ラヴとシア(の母)
後編は次回
+++
「ラヴニカ・コルデイクは《病魔》の魔人。魔神の生み出した邪なる風。下位の魔力生命体である彼女は彼の手駒のひとつにすぎませんでした」
400年前。人と魔族が争う時代。
勇者たちの活躍で露わになった種族間の誤解と黒幕の存在。戦局が大きく動き始めたその時、ソレは世界中に現れた。
魔人。魔神が自ら生み出した世界侵攻の為の駒。
単体で一国を滅ぼす事ができるほどの魔力を持つ戦略兵器。
たった一晩で世界が変わったと戦史で語られる戦争の序章。それはたった数人の魔人による虐殺だったという。
7人の勇者たちを中核とした人と魔族の混成軍が反撃に転じるまで1年。
《魔人戦争》と呼ばれることとなる戦争がはじまるその間に魔人の犠牲者になったのは十数億人、当時の世界人口の4割を超えていた。
しかし4割で済んだという見方が正しい。魔人が現れた早い段階で《彼女》がリタイアしたからだ。
生物を効率よく大量に殺せる細菌兵器、《病魔》の魔人が。
《風使い》が命を賭して彼女を封じなければ一月と持たずに人と魔族、勇者さえも死滅していただろう。
《世界》はそう記憶する。
「我が神の望みは《世界》をもう1度創りかえること。我ら魔人が受けた命は世界に要らぬものを排除することじゃ」
「創りかえるならすべて壊せばよかったじゃないの?」
その言葉に紫の髪をした艶美な女はこう返した。
勿体ないじゃろ? と。
「我は好きじゃよ。この世界が。特にこのあたりの風は我の肌に合う」
「あなた……」
「生まれ落ちた地がここでよかった」
魔人は眩しそうに紫の瞳を細める。
初めて見た世界。その感動は魔人の何かを変えた。
そして思う。「欲しい」と。
「我が神は次の世界を《再生》ではなく《再成》させるつもりらしい。『つくりかえる』だけならばこの地はそのままで残しておきたいのじゃ」
「その世界に私達はいらない?」
「らしいぞ」
「……人を滅ぼしたいのはあなたの意思?」
「違う。我が神のじゃ」
「……」
彼女は、《風使い》と呼ばれるフェアリーの彼女はそれで覚悟を決めた。
「それなら私はあなたを絶対に止める」
「無理じゃよ」
魔人は言った。
「羽なしのフェアリー。お主は魔法使いじゃろ? 魔法では魔人には勝てぬ。勇者どものゲンソウの力でもなければな」
「それでも」
「無駄じゃ」
「私は」
「無」
「うるさいわよ!」
「!?」
史実では語られないが、《風使い》の彼女は短気だったという説がある。
「アタシ達を皆殺しにしてこの地を残しておきたい? ふざけるな。ここはアタシの故郷だ。アンタのものじゃない」
彼女はイラッときてつい地を出してしまった。
「ここには妹が、アタシの守りたい人たちがいる。この世界にはアタシの大切な、大好きな人がいるのよ。だからアタシは戦う。アンタ達から皆を守るんだ」
「その気持ち、我にはわからぬよ」
守る。自己防衛とは違うその意味を駒でしかない魔人は理解できない。
「当然よ。アンタは知らないから」
「何?」
「この世界が好きだといったアンタ自身が世界の半分しか知らないからよ」
翠の瞳が魔人をまっすぐに見つめる。
「アンタの見た世界って何? まさか風を感じながら風景を眺めて美しいなんて気取ってるだけじゃないでしょうね」
「……」
魔人は答えない。図星だったからではない。
見つめられたその強い瞳の色にのまれた自分にただ驚いていたから。
《風使い》は言った。
「だったらアタシは退けない。何も知らないアンタに滅ばされたくない。世界の素晴らしさはそんな単純なものじゃないから。だって世界は」
世界の半分は――
+++
「……む」
