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文化祭4日前、8時5分ー元町千早

topics: 奈良(なら)あかり 三上(みかみ) 優衣(ゆい) 佐藤(さとう) 実里(みのり)


3人とも1-F所属

部活も3人同じくバトミントン部

元町千早の友達で、休日もよく集まる

3人は中学時代からの友達で千早とは高校で出会った

3人ともイケメンが好き

「こうたろー」

「……ん」


後ろからの声に振り向くと龍が軽く手を振りながら近づいて来る。どことなく浮かない顔をしているが、恐らく放課後のデートの件があるからだろう。光太郎は眠そうな顔をしながら、昨日話せなかったことを話し始める。


「元町さんのこと、どう思う?」

「どう……って。嘘ついてる感じとか全くしなかったし、結構真面目に話してくれてたんように思ったけど」


光太郎はオカ研の部室での話に嘘はなかったように思ったが、どうにも違和感を拭うことはできなかった。もちろんオカ板に投稿した人物のこともあるし、例の少女もまだ実際に見たわけではないのだが。千早にはまだ何かあるのではないか、と疑ってしまう。噂の広まるスピードもそうだ。まだ噂が出回り始めて2、3日しか経っていないのに、全生徒までとはいはわないが、各学年の大半は知っている。


「まあわからないことを考えてても息がつまるだけだって」

「……考えなきゃ進まないだろ。それより、ビデオカメラの充電大丈夫か?」

「バッチリ。撮影は任せとけよ」


確かに手がかりが少ない上にわからないことを考えていても大事なことを仕損じるだけだ、と光太郎は千早のことはひとまず置いておくことにした。今日の昼には音楽室だ。


「ちゃんとでて来てくれるといいけど」

「この規模の"噂"なら問題ないよ。絶対出て来てくれる。変な尾ひれがついてるわけでもないし。ただ問題は元町さんの言った通り、消える可能性があるってこと」


この件についても光太郎は悩んでいた。これまで出会って来た霊達は積極的にコンタクトを取って来る場合が多かったからだ。自分は死んだのにどうしてここにいるのか、なぜ成仏できないのか、そういう問題を解消するためだ。少女も、少年も、大人も皆そうだった。


「やっぱり何か事情があるのかも」


龍は肩をすくめて、お手上げをしてみせる。その時2人に声がかけられた。


「おはよー。2人とも」

「おはよう。元町さん」

「お、おはよ」


元町千早だ。昨日光太郎から貰ったお守りをカバンにつけていた。早速、浮ついた様子の千早は今日の予定について詳しく確認し始めた。


「今日は11時30分にいけばいいのかな? 何か持っていくものとかある? 大切な心構えは? あった時はまず最初にこんにちはかな!?」


ずいと顔を近づけて来た千早に2人は驚いて少し後ずさる。光太郎は昨日との印象の違いに驚いていた。昨日は遠慮してたのか千早はグイグイとくる。


「そ、そんな感じです」

「なんで敬語なの? あ、榊くんと三國くんって距離感が遠く感じるよね。光太郎くんと龍くんって呼んでいいかな?」

「え?ああ、そうだね。それでいいカモ…」


光太郎は龍を責めるような目でみる。勢いに押されたことが気に入らないようで、龍もどこか申し訳なさそうな顔をしている。それでも千早の勢いは止まらない。矢継ぎ早に質問を投げかけてくる。


「それでなんだけど、どうやってあの女の子とコミュニケーションをとるのかな。何か特別なアイテムとかがあるの? こう……幽霊電話みたいな!成仏させるのも何か必要なのかなぁ。お札だよね。やっぱり」

「ないよ、そんなの……。」

「ていうか昨日とテンションが違いすぎるよ。何かあったの?」


全然何もないよと首を横に振る千早をみて、2人はさらに困惑した。一体どういう変化なのだこれは、と。光太郎は先ほどまで千早について悩んでいたことをさらに深く考えなくてはならなくなった。他の登校中の生徒も3人を気にしながら校門を目指している。これはまずいとすぐに話を終わらせる。


「ちょっと落ち着こう、うん。どうやって話すとか、成仏させるとか後でしっかり話すから」


それを聞くと千早は満面の笑みで頷き、11時頃に部室を訪ねると言って足早に去ってしまった。2人はただ佇むだけだ。もうそろそろでホームルームの予鈴がなる頃だと、校門の前の教師が生徒達を急かす。教師の声を聞いて我に帰った2人は、顔を見合わせて苦笑いする。


「約束してたけど……いいの?」

「ダメだよ。ダメだけど……あそこで大声で成仏とかなんとか言われてる方がまずいし」

「はぁ……。今日は色々疲れそうだなぁ……」

「だな。疲れる1日になりそうだ」


2人は今日の予定を考えてすでにぐったりした様子だ。しかし、2人の予想を更に越えて事態は動き出していく。事件は、起こる。

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