01 騒々しい朝
こんにちは、とある国の由緒正しい侯爵家に生まれた令嬢、マリーシャ・テラトです。今の私は洗面を終えた寝起きの6歳、とても愛くるしいです。最近、個人的に転生ものの書物を読むのが流行りです。その中でも主人公が婚約者に勝つ俗にいうざまぁ系を好んでいます。はぁわたしも転生者になりたかった、、。と思う今日この頃です。
さて自己紹介もこの辺にして、今日我が国アーデルは200年に一度、転生者を迎えます。今日はその”転生者様”のお披露目の式典ってわけです。はっきり言って面倒です。王族と関係者だけでいいのに、なんでも200年に一度なものでその式典は国ぐるみでやるそうで、、はぁ面倒くさい。んん!失礼、取り乱しました。しかたないでしょう、寝起きなのですから。
コンコン「お嬢様、失礼します。」
あら、もう来たのね。「おはよう、サーラ入っていいわよ」
寝起きなのに素晴らしい滑舌です。私すごい。
「、お嬢様が起きておられる、、?」
「まあ失礼ですね、私だって6よ?一人で起きようと思えば起きれます。いつもはやる気がないだけなのです」
「わあ。開き直ってるぅ」
なんて失礼な子でしょう。でも今日は失礼な言葉が少ないわね、、ん?
「ところでサーラ、アンナはどこかしら?」
そう、サーラの双子の姉、アンナがいないのです。
「姉でしたら今日の式典のドレスの最終チェックにいってます」
「あーね。理解だわ。」
「え?あーねってなんですか?」
「遠い東洋の国の言葉よ。神秘的でしょ?」
「へえ。さっすがお嬢様、変な言葉すら操るなんて!変なもの同士は相性がよろしいんですね!!!」
「クビにするわよ?」
なーんて軽口を叩いている間に髪の毛のセットと着替えが終わっていました。
なんて有能なんでしょう。失礼だけれども。
「んふふふふ」
サーラが変な声を出しています。ついにお医者様を呼ぶときが来たのでしょうか。
「どうしたのよ、怖いわよ?」
「いやぁ。お嬢様が可愛すぎて」
「まあ嬉しいわ、ありが「「自分の有能さが怖いですね!!自分に惚れそうです!」」
「…そう」
とことん失礼な子です。
△▽△▽△▽△▽
さて今から朝食の時間です。忙しい使用人の皆さんも私を見ればほっこり。笑顔で挨拶をしてくれます。
「おはようございます、お嬢様」
「おはよう、アルベルド」
「今日のスープは何かしら?」
「ジャガイモの冷製スープです」
「お兄さまが好きなやつね!」
この方は家令のアルベルド。とっっても優秀なのです。
「お父さまとお母さま、お兄さまはどちらに?」
「もうテーブルについております」
「あら急がないとね」
「そう言えばヴァルの復帰は明日だそうです」
「本当?」
ヴァルというのは我が家我が家の執事見習いのことです。前々から引いていた風邪を拗らしてしまったらしく一カ月間、休んでいたのです。ちなみにサーラとアンナは私の専属侍女です。
「はい、昨日お医者様から許可がでたので」
「まあ!明日からまた賑やかになるわねー」
といった非常に和やかな会話をしている間にもう着いていた。
「おはようございます、!お父さま、お母さま、お兄さま!!」
そう言って私はお母さまに飛びついた。
「おはよう、マリー」
そういうお父さまはとてもダンディで素敵。金髪金眼で周りが輝いているわ。まぶしい!
「ふふマリーったら」
微笑むお母さまはもはや女神。シルクのような柔らかく艶やかな髪に空の色のような透き通った大きな瞳。お母さまってば可愛いがすぎますわ、!
「マーシャおはよう」
私の頭を撫でるのはお兄さま。お兄さまはお父さま似の金髪とお母さまより深みのあるまるで海のような青に碧色を一、ニ滴混ぜたようなそれはそれは美しい瞳ですの。将来は金髪碧眼のイケメン貴公子確定ですわ!(早口)
「マリー、レイト、座ってくれ。今から大事な話を今から二つする。どうか落ち着いて聞いてほしい」
真剣なお父さまの表情もかっこいいですわ!
「なんでしょ「なんでしょう?!」」
「…」
まさか昨日寝る前にベランダに出て憂いを帯びる乙女の真似をしていたのがバレたのでしょうか。
「まあまあマリーったら少し落ち着きなさいな」
「はあい」
お母さまに宥められました。だって心配じゃなんですもの。嫌ですよ、そんなことをお父さまたちに知られるなんて。それにしてもくすくす笑うお母さまもとても可愛いですわ。
「…一つはな、お前に”おとうと”ができる」
「なるほど、”義弟”ですね。何歳ですか?」
安心です。今すごく心が軽くなりました。
「はぁ。お前は本当に話が早いな。今4歳だ。」
「2個下!?可愛いですわね!!」
決して義弟がお父さまやお母さまの愛人の子というわけではありません。我が家は昔から男児が一人で跡継ぎの補佐が本家から出せなかった場合孤児院から年下の男子を養子にしています。この代も男児は兄だけなのでそろそろかなと思っていたのです。それにしても2個下の弟なんて。会っていなくてもわかりますわ。性格は可愛い確定ですわ!!!なんてったってお父さまの見る目は素晴らしいもの!!
