僕はまだ恋愛の定義を知らない
僕の名前は新長 定 運動はできるし、勉強もそこそこだ。俺には好きな人がいる。それは俺の左に2つ隣の席の一条さんだ。なぜ好きなのか聞かれるとまぁ、容姿もあるけどいつも僕に優しく喋りかけてくれるからだ。一見、僕には友達も多く何の不満も無い日々を送っているように見えるが、僕にはそれが不満だった。退屈だった。愛想笑いで固まった集団を見るのが馬鹿らしかった。そんな退屈な日々の中、僕は彼女に出会った。彼女が友人と笑っているのを見ると、何故か心が弾んだ。いや何故か、ではない。彼女が心から微笑んでいるのがわかったからだ。彼女の評価をただ容姿端麗なんて言葉で飾る者もいるだろう。だが僕は彼女を「真正」なんて言葉で表す。そのぐらい僕の中で彼女の微笑は本物に見えた。その透き通りそうな透明さに引かれていたんだと思う。僕の数学の授業の隣の席は彼女だ。僕はよく知りたいという欲で、彼女によく話しかけた。その話の中でよく出てくるワードがあった。それが僕のクラスでの隣の席の親友、真城の事だった。
僕はいつもシロと呼んでいる。彼は容姿は普通以上にいいが、少しこじらせている傾向がある。でも彼の語る話に嘘はなく友達の中でも一条さんに近い本物のような何かがあった。彼女がシロに好意を抱いているかどうかはわからないが、授業中もずっと喋っていて、仲がいいのは確かだろう。
そんな事実もあって、僕は勝手にシロのことを恋敵と思っていたのだろう。そんなふうに考えてしまってからは、彼との話の最中うまく笑えなかった。そして彼女とシロが仲睦まじいとわかる決定的瞬間を目視した。それは放課後二人並んで下校していたのだ。僕はシロのことを勝手に恋敵と思っていたから、「負けたな」と思ってしまった。
だか、自体は急転した。翌日彼女が学校を休んだ。僕は心配になって昨日一緒に帰っていたから何か知っているであろうシロに聞いてみることにした。
「シロ〜、一条さんなんで休みなんだ〜??」
「知らねぇ〜俺も気になってたとこだ」
絶対知ってるだろと思って昨日のことを聞いてみた。
「でもお前、昨日一緒に帰ってたじゃん」
「いや、俺ら美化委員で一緒だったから体育館に二人で行っただけだ。放課後一緒に帰ったわけじゃない」
なんだ僕の勘違いだったのか。少しホッとした。
そして彼女が学校に来なくなって
もう1週間も経った。