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第3話

「…ねえトモ、本当に大丈夫なの?」


由恵が後部座席から運転席を覗き込んで聞いてきた。


あれから一週間後の週末…


俺と由恵は作戦を実行する為に出掛けていた。

もちろんこれからマコと美咲を迎えに行くのだ。



「大丈夫!任せなさい!」


俺は笑顔でルームミラーに写る由恵に言葉をかけた。

マコと美咲は、三日間だけだが俺と由恵が付き合っていた事を知らない。


つまり、作戦を実行するのにとても好都合だ!



第一の作戦…



まずは美咲を助手席に乗せる。


…つまりは後部座席に由恵とマコを隣同士に乗せる為だ。そこで、由恵はマコに猛烈なアプローチ。

勿論、美咲は気が気じゃないはずだ…。



俺は車を待ち合わせの駅前へと走らせる。


マコと美咲はすでに来ていた。



 


…二人で楽しそうに話をしている…



…ちくしょう…マコばっかり…


俺は車の中から二人を睨み、車を路肩に寄せて停車した。



…すぐに運転席から外にでる。


ここからはタツ仕込みのテクニックで美咲を助手席へ誘導…



……。



…するはずが…



俺が外に出て、誘導する前に助手席に乗り込みシートベルトを付け始めるマコ…


美咲も楽しそうに話しながら後部座席に乗り込んだ後だった…。 


一人、車の外に取り残された俺…。



…マコが不思議そうに俺を見つめている…。



…バカヤロウ…



…しょうがないので、そのまま運転席に戻る事にした。



…由恵の冷たい視線が心を傷める…



「どうしたんだ?トイレでも行きたかったのか?」


車に乗り込むと、マコが不思議そうに尋ねてきた。


俺は…


「…外の空気が吸いたかっただけだよ」


と、小さく呟くので精一杯だった…。 



…しかし!


こんな事でくじけるトモくんじゃない!


作戦はまだまだある!



俺達は予定通りに、車で一時間程にある水族館へとやって来た。


第二の作戦…



それは題して…



「トモくん、美咲と迷子!の巻き」である。


今日は週末…水族館は予想通りに人込みだ!

俺達は入館する際の人込みに飲まれて行く。



…チャーンス!



俺はどさくさに紛れて美咲の手を引く。

そのまま人の波に流される。


マコと美咲は遥か後方に…


……



……?



マコと美咲が遥か後方に?


俺は慌てて掴んだ手の主を見る。

その先には…


「…馬鹿…」


…大きくため息を付く由恵がいた。



間違えた…。



そう気付いても時は遅く…


俺と由恵は人の波に流されて行く。



…マコ…美咲…さようなら


俺は心の中で二人に小さく手を振った。




「…もう…これじゃ、トモと美咲をくっつける作戦が台なしだよ!」


由恵はそう言いながら、大きな水槽を泳ぐ鮫を眺めていた。


「俺と美咲をくっつける作戦じゃなくて、由恵とマコをくっつける作戦だろ?」


俺も視線は鮫に釘付けになりながら、由恵に言い返す。

由恵は小さくため息を付くと


「…もう、どっちでもいいよ…」


と、呟いた。


しかし、俺と美咲が迷子になる予定が…マコと美咲が迷子になってしまうとは…


そんな事を考えながら、後方へと視線を移す。


そろそろマコ達が追い付いて来てもいい頃なのに…



すると、人込みに紛れてマコの姿を発見した!



…よし!改めて作戦開始!


……。



………。



何でマコと美咲はどさくさに紛れて手を繋いでいるの?


しかも二人ではにかみ合って…



どっからどう見てもラブラブカップルにしか見えませんけど…



……。



俺の視線に気付いたマコは、俺の姿を見つけるなりこっちにやってきた。



…ふうん…



せっかく手を繋いでたのに、わざわざ手を離してからこっちに来るんだ…。


俺はひたすらマコを睨み付ける。


「…何だよ?」


マコが俺の視線に、不思議そうに顔をしかめて聞いてくる。


「…別に!」


俺は、わざとらしくマコを無視して一人で水中トンネルへと足を進めた。

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