅像よ
今は行方不明になっているけどボスに挑んだ英雄として銅像が立てられた....。」
「竜ヶ崎勇って人はどんな人だったんだ?」
西龍寺が俯き加減で答えた
「信見剣の力を使って竜を召喚し、自らも竜の力を使って戦うまさに勇者って感じの人だったわ
99の試練も何度も挑んでその人以外90階まで行けたことがなかったから示じいちゃんの言っていた通り
総てを統べる剣位に一番近い男と言われてたのよ」
「かなり強い人だったんだな」
「いい?今から言うことを聞いて驚かないでね
私の本当の名前は竜ヶ崎皐月...。ボリティーブのボスに挑んだ英雄竜ヶ崎勇は私のお父さん....。」
「えっっっ!!西龍寺は英雄の娘!?なんで偽名なんか使っているんだ!?」
「驚かないでって言ったのに
私が竜ヶ崎勇の娘なんてボリティーブにバレてしまったらどうなると思う?
真っ先に私がボリティーブに狙われるわよ
ボリティーブに知れ渡っているんだからボスに挑んだ事は
英雄の娘なんてボリティーブからしたら危険な予感しかしないじゃない?
その事がバレたら真っ先に私を消しに来る
別に偽名じゃないわよ
西龍寺って苗字はお母さんの苗字よ
雷神にもビシードをまわって最後にここに来て説明しようと思った
この事は示じいちゃんと天下五傑と究極の剣位の抜刀者
後、雷神と讐しか知らない機密事項
だから誰にも言っちゃダメだからね」
「神野さんと天下五傑と究極の剣位の人達は分かるけどなんで俺と闇野だけ上位クラスでもないのにその事を」
「讐と雷神は私の苗字が母方の苗字という事を言っておく理由があるわ
まだその理由が何なのかは色々あって話せないけどまあその辺は触れないで
後私はごく一部の抜刀者の人達だけだと思うけど
お父さんを英雄扱いして諦めて銅像まで作ったでも
私はお父さんが死んでしまったなんて思ってない今もどこかで生きてると思ってる...私は死んでしまっていると思っている人がいるのが許せない!」
「そんな酷い話あるのか!
行方不明なのに勝手に決めつけて!
総てを統べる剣位に一番近いと言われた男を信じなくてどうする!
おれは信じるボスの所まで俺が辿り着いて真相を確かめてやる!」
「ありがとう
でもその為には私も雷神もまだ修行が必要ね
一緒に頑張りましょう」
「ああ俺は必ずボスの所まで辿り着いてみせる!」
「ちょっと話が重くなり過ぎたわね
さっきの耳に着けたのは
他の抜刀者に会話の内容が聞かれないようにする為よ
さっきのはプットイヤと言って
これも研さんの発明品
このプットイヤを着けて話すと会話している内容が変わるようになっているの
さっき言ったように私の秘密は
全員には話せないから
さっこれでビシードの施設は全部よ
気持ちを切り替えて
1度最初に来た公園に戻りましょうか
もうプットイヤは外していいわよ」
俺達は来た道を戻って公園にあるベンチに座った
「ここに住んでいる人は研さん以外はみんな抜刀者よ
研さんは最初信見剣の力を見つけた研究者の元々仲間でね
今でもその研究を続けなからレーダーの機能も考えてる
後ビシードで見かける他の抜刀者は大体他の地域からワープして来ている抜刀者よ
じゃないとみんながみんなここに住んでしまったら流石に普通の人に怪しまれるしボリティーブにもここがバレやすくなってしまうからね」
「そうなのかバレずに行動するのも大変なんだな」
「後ここの公園の説明を忘れてたわね
この公園は普通の公園じゃないのほら遊具もないでしょ
この公園は大体雷神みたいな新人の抜刀者に色々な事を説明したり、抜刀者同士が集まって情報共有したりする場所に使われているわ
そして真ん中に看板があるでしょそこにはクエストが張り出されたりするわ」
「クエストって何だ?」
「抜刀者が抜刀者に依頼出来るの困った時があった時とか、チームを組まないと倒せないようなボリティーブが現れた時に集まるの
困った時は助け合いってことね
じゃあこれで一通り案内は終わったわ」
「ひとつ聞いていいか?」
俺はずっと心配していた事を質問した
「何?」
「ビシードに行く流れになって忘れてたけど
