12 しじみ取り
次の日、私は王宮に向かった。
服はどうしようか?と迷ったが、まぁ、メイド服で良いだろう、ということでいつも通りの格好にした。
王宮に着くと、私の事は聞いていたらしく、厨房メイドの証明書を見せるとすぐに王宮の中に通された。
「エレナ様、こんにちは。
わたくしは、皇帝陛下付きの執事のバロンドと申します。
陛下から、エレナ様をご案内するように仰せつかっております。
どうぞ、こちらへ。」
白髪が少し混じった真面目そうな紳士が、私を応接ホールへと連れていった。
そこには、シャンデリアがこれでもか!というほどに下がっており、その下には煌々と照らされた革張りのソファが幾つもあった。
「エレナ、こっちだ。」
ルシウス様が私を呼んだ。
彼はピンクの革張りのソファに腰掛けており、長い足を組んでいる。
「お待たせしましたか?」
「いや、ここで休憩がてらマンゴーを食べていたから、気にするな。
マンゴージュースでも飲むか?」
「いえ、お気遣いなく…」
とは言ったが、皇帝陛下の命ですぐにマンゴージュースが届いた。
甘い…
その中にほのかな酸味がある…
私は少しマンゴージュースを口に含んだ。
「して、しじみ取りは?」
「あぁ…
そろそろ…」
「失礼致します!
しじみ取りのジャックでございます!」
「来たか。
入れ。」
ルシウス様が短く言った。
その男性はひょろりとして、日によく焼けていた。
しじみを取るのだから、日焼けするのは当たり前か。
「そこに座れ、ジャック。
今からそなたに少し質問があるのだ。」
そして、皇帝陛下は私に視線を向けた。
「ジャックさん、いくつか私の方から質問があります。
どうか、正直にお答えください。」
私は言った。
「もちろんです。
しかし、質問とは…?」
「しじみが盗まれた、という事ですが…
詳しい経緯を教えていただけませんか?」
「え、えぇ。
私はアウレス海岸でしじみを取っております。
最近だと昼の12時から1時間ほどです。
そして、しじみを取ったら、一旦アウレス港に運びます。
すぐ隣にある港です。
しじみは取ってすぐに砂抜きしなければなりません。
後でしようとすると、弱って砂を吐かなくなりますからね。
そこで、私はアウレス港に持っていったら、すぐに綺麗な海水を入れて、2、3時間放置するんです。
私は一旦近くのレストランで昼食をとり、戻ってみると…
しじみがなくなっているのです!」
「な、なるほど…
詳細は分かりましたが…」
私は腕を組んで考える。
しじみは砂抜きする為に放置している2、3時間の間に盗まれている…
「2、3時間、じっと見ている事は…?」
「いやぁ、流石にこの寒さじゃ…
凍えてしまいますよ…」
確かにそうだが…
「どうだ?
何か分かったか?」
「そんなに簡単には分かりませんよ。
ジャックさん、明日しじみ取りに同行させてもらえますか?」
「え、えぇ、そりゃあ構いませんが…
まさか、皇帝陛下も…?」
「…俺も行く。」
陛下は憮然としてそう言った。
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