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こころから始まった
おそら……そとに広がる高い天井。
とんぼ……そとのおそらを飛ぶむし。おっきな眼鏡をかけている。
たいよう……そとのおそらにある照明。
おつきさま……夜になるとたいようの代わりに出てくる夜の照明。
わたしはそのどれも見たことはないけれど、ご主人様が見なくて良いというなら、わたしも見なくても良い。
「……可哀想なやつ」
汚いゴミを見る荒んだ目で彼にそう言われるまでは、確かにそう、わたしは幸せだと思って疑わなかった。
恐らく、願っても叶わないと本能で知っていたから、だから疑わなかった。
それなのにわたしは夢を見てしまった。
この目には彼がとんぼに見えたくらい。