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第6話 力の片鱗

 俺は今暗い森をただひたすら歩いている。



「本当にこっちでいいんだろうな?」



「こっちでいいの、チィは森から出たことないから街の場所とかはわからないけど、人がよく入ってくる場所があるの。そこに行けばきっと何とかなるの!」



 因みにチィは今俺の肩を椅子代わりにしている。さっきから終始機嫌が良いみたいで、足なんかもパタパタぶらぶらさせていて鬱陶しいことこの上ない。



「おいちみっこ重いからそんなとこに座るなよ」



「なっ!チィは全然重くないの!羽のように軽いはずなの!」



「え?重いぞ?」



「う、うるさいの!……まったくルイはデリケシーってものがないの」



「デリケシーじゃなくてデリカシーな」



「むきぃいい!いちいちむかつくの、とにかくチィはここがいいの!ルイは黙って歩いてればいいの!」



「はいはいわかりましたよ。けどまた魔物が出てきたら頼むぞ?」



「チィさんにお任せなの!」











 そしてチィの案内のもと森を進むこと十五分。



「結構来たけどまだなのか?」



「もうちょっとなの」



 あれから魔物はスライムっぽいの数匹程度で、魔物の出現頻度は低いみたいだ。まあ倒したのは全部チィの魔法でだけど。



「それにしてもその魔法ってのは便利だなぁ、俺も使えたりできないのかな?」



「うーんわからないの、チィは最初から使えるのがなんとなく感覚で分かったの」



「へー感覚か、んーそういうのは感じないな。やっぱ俺には使えないのかな?練習すれば使えるとか?」



 そう思い立って手を突き出し、チィがやっていたように集中してみる。



「むむむー、むむ!ぐぬぬぬ、うーんやっぱできないかぁ」



 しかし何も変化が起きずあきらめようかと思ったその時、肩に座っているチィの身体が淡く光だした。



「な、なんなの!チィ光ってるの!」



 と慌てて立ち上がり目の前に飛んでくるチィ。



「なんだなんだ!なんで光ってる?俺がなんかやったのか?」



 そうこうしてると、チィから光が離れ勢いよく俺に向かって飛んできた。



「な!?」



 咄嗟に避けようとするが間に合わなかった。光が身体の中に入り込んで来る。



「うげ、体に入っちゃったぞ」



「な、なんともないの?」



「うん大丈夫みたいだ」



 その時身体全体がさっきのチィみたいに淡く光りだす。



「わわ!さっきのチィと同じになったの!」



「なんなんだこれ?なんか意味が………あ……」



「どうしたの?やっぱり変なことが?」



「いや……これは……わかる………わかるぞ」



「なにがなの?」



「魔法が使えそうだ」



「ええええ!いきなりなの!?」



「そうかこれがさっきチィが言ってた魔法が使えそうな感覚ってやつか?」



「ルイ!じゃあ早速魔法使ってみるの!」



「お、おう」



 そして再び手を突き出し、集中する。



「お、おお!手の先に何かが集まってくる感じがあるぞ!」



「いい感じなのそのまま維持しつつ前に向かって放つの!」



「よしやってみる、オラァ!」



 と叫びながら前へ放つイメージでやってみたが、集まっていた何かが霧散してしまうのを感じた。



「………あれ?」



 残るのはルイの虚しい声だけだった。

読んで頂き有り難うございます。


いろいろ話を考えていると広がりすぎて頭がごちゃごちゃになります笑

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