3時間目で授業抜け出しちゃったけど学校に戻らなくて大丈夫だったのか?」
「今日は学校を体調不良で早退した事にしたわ
今回は特例で普段はビシードに用事があるとしても学校を抜け出して来ちゃダメよ
私達が学校に行っている間は大人の抜刀者がボリティーブを倒しに行ってくれてるから」
「分かってるよ抜け出したりはしねぇよ」
「まあまた今回みたいに私達の学校の生徒がボリティーブに狙われたら
抜刀してボリティーブと戦ってあげてボリティーブが現れている間は時は止まってるから」
「もし学校にボリティーブが現れて倒したとしてその狙われた生徒にどう説明するんだ?」
「もちろ 信見剣の存在も抜刀者である事も言っちゃダメよ
あの異空間からボリティーブが居なくなれば時はまた動きだし襲われた生徒からその記憶が消えて何も無かったことになるわ
あの異空間はそんな性質も持っているの」
「あの異空間って何で出来てるんだ?」
「ボリティーブが起こしてる異空間だからはっきりとは分からないけど
ボリティーブの方も普通の人間にはバレたくないんでしょ
多分ボリティーブの方もあまり大きな騒ぎは起こせないのよ」
そんな事を二人で話していると一人の男の人が俺に話しかけてきた
「おう君が新しい抜刀者か
実力を見てやろう大丈夫だ本気は出さないから
もちろんタダとは言わない君が俺に1回でも攻撃出来たら面白いもんを見せてやろう」
刀身が光り輝いていて鍔の部分に電球のマークが書いてある信見剣を持った髪型がオールバックで金髪身体がムキムキでタンクトップを着ている男の人がそこにはいた
「急に実力を見るって随分横暴ねと思ったらあなたは高峯光さん。
雷神あなたすごい人に話しかけられたわね
竜ケ崎さんが抜刀者のNo.1だとしたらこの人はNo.2よ」
「雷神侑斗です。信見剣の力は炎です。よろしくお願いします。」
「No.2なんて俺を持ち上げ過ぎだよ皐月
竜ヶ崎さんの下が俺な訳ないだろあの人とは大分差があった」
「高峯さんもしかしてずっと雷神を探してたんですか?」
「ああ俺は新人の抜刀者がビシードに来たら最初に実力を見てやるって決めてるんだ」
「ビシードの案内も一通り終わりましたし、これから雷神に家に戻るか聞こうとしていたとこなんですよ
で、雷神どうする?」
「もちろん見てもらいます!まさかNo.2の人といきなり手合わせ出来るなんて思いませんでした」
「だからNo.2は言い過ぎだって
じゃあ20分後に闘技場に集合な」
「はい」
そう言って高峯さんは公園を出ていった
「あの人は謙虚だけど、実力は相当のものよ
雷神も気を引き締めなさい」
「高峯さんとの手合わせまで20分あるわね
先に闘技場に行って一度私と戦ってみる?
私の信見剣がどうゆうものなのか言っておきたいし」
「西龍寺の信見剣 月か..。聞いただけじゃ分からないもんな」
「じゃあ決定ね闘技場に行きましょう」
俺達は闘技場に向かった
「さあ着いたわ」
さっきは離れたところを通り過ぎただけだったから分からなかったが、闘技場は思った以上に大きい
コロシアムみたいな建物だった
「さあ受付を済ませてしまいましょう」
闘技場の扉の前の受付には、2体のロボットがいた
「このロボットも研さんの発明よロボットの手にレーダーを置いて」
俺は西龍寺に言われた通りにレーダーを置いた
「炎の抜刀者 クラス無の剣位 雷神侑斗様 認証しました お入りください」
そうロボットが喋った
開いた扉から俺達は闘技場の中へ入っていった
地面には何も無く上を見上げると観客席があった
「あの観客席はね進級決戦の時はいっぱいになるのよ
さあ始めましょうか
ルールは簡単よ先に二回攻撃を与えれた方の勝ちね
安心して雷神が借りに私を攻撃しても私が大怪我するなんてことはないから」
辺りはもう既に薄暗い月も見えている
俺と西龍寺が闘技場の端と端に立った
「信見剣!抜刀!月!」
「信見剣!抜刀!炎!」
お互いに抜刀し、俺は西龍寺に、西龍寺は俺に向かって剣を振り上げた!お互いの剣は激しくぶつかり合い両者共に1歩も引かない
「戦いながら私の信見剣について説明するわね!