「それで、名前はなんと?」
こんな時でも冷静さを保つお兄さま。素敵ですわ!
「アーネストだ」
「帝国語で天使の子、という意味ですね!」
名前も年の差も可愛い、、?!そんなのもう反則です。
「ああ。可愛らしい容姿の割に狡猾さを持ち合わせいていそうでな」
「まるで母上のようですね」
その発言であたりが一気に静かになる。使用人たちもこちらの様子を伺っている。
あら。今日はお兄さまの命日のようですわ。残念です、借りたい本があったのに。
「もう!レインったらぁ、埋めるわよ??」
「…母上は今日も麗しいですね」
「ふふっまあ。嬉しい」
どうやら今日は生き延びたようですわ。可愛らしい顔、鈴のように軽快な声に合わない発言をする、そんなお母さまも大好きですわ!!
「…レイン、社交の場では思いつきで喋らぬようにな」
「以後気をつけます」
これが男同士の絆ってやつなのかしら。お父さまがお兄さまを救いました。
「それでもう一つはなんですか?」
お兄さまに死なれては困るので私も困るので、助け舟を出してあげました。あとでご褒美に頭を撫でていただきましょう!
「もう一つはなマリー、お前が”転生者様”の教育係になった」
「えぇえ?」
「マリー?そんな腑抜けた声、とっても可愛らしいけれど表では出してはダメよ?」
「はい…」
よく考えて?マリーシャ?これはお父さまの冗談よ!きっと
「嫌ですわお父様!!朝からそんな喧しい冗談つかないでいただきたいですわ」
さすがに朝から冗談はうざったらしいですわ。お年頃の娘にそんなこというだなんて、嫌われてしまいますわよ!嫌わないけれど
「これが嘘ではないんだよなあ、マリー。お前が嫌がると思って最初は断ったんだよ」
「そうよ?私だって王妃様にお断りさせていただいたのよ?」
「よりによってなんで私なんですか?それじゃあ家族の時間が減るではありませんか。ほらお兄さまなんて悲しすぎて放心していますよ?」
6歳ですよ?私。かわいい盛りですよ?お父さまやお母さま、お兄さまとの時間は限られているというのに。あまりに酷いですわ。
「そうですよ父上!マーシャにそんな重い仕事を与えては駄目ですよ、きっと初日から寝坊しますよ?」
まあ先程からお兄さまは失言が多いこと。少し睨んだら頭ポンポンされました。私をなんだと思っているのかしら。その顔面だったら許してしまいますわ。
「まぁ落ち着け」
「落ち着けませんよ!大体当初はノワール伯爵令嬢のキャロット様が担当する予定だったじゃありませんか」
キャロット様は15歳の私を可愛がってくれるお姉さまです。おっとりしていてほんっと可愛らしいんです。腰まである、にんじんのような色をしたふわふわの髪に曇り一つない桃色の瞳をしていて肌が透き通るように白くって頬はほんのりピンク、唇はぷるっぷるでこれまたほんのりピンクでぇ手先が器用で、優しくって、声が可愛くて。まさに可愛いの具現化です。確かマンダリン子爵の令息と良さげな感じでしたわ。キャロット様はよく家にやってきてお母さまとお茶をしています。
マンダリン子爵令息こと、ルイス・マンダリン様はチョコレートのような茶髪にこれまた茶色の瞳をした優しくって穏やかで素晴らしい方です。私の初恋でした。
「キャロット嬢は来年から帝国に留学することが急遽決まってな。皇帝直々に申し出があったそうだ」
「ではマンダリン令息とは疎遠になってしまうということですか?」
お兄さまnice questionです!あの二人の会話や雰囲気が大好きでしたのに、、応援していましたのに、、キャロット様の相談を聞いてアドバイスをしていたのは私(の母)でしてよ!二人が離れて離れなんてそんなのってないですわ!
「そうなるわね。でも交際は続けるそうよ?あの二人なら浮気もしないだろうし、むしろ二人とも相手に釣り合う人になると意気込んでたわ」
「まぁ素敵ですね」
なんて和やか。一人で焦っていた自分が情けないです…
もっとお母さまやキャロット様のようにお淑やかな淑女を目指さなくては!!
私は「あーね」を変な言葉だと思っていません。
素晴らしい言葉です。