目が覚めた。
「起きましたか」
目の前には何故かこの国の守護精霊がいる。
寝ぼけているのか、彼女は精霊に向かって柔らかく微笑んだ。
「……驚いたよ。魔人でも夢を見れるとは今日初めて知った」
「そうですか」
ラヴニカはいつものように北の森で自然を満喫し、そのあと木の上でつい眠ってしまったようだ。
彼女は魔人ではあるが体力は今の外見通り程でしかない。
早寝早起きで夜更かしができず、お昼寝は必須なのだ。
「のう、《風使い》」
「いいえ。何度も言いますが私は風森……」
「貴様はエイルシアよりも妹の方に似ておったな」
「……」
黙る風森。
「精霊になっても猫を被っておるのか?」
「……」
精霊は誤魔化すように消えた。
「……勝った。さて」
因縁の相手にひと泡吹かせたことで気をよくしたラヴニカ。それからいそいそと木から降りてその場を離れることにした。
精霊が現れた時点で彼女に居場所が知られたも同然だったからだ。
「ラヴちゃーーん! ……あら?」
間一髪。
「今日の我は絶好調じゃな」
ラヴニカはエイルシアの意表を突く為に城の方へ向かった。
+++
今日のエイルシアはおそらく街の巡回に行くはずだ。
連れまわされるだろうと思ったラヴニカは城の中へ逃げた。
それが失敗した。
「ラヴニカ様は見つかりませんね」
「お部屋の方にも戻られていません」
「ちっ。ここは駄目か」
城にいる使用人の中でも侍女とよばれる一部の人たちをラヴニカは苦手としている。
彼女達はエイルシアの味方であってラヴニカの敵だからだ。
「今日用意したお召しものはきっと気に入るはずですのに」
別名『ラヴちゃん着せ替え隊』。ウインディ家の養女をかわいがるだけに存在する特殊チーム。姉姫様公認である。
エイルシアは長年巫女でいたから今も着飾らないし長期休暇に帰ってくるエイリークもドレスなんて絶対着ることがない。
世話係である彼女達もエイルシア同様、可愛いものをかわいがるものに飢えていたのだ。
「動きやすいものとエイルシア様がお選びになったものですしね」
「お似合いだわ」
侍女の1人が手にしているのはパステルカラーのワンピース。
ではない。
「シアめ。どこでそれを知りどうやって手に入れおった」
自称『ラヴちゃんのおねえちゃん』に向かって唸るラヴニカ。彼女の持つ知識がその服がどれだけ危険なものかを訴えていた。
それはスモックだ。作業着ではなく幼稚園児が着るようなアレ。オプションとして黄色い帽子とひよこのポーチまである。
「冗談ではない。我はそこまで縮んでおらん」
捕まったら最後だ。今日は幼稚園児のコスプレ(魔人は博識だ)で街へ連れて行かれる。
ただでさえラヴニカは城の外へ連れ出されるのが嫌なのに。
「中にいるのは確かよ。城の出入り口をしっかり見張って。裏口もよ」
「兵舎の方はどうかしら?」
「ありえるわ。すぐに人を遣って」
「はい」
「中庭を見てきます」
「倉庫の方は私が」
「待って。2日前は毛布にくるまって冷凍庫に隠れていたこともあったわ。そっちもお願い」
「わかりました」
「奴らめ。日に日に統率がとれてきておる」
幾多の戦い(かくれんぼ)を繰り広げてユーマ以上の強敵となった捕獲班。城の兵まで派遣していた頃に比べればすごい進歩だ。
他の国には自慢できないけど。
「隠れてやり過ごすしかないの。札は先日使いきったからシアに補充してもらわねばならんし」
上の階から飛んで逃げることを諦めて別の逃走ルートを思案していたところ、
「ラヴニカ様?」
「っ!?」
見つかった。
「皆さん! こちらにラヴ……」
「このっ!」
ラヴニカはユーマの部屋から物色した煙玉を叩きつけて逃走。
