目に見えないものを見るために
朝、登校中につき
「そういえばそろそろ文化祭の準備とかしてる?」
2人で並んで歩いている男子高校生のうちの1人がそう言った。
「うちのクラスはアンケートだから準備とかないんだよ。なんか文化祭って感じじゃないよな。龍は?」
黒い髪の少年ーー榊 光太郎ーーが少しつまらなそうに聞き返す。
「お化け屋敷。得意だろって企画丸投げされたから、適当なの考えて提出した」
茶髪の少年ーー三國 龍ーーはげんなりした様子だ。
「得意……とはちがうな。俺たちオカ研だけどそういうのを相手してるわけじゃないし」
納得のいかない表情で頷く。
「そういえばあの噂、聞いたか?」
「ああ、音楽室の少女の話だろ」
光太郎はその噂をすでに耳にしていた。オカルト研究会に所属している2人には否が応でも飛び込んでくる話だ。
「今回はどうするんだ?センパイがいなくなってからはじめての"噂"だけど」
聞くまでもないけど、と分かりきった光太郎の返答を待つ。
「もちろん、解決するよ」
そろそろ学校に着く。2人は放課後の予定を確認するとそれぞれの教室へと向かっていくのだった。
tips: 神前高校
光太郎や龍が通う学校
公立校で創立68年
1学年に6学級 A〜Fクラスまで
2年進級時に文系、理系の振り分けがある
元々神社があった山の前に建てられたことから命名されたらしい