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第1話

安易な考えで智博と由恵をくっつけてしまいました。賛否両論あると思いますが応援よろしくお願いします。

「何それ!?本当、トモは最低!…いいよ…もう別れる…」



俺は、そう言って席を立つ彼女の後ろ姿を眺めていた。

追い掛ける気になんて更々ならない。

女はいつもそうだ。

勝手でわがままで…




―俺の名前は林田智博―

チャームポイントはつぶらな瞳と大きな口。

好きなタイプは可愛い女の子。

基本は来る者拒まず、去る者追わず。



そんな俺だけど、付き合って三日の彼女が…さっきまではいた。

まあ、すでに振られて彼女はどこかに行ってしまったが…。



…ちくしょう…



…一年ぶりの彼女だったのに…



…まだキスすらしてないのに…



それが今の本音。



俺は一人、ファミレスに取り残された。

テーブルのジュースを一口飲むと、伝票を手にレジへと向かう。



…ちくしょう…



やり切れない思いを吐き出せないまま外に出る。



彼女との付き合いは…

元々ノリだった。


 


俺の親友

長谷部誠…通称マコ

山崎竜輝…通称タツ


三人で行った合コンが彼女との出会いとなる。


その日来た女の子、藤井美咲は高校の頃から有名な超美人。

…なのだが…何故かマコが彼女のハートを射止め、二人はいい雰囲気に。

未だに二人が付き合っているのかどうかは謎だが…

二人はいつも一緒に居る。


次に、その日のメンバー千葉元子。

ショートカットのギャル系。元子はいつもサバサバしていて気持ちがいい。

元子はその後すぐにタツと付き合い始め、今は妊娠三ヶ月目。

来月入籍するらしい。


そして最後に平田由恵…。小さくて、ほんわかした可愛い系。

…だと思ってたのに…。


先程、俺に罵声を浴びせ置き去りにした張本人…。



美咲とマコはいい感じだし、元子とタツは来月入籍。


…俺達も付き合っちゃおうか?


と、ノリで言ってみたのが三日前の出来事だった。 


すると意外に、由恵からの返事はOK…。


めでたく付き合い始めたのだが…。




「…トモ、今の言い方マコっぽい!」


楽しそうに話す由恵。


しかし、俺は面白くない。


何故か?



一緒に居ても、三分に一度はマコの名前を出す由恵。


…元々、由恵はマコが好きだったんだ。


俺も最初は、そんな事気にも留めなかった。


 


…でも、付き合い始めてからも電話も会話も


マコマコマコマコ…!!



もう、流石の俺も喉の奥が

「イーッッ!」ってなって



「そんなにマコが良いなら、マコに言えば?…元々俺達が付き合ったのだって、ノリなんだし。」



…って言ってやった!



由恵はそれを聞くと解りやすい程に目に涙を溜めて、俺に罵声を浴びせて出て行った。


…ふんっ!勝手にしやがれ!



…罪悪感?そんな物ないね


大体、由恵だって俺を好きな訳じゃない。

単に寂しかっただけだろ?


たまたま側に居たのが俺だった。

それだけの事。



「ただいま!」


俺は自分の家へと戻ると、ぶっきらぼうにそう言った。


…しかし…


玄関先に並んである小さな靴に目が止まる。



俺はそのままリビングへと足を進める。


…ガラッ…



ドアを開けるとそこに居たのは、姉ちゃんと由恵。


…さっき別れるって言って、俺を置き去りにしたくせに…


…何呑気に人んちでリラックスしてんだよ…


「智博!ほらお客さんなんだからお茶いれて!」


姉ちゃんが俺を見るなり、大きな声でそう言った。


俺は無視してリビングの外へ足を向ける。



…ボゴッ!



…痛い…



突然、後頭部に何かか飛んで来た。

俺は足元を見る。

 


…スリッパ…



…しかし俺の後頭部にスリッパが飛んで来る事なんて日常茶飯事。

俺は冷静に、スリッパを無視して足を進める。



…ボゴッ…



二個目のスリッパが後頭部に直撃する…



…流石の俺も二個は我慢出来ない…



振り向き、姉ちゃんに文句を…



…ボゴッ…



三個目のスリッパが俺の額を直撃した…



そして俺の視線の先には、 


四個目のスリッパを手にして今にも投げ付けてきそうな由恵の姿が…



……。



…この野郎…



俺は無言で由恵を睨み付けると、台所へと足を向けた。


もちろんお茶を入れる為に




「…ひっどーい!そんな酷い男が居る訳!?」


姉ちゃんのわざとらしい声がリビングから聞こえて来る。



「有り得ないですよね!しかも謝りもしないんですよ!」


由恵もわざと大きな声で言っている…。 


…大体、何であの二人があんなに仲良くなってるんだよ。


由恵は付き合う前から俺の家には何度か来ていた。


しかし、俺の家族は由恵を俺の彼女だと勘違いし、由恵と家族の一員の様に仲良くなり始めた。


特に姉ちゃんは由恵の様な妹が欲しかったらしく、一段と仲良くなっていた。


休みの日なんて一緒に買い物に行ったりもしていた。


…なので、俺と由恵の付き合いを一番喜んでいたのは姉ちゃんだった…。 


「本当最低!そんな男別れて正解だよ!」


俺がお茶を持って行くと、姉ちゃんはソファーに踏ん反り返り、大きな声でそう言った。



…バカヤロウ…



「やっぱりそうですよね!もう、綺麗さっぱり忘れましたけどね!」


由恵も俺を無視して話を進める。


…お前なんてマコオタクなくせに…



……。



俺はテーブルにお茶を置くと、退散するためにリビングの外へと足を…



…ガチャ!



俺がドアノブに手をかけるよりも早く、ドアが開く。


「あら!由恵ちゃん来てたの?今お菓子出すから待っててね。」


そう、満面の笑みで入って来たのは…



…母ちゃん…



「あっ!こんにちは。お邪魔してました。」


由恵はそう言って席を立つと、母ちゃんに向かってペコリと頭を下げた。


母ちゃんはそんな由恵を見ると嬉しそうにニコニコしながら


「あらやだ…そんなに改まらないで。」


と言いながら姉ちゃんの隣に腰掛けた。


すると、姉ちゃんは俺の方をちらっと見てから、


「ねえ、聞いてよ!由恵ちゃん馬鹿な彼氏と別れたらしいよ!」


…と続けた…。



…母ちゃんにまで言うなよ



もちろん、母ちゃんは驚いた様子で俺を睨みつけた。


……。



「由恵!」



俺は慌てて由恵の手を引き、自分の部屋へと駆け込む。



…最悪だ…



絶対、今日の夕飯俺の分だけ抜かれてる…



…きっとこれから三日位は家族総出で俺を無視するんだ…



……。



俺はちらりと由恵を見る。


由恵はベットに腰掛けるとニコニコと俺を見ていた。

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