「きゃあ」
「甘い。我はそう簡単に捕まらぬぞ」
煙幕の中で「あはははは」と幼い高笑いが響き、遠ざかっていく。
「大丈夫?」
「ええ。この先にラヴニカ様が」
「追いかけるわ。向こうにも人がいるから挟み撃ちよ」
「「はい」」
侍女たちは白煙でいっぱいの廊下を駆け抜けて行った。
「……行ったかの」
ラヴニカは煙幕が展開しているうちに『囮』を放り投げ、近くの部屋に飛び込んで侍女たちの追跡をやり過ごした。
「ぬかったわ。まさか切り札を使う羽目になろうとは」
囮とはユーマのおもちゃである録音機能付きのボール。
しかもランダムに跳ねまわる代物なので今もラヴニカの高笑いが廊下を駆け回っている。
「このまま隠れておくか。しかしこの部屋は」
入ったことのない部屋だった。内装は豪華とは言えないが調度品が他の部屋のものより高級な感じがする。
それよりもラヴニカは部屋の中で懐かしい『風』を感じた。
あたたかい、エイルシアよりも落ち着いたやわらかな風を。
「誰かいるのかしら?」
「!」
その部屋が誰の部屋なのかに気付き、ラヴニカは後悔した。
煙幕を使ったとはいえ隠れる部屋を確認しなかった自分の愚かさに。
「あら? あなたは……」
ずっと遠ざけていたかった。
城にいてもできるなら出会いたくなくて避けていた。
「あ……」
娘によく似たはちみつ色の髪も精霊になった彼女にも似た翠の瞳も見たくなかった。
10年前と変わらないその姿がラヴニカに罪を意識させる。
「久しぶりね。ラヴニカ」
エイリア・ウインディとの再会。
彼女が向ける微笑みを前にしてラヴニカは逃げたくてしょうがなかった。
+++
エイリア・ウインディ。風森の王妃にして先代の《風邪守の巫女》。若い頃は《旋風の剣士》と呼ばれていたこともある。
10年前の《封印の儀》ではラヴニカの再封印と共に石像化した彼女だが最近になって解放された。
ただ衰弱しきった彼女が目覚めるまでそれから2週間ほどかかっている。誰もが王妃の目覚めを待ち遠しにしていた。
彼女が目覚めたその時のことをラヴニカはよく覚えている。
泣いて喜んだエイルシア達のことを彼女はどこか遠いところから眺めていた。
「いらっしゃい。こうして会うのははじめてね」
「……ああ」
ぎこちない返事。
ラヴニカは逃げたくても足が思うように動かずその場で硬直。
「お主は……変わらぬな。我を前にしてよくも笑っていられる」
「? ごめんなさい。まだ身体の調子がよくなくて耳が遠いのよ」
「そうか」
「少しずつリハビリはしているのよ」
10年前から姿が変わっていないといってもエイリアは弱っていた。感覚は完全に回復しておらず体は今も満足に動かせない。
「よかったらこっちへ来て。お話しましょう」
「……うむ」
何を恐れておる! 自分を叱咤してラヴニカはがちごちに強張った足を動かす。
おずおずと近づいた彼女にエイリアは、
「つかまえた」
「のお!?」
抱きしめた。
「かわいいわ。リィちゃんみたい」
「は、離さぬか」
力が入らないのか、エイリアにふんわりと抱きしめられたラヴニカは無理やり振り解くことができず真っ赤になって困惑する。
「綺麗な髪ね。櫛はどこかしら?」
「……親子じゃよ。お主らは」
間違いない。迷惑な遺伝だ。
なんとか無理をせずにエイリアの腕から抜け出した。
ラヴニカは警戒しながらも彼女のベッドにちょこんと座る。
「そういえば、あなたはどうしてここにきたのかしら?」
「……ふん。たまたまじゃ。シアや侍女どもから逃げておった」
「どうして?」
「うっ。そうじゃ。そもそもお主の娘が」
いつものように? 抱きつかれたせいか緊張のほぐれたラヴニカはエイリアに色々と愚痴をこぼした。
