第4話 ポンコツ妖精
「……冗談だ」
「なんだ冗談なの」
「半分くらい」
「半分くらい!?」
「そんなことより、あいつをどうするか考えるぞ」
「なんか納得できないの……」
「それでちみっこ、お前さっき自分のことを凄い妖精とか何とか言ってたけど何かできるのか?」
「そうなの!あたしは凄い妖精さんなの!だから凄い魔法だって使えちゃうの!どうだまいったか!なの!!」
と、えっへんといった感じで腰に手を当て、体をそらしながら言うちみっこポンコツ妖精。…………それにしても見事なまでのぺったんこだな。うむ。
そんな事を思いながらジト目をちみっこに向ける。
「お前なぁ、魔法なんてものがあるんだったら最初から使えよな、そうすれば自力で抜けられたんじゃないのか?」
「…………………ふーっ、ふっふーっ」
「おい口笛で誤魔化すな、それにまったく吹けてないぞ」
「う、うるさい!うるさい!そうなのこれはあんたを試していただけなの!決してあたしが魔法の存在を忘れてた訳じゃないの!」
「はいはいわかったから早くあいつを何とかしてくれ」
「むー、こうなったら魔法であたしは凄い妖精さんだってことを何が何でも解らしてあげるの!」
と両手を真上に上げるちみっこ妖精。
「お?それはオラに元気を分けてくれーってやつか?」
「違うの!そこで黙ってよく見ておくの!」
と言いながら目を閉じて集中し始めた。
「むむむ〜〜」
すると、ちみっこの手の先に何かが集まる気配を感じた。
「むむ!とりゃ〜」
変な声をあげながら手を前に突き出した。
____シュッ!
シュパパパパッ!
「……すげぇな」
魔物は見事なまでに細切れになっていた。
「ふっふーんどうだ!まいったか!なの!」
ドヤ顔を向けてくるちみっこ。ムカつく。
「誰かさんが忘れてさえいなければもっと早く倒せたのになぁ」
「ぐぬぬっ」
スッキリしたので魔物の残骸に近寄る。
「これが魔石か?真っ二つになってるけど」
赤い綺麗なビー玉みたいなものが半分になって転がっている。
「そうなの、それが魔物の核なの。それを破壊できれば魔物は死ぬの。」
「へぇー、魔石っていうと冒険者ギルドなんかが買い取ってくれるのがお決まりなんだがどうなんだ?」
「うーんあたしこの森から出たことないからわかんないの」
「そっかぁ、とりあえずこいつは拾っておくか」
「それでこれからどうするのー?」
「ひとまずこの森から出たいな、このままここにいたらまた襲われそうだしとりあえず移動するかな」
と、再びこの薄暗い森へとまた1歩踏み出し歩き始めたのだった。
読んで頂き有り難うございます。
仕事が忙しいですが合間にちょこちょこ書いてます。
筆が遅いのが最近の悩みです笑