第2話
「大体、さっき別れるって言ったくせに何で俺の家に居るんだよ!」
俺は由恵を睨みながらそう言った。
「だって、付き合った時に一番最初に報告したのお姉さんだし!別れた事も一番最初に報告しなきゃ!」
由恵はそっぽを向きながらそう答えた。
「大体、由恵がマコマコマコマコ!って煩いのが原因なのに、何で俺が悪者なんだよ!」
俺は、こっちを向かない由恵の横顔を睨みながらも続けた。
由恵はその言葉を聞くなり、顔をこちらに向けて俺を睨み付けながら
「そんなにマコマコ言ってないよ!大体、ノリで付き合った彼氏なんかにそこまで言われたくないし!」
と言った。
…むかつく…
…何だよそれ…ノリで付き合ったのは自分も一緒だろ?
「大体、まだ俺よりもマコが好きなくせに自分を正当化すんじゃねーよ!」
俺は少し声を荒げてそう言った。
…由恵の顔色がみるみる変わる…
…しまった…少し言い過ぎたか…
「そうだよ!?トモなんかよりもマコの方が何倍も大好き!!悪い!?」
由恵も声を荒げてそう返した。
……。
…むかつく…
…むかつくむかつくむかつくむかつく!!
少しでも言い過ぎた事を後悔した俺が馬鹿だった!
…もういい…
そこまで言うなら…
「わかったよ!そんなにマコが好きなら協力してやるよ!」
俺の言葉に、由恵は驚いて俺を見つめる。
「…何それ…大体マコには美咲が…」
「俺の予想ではあの二人はまだ付き合ってない!…おそらく、特別な進展もしてない!」
俺は由恵の言葉を遮って断言した。
由恵は困ったように俯くと
「…でも…」
と呟いた。
俺はそんな由恵をちらりと見てから言葉を続ける。
「…その代わり!…由恵も協力しろよな!俺と美咲の事!」
俺の言葉に由恵は顔を上げて睨みつけると
「何それ!?自分が美咲とどうにかなりたいだけ!?大体、まだ美咲と付き合おうなんて思ってたの!?」
と、声を荒げた。
俺はそんな由恵をちらりと見てからため息をつく。
…馬鹿だな…
俺が美咲と付き合いたいと思ってるかって?
そんなの…
「当たり前じゃないか!マジ、美咲みたいな超美人いつだって付き合いたいに決まってるだろ?」
俺の言葉に由恵は押し黙る。
…もちろんこの言葉は本心だ!
ただ、一つ補足を付けるなら…
美咲とは付き合いたいとは思うけど、親友の好きな人に手を出すつもりはさらさらない!
…でも、そうでも言わないと由恵は踏ん切りをつけないだろう。
…これ以上マコの影を引きずる由恵を見るのが嫌だったんだ。
由恵はしばらく俯いていたが、顔を上げると
「…分かった!トモと美咲の事、協力する!」
と言ってガッツポーズをして見せた。
それから俺は引き出しからペンとノートを取り出した。
「よし!作戦会議開始だ!」
俺の言葉に由恵も大きく頷いた。