エイルシアのせいでどれだけ自分に迷惑がかかっているか延々と。
「自分は着ぬくせに我にばかりふりふりしたものを着せおる。動きづらくて敵わん」
「そうなの?」
「そうじゃ。あ奴は自分勝手ですぐうっかりするボケ女じゃ。この前だって我がおらねば国は崩壊しとったぞ。知らぬか?」
「まあ」
娘への罵倒を笑顔で聞くエイリア。
「それに我をどこへでも連れて行こうとし世話を焼こうとする。縮んだとはいえ我は子どもではないのじゃぞ」
「ねぇ、ラヴニカ」
「何じゃ。我はまだ文句があって言い足りぬぞ」
「今、楽しい?」
ラヴニカは言葉に詰まる。
「あの子といる時間をあなたは楽しんでくれてる?」
「そんなことない! わ、我は」
違うのだと否定する。
否定しないといけない。
なぜならラヴニカは……
「我はお主の」
「ごめんなさい」
エイリアが何故謝るのかラヴニカは理解できない。
「エイルシアがあなたのこと話してくれたの。私達ウインディの人間はあなたの話も聞かずあなたをずっと縛り付けていた。私達は間違っていたのじゃないかって」
「何を」
「私もそう思うわ。あなたはこんなにもいい子だから。だから謝りたいの」
「違う!」
ラヴニカは叫ぶ。悲鳴のように。
「何故お主が謝る? 謝罪し償わねばならぬのは我の方じゃろうが!」
「ラヴニカ?」
「お主と娘たちの時間を奪ったのは我じゃぞ。魔人の我がいたからお主ら《風邪守の巫女》は親しいものたちと別れなければならなかったのじゃぞ」
「それは」
「わかるのじゃよ。お主らが我に向けた憎しみの意味が。……《風使い》が守ると必死になったその想いが。やっと」
そう言ったラヴニカは子どものように泣きそうな顔をする。
「奪われたくなかったのじゃな。誰かと共におることのできる時を、誰かと繋がることのできる世界を。共に過ごし創り出す思い出は何よりも世界を彩ることをお主らは知っておったから」
懺悔にも近い彼女の告白。
「お主には正直に言おう。封印から解かれ今日までの日々は楽しかったよ。だから思い知った。かつて我が欲した世界はちっぽけで、お主らから奪おうとした世界の素晴らしさを知らなかったと」
笑う。ぎこちない笑顔で彼女はかつての自分を嗤う。
「知らなくて当然じゃ。魔人である我はずっと1人じゃったから」
「でも今はちがうのでしょう? 今のあなたにはエイルシアがいる。あの子とすごした日々があなたの思い出になっている。そうでしょ?」
「そうじゃな」
エイリアに力なく返事をした。肯定ではなくただの相槌。
「だから辛い。エイルシアが楽しそうにするたびにお主の居場所に居座っている気がして申しわけない」
「そんなこと」
「あるのじゃよ。あ奴はすぐ無理をする。いろんなものを抱え込む。お主がいなくなった10年の時。国を支え家族を必死に繋ぎとめておったのはエイルシアじゃ。そのくらい我にもわかる」
「……」
「あ奴が我まで抱え込む必要はない」
幼い妹に愛する人を失った父。その2人を支え続けたエイルシア。
当時12歳だった娘に背負わせたもの重さを再確認してエイリアは顔を伏せる。
「顔をあげよエイリア。誇ってよいぞ。お主の娘は良い女じゃ。……人の運命に喧嘩を売るだけの厄介なあの魔女が、あ奴の為に小僧を寄越したと思えば納得するほどに」
「魔女?」
「おとぎ話じゃよ。……さて」
ラヴニカはベッドから降りるとエイリアに背を向ける。
「お主と話ができたのはよい機会じゃった。……行くよ。この国には長居し過ぎた」
ラヴニカは別れを告げる。この先ずっと会うことがないだろうから。
