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トモグイ トンボ  作者: 雨松 時雨
こころのへやー1日目ー
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こころから始まった

 おそら……そとに広がる高い天井。


 とんぼ……そとのおそらを飛ぶむし。おっきな眼鏡をかけている。


 たいよう……そとのおそらにある照明。


 おつきさま……夜になるとたいようの代わりに出てくる夜の照明。



 わたしはそのどれも見たことはないけれど、ご主人様が見なくて良いというなら、わたしも見なくても良い。



「……可哀想なやつ」



 汚いゴミを見る荒んだ目で彼にそう言われるまでは、確かにそう、わたしは幸せだと思って疑わなかった。


 恐らく、願っても叶わないと本能で知っていたから、だから疑わなかった。


 それなのにわたしは夢を見てしまった。


 この目には彼がとんぼに見えたくらい。




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