私の信見剣は夜の方が威力を発揮する
月がはっきり見えている時の方が威力が上がるのよ
私が雷神を助けた時まだ昼だったから本気を出せなかったのよ」
「月だからか
俺の信見剣も炎の力という事は分かってるけどまだちゃんとした力の使い方は
分かってないから
西龍寺と戦う事によって見つけれるといいな」
「うっ!」
激しくぶつかった剣は西龍寺の方が少し押し、俺は西龍寺に軽く弾き飛ばされた
「これぐらいで押されるようじゃいつまで経ってもボリティーブのボスには近づけないわよ
これでも手加減はしてあげてるんだから」
俺は立ち上がり、もう一度西龍寺に向かっていった
「炎の輪」
俺が信見剣で空に円を書き、それが炎の輪を作った
それを剣で操り西龍寺を捕らえたと思った
そして俺は剣を振り上げた!
「あれ!?」
西龍寺に当たったと思った俺だったがそこに西龍寺はいない
「雷神、幻月という言葉を知ってる?
月と同じ高さにもうひとつ光が見える現象よ
今雷神が斬ったのは私の分身その現象を力にした技よ本物はこっち!
薄月描写!
からの月光突き!」
「あれ?ぼやけて見えねぇ
痛てっ!」
分身じゃない方の本物の西龍寺の方を振り向いた途端
西龍寺の前に小さい雲がかかり
西龍寺がぼやけて見えなくなった
いつ移動したのか俺のいる距離から
遠く離れた所に西龍寺は現れその距離から信見剣を俺に向かって向けた
すると信見剣は剣の長さ以上の光を放ちその光は俺の背中を軽く掠った
「今のは薄月っていう現象
薄い雲に遮られて少し光る月の事を言うんだけどね
その現象を月の信見剣なりに解釈した技
これを使って姿を消している間に
相手から離れて月の光を纏った信見剣で雷神を突いたわ」
「離れた距離に移動したのが見えなかったぞ」
「そりゃそうよ
雷神あなたとは違って私は何年か抜刀者をやってる
からね経験差よ
さあ勝負は私が二回雷神に攻撃を当てたから終わり
本気は高嶺さんと手合わせする時においておきなさい
私は私の信見剣の力を知ってほしかっただけだから後一つ言っておくわね
私の信見剣月は月の満ち欠けによっても剣の威力が変わる、満月の日が一番威力が上がるわ
今日は満月だから私は人一倍強かったのよ」
「西龍寺は色々分析しているんだな」
「最後に私の抜刀奥義を見せて上げるわ雷神には当てないから安心して!
我、信見剣の力を持つ者なり
信見剣の力は異次元の理
過去、未来総ての世界において存在する
最大火力の月の力となりて我に力を与えよ
満月描写斬り!」
西龍寺が俺には当てずに闘技場にあったブロックに向かって詠唱しながら
剣を上に掲げ剣ででかい円を描くと西龍寺の体いっぱいぐらいの満月が西龍寺の頭上に浮かび上がり
それを剣で操ってブロックに当てるとその満月から口のようなものが開きブロックを満月の中に閉じ込めた
そして西龍寺が剣を正面持って
前に剣を振りそのまま体ごと回転してブロックを切りつけた
「私の抜刀奥義は名前そのままね
満月を描写して相手をその満月で捕え斬りつける
今日は満月だったから満月描写斬りだったけど
またそれも月の満ち欠けによって名前も攻撃の仕方も変わるわ
例えば三日月だと三日月描写斬りになるってことね
そうこうしているうちに来たみたい」
「ようじゃあ早速手合わせ願おうか」