「失った時はもう戻らぬが、お主はこれからでも家族と共に過ごし大切な思い出を作るがよい」
「……あなたは?」
「さあな。だがもう誰もお主たちの邪魔はせんよ。お主も我も、エイルシアも縛られるものがない。自由なのじゃから」
「ラヴニカ」
立ち去ろうとするラヴニカをエイリアは背中から抱きしめる。
あまりにも寂しそうなちいさな背中を。
「離せ」
「……あなたが、あなたが自由だというならばここにいてもいいのよ?」
「ならぬよ」
「どうして」
「魔人を国で野放しにしておくリスクを考えろ王妃。事が公になれば我の存在は災いを呼ぶぞ」
「……」
ラヴニカは押し黙るエイリアの腕をそっと振り解く。
人のぬくもりから離れることを惜しむ、その心と一緒に。
「《ラヴニカ・C・ウインディ》の名は返す。王とエイルシアにはよろしく伝えてくれ」
「まって」
「さよならじゃ。……母上」
最後に逢えてよかった。
その一言を最後にラヴニカは、ウインディ家の養女でいることを辞めた。
「でも、でもねラヴニカ。あなたの時間を奪い、世界から隔絶してあなたをずっと独りにしたのは私たちなのよ」
エイリアの言葉はもう届かない。
+++
ラヴニカが立ち去ったあと。1人では立つこともままならないエイリアは彼女を追いかけることもできずその場に座り込む。
「お母様?」
しばらくして現れたのは母の様子を見に来たエイルシアだ。
「どうしてベッドから……」
「エイルシア! あの子は」
「え?」
突然腕を掴まれてエイルシアは戸惑う。
「ラヴニカ、あの子はいないの?」
「それが城の皆とずっと探してるのですけど……ラヴちゃんたらまた新しい隠れ場所でも見つけたのかしら? でもお夕飯には必ず戻ってきますよ」
今日はハンバーグなんです、と言うエイルシアにエイリアはぷっつん。
「なにを暢気なことを言っているの」
「いたっ」
エイリア、娘にチョップ。
「ううっ。……10年ぶりです」
「……あの子の言うとおり本当にうっかりボケ女なのあなた?」
事情がわからないことは仕方ないと思うが、なんとなく嬉しそうだった娘にもう1発。
「……酷いですよお母様」
「いいから聞きなさいエイルシア。ラヴニカはここから出て行く気よ」
「えっ?」
「帰ってこないつもりなのよ」
「ええっ!?」
エイルシアはおろおろしだした。
「どうしよう。やっぱりあのお洋服が嫌だったからラヴちゃんは家出を……」
「いい加減シリアスモードに切り替えなさい」
「あいた!」
3発目のチョップが炸裂。
「でもどうしていきなり」
「私と話をしたことでけじめをつけた気でいるのよ」
「……お母様が悪いじゃないですか」
「黙りなさい」
エイルシアは咄嗟に額を庇う。
フェイントにひっかかった。
「……うう」
「いいからラヴニカを追いかけなさい。子どもの姿のままならまだ追いつけるはずよ」
「わかりました」
精霊のカレハに探索を頼み部屋を飛びだそうとしたエイルシア。
それをエイリアは呼び止める。
「エイルシア。あなたは魔人であるあの子と一緒にいるのは嫌?」
「なにを言ってるんですか。ラヴちゃんから毎日ラヴちゃん成分を補給しないと私はもう生きていけません!」
「……あなたは」
立派になったと思ったのに。
今の娘を見て呆れ、嘆きたくなったエイリア。
「大丈夫です。ラヴちゃんはもう1人じゃない。……ひとりぼっちにはさせません」
「エイルシア?」
「いってきます」
別にふざけてなどいない。今度こそエイルシアは追いかける。
いつか来ると思っていた。ほんとうの彼女と向き合えるその時を待っていた。
エイルシアは追いかけて今度こそラヴニカに手を伸ばす。繋ぐために。
今がきっとその時
+++




