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幻創の楽園  作者: 士宇一
幕間章 Aナンバー登場編
76/195

学園最強 前

「エースの初仕事」の続編。残る2人のエース

 

 +++

 

 

 前回までの話

 

 

 アギはユーマの盾となって埋まった

 

 +++

 

 

 というのは話の端折りすぎなのでテイク2。

 

 

 他校で起きた立てこもり事件。ユーマはエースの初任務として降下作戦を実行。犯人をぶっ飛ばす。

 

 事後処理は《青騎士》の騎士団に任せ事件は難なく解決した。

 

 

 その次の日。

 

 

「お前、普通死ぬぞ。わかってんのか? ああ?」

「……生きてるじゃないか」

 

 ユーマは朝早くから《バンダナ兄弟》の青いほうに絡まれていた。

 

「俺だってあの高さからあんなスピードで落ちたら死ぬよ。ヒュウさんやメリィさんが異常なんだよ」

 

 上空1500メートルからの降下強襲を生身と着ぐるみで敢行した《鳥人》と《獣姫》。これには《精霊使い》もついていけない。

 

 なのでユーマは2人について行けるように合体奥義、『シールド突撃』を行った。

 

 ガンプレートでブースト、墜落時の衝撃をアギの《盾》で防いだのはいいが、アギは着地時にユーマのクッションがわりに潰されて気絶。そのまま忘れ去られ放置という酷い扱いを受けていた。

 

「他にもマシな手段があっただろうが。それになんだよ、あのうさぎ」

「思い付きで言った作戦が2人には受けがよくて……メリィさんのうさぎは俺もよくわからない」

「お前が言い出しっぺじゃないか!」

 

 アギはユーマの首を締めながら学園のエース達に不安を覚える。

 

「今期の《Aナンバー》は大丈夫なのかよ? ヒュウやお前がいて今までにないメンバー構成してるぞ」

「放して……ぷはっ。……実力あってのエースらしいよ。それに《入れ替え戦》だってあるからずっとこのままとは言えないから」

 

 《竜使い》の闇打ちにあったエース候補たちもいる。学園にはアギのような隠れた実力者がまだいるとユーマは思っていた。

 

「世代交代の時期ならともかく、お前が《11番》の時点でしばらく入れ替えはねえよ」

「そうかな」

 

 昇級試験の試合とはいえ、その《11番》のユーマに勝ったアギが次のエース候補の1人だろうに。

 

「あ。渡しそびれたアギの報酬。今渡すよ。カード出して」

「そうだよ。何のために俺は空から落ちたと思ってんだ?」

「親友の為でしょ?」

「……ほらよ」

 

 アギは答えなかった。そして追加されたクレジットポイントの数値を見て黙り込む。

 

 思っていた額よりも桁が2つも違った。

 

「……ユーマ君。なんだい、これ?」

「俺がエースとして貰った報酬を2人で分けたんだよ。びっくりするよね?」

「ぼろ儲けじゃねえか!! ……いや、俺は命懸けだったから足りないのか?」

 

 ユーマにやられた仕打ちを考えて思い直すアギ。

 

「俺の場合、殆どスタジアムの弁償になくなるんだけどね」

 

 エースの任務で得られる報酬は学園都市のどこで働くよりも高額。だがそれは任務の経費込みだ。それから装備や騎士団の運営費にあてがうと人によっては足りない場合もある。

  

 普通エースは個人で動く。エース同士で組むこともあるがそれは要請があった場合のことが多い。

 

 1人で任務を請け負う場合、エースにも個人で向き不向きがあるはず。そこで彼らは任務をサポートしてくれるチーム、騎士団を持つことが許されている。

 

「騎士団ねぇ……竜騎士団を思い出すな」

「……うん」

 

 思い出すのは《皇帝竜事件》。学園内で最大の勢力だったはずの《竜使い》の騎士団。

 

「誰でも操れる幻創獣。あの《竜》は魔獣とかわんねぇ。どう見ても戦闘向け、破壊行動しかできなかったぞ」

 

 リーズ学園はともかく他の学校、戦士や魔術師のいない所は皇帝竜どころか数体の飛竜や竜人兵でも脅威となるはず。

 

「幻創獣の竜は武力制圧に向いてたと思う。それに俺はエースが他校に介入できるなんて知らなかったよ」

 

 学園都市で起きる事件、他校の揉め事を解決するためならばエースは独自に動くことができる。

 

 もしもあの《竜使い》がエースのままだったら……

 

「他校の救援を名目に堂々と竜を派遣できる。そのまま騎士団を駐在して皇帝竜で支配……なんてな」

「生徒会長の学園都市統一の話は本当かも」

 

 生徒会長の権限のひとつに「必要に応じて学内のエースを派遣、要請することができる」というのがあるからだ。

 

 エースを私有する危険な権利。現に《会長派》のエース2人は彼の思惑で動くことがある。

 

「……まあ、いいや」

「そうだな」 

 

 それでどうなるのか、ということは2人は考えなかった。

 

 竜騎士団は《竜使い》諸共壊滅した。幻創獣だって今はティムスエルドカンパニーの管理下にあり、工事用の労働力かPCリングの待受キャラクター程度でしか扱われていない。

 

「まずあり得ないんだよ。学園都市の統一なんて」

「ん? やっぱり?」

「他校のエースだってうちの学園に介入できる。下手すれば『リーズ学園対学園都市』なんて事態もありうる話だ」

 

 アギは『常識』を言った。

 

「それに俺達学生よりも先生達がはるかに強い。学園都市の教師は余程の事がないと動かないけど、戦闘タイプの教師に俺達はまず敵わない」

 

 学園都市における個人ランクは世界基準に置き換えれば2つか3つ下がる。そして教員資格は何の能力であれ世界ランクC以上が必須とされていた。

 

「例えばグルール先生が本気出したら?」

「あの人は世界ランク基準でBの格闘家だぞ。学園中の購買部が支配下に置かれてギガグリルサンド以外のパンがなくなる」

 

 それは嫌だなとユーマ。

 

「つーわけで学園都市どころか学園統一も武力制圧じゃ無理。仮にできたとして、そんな問題が起きたら今度は世界各国が相手だ。中央中立地帯ここは最初から包囲されてるもんだぜ」

「ああ。そうか」

学園都市ここは世界中の国から保護された『子供の国』なんだよ」

 

 それが現実。何が起きても最後は世界中の『大人たち』が守ると。

 

 

 世界の中央中立地帯。そこにある学園都市は世界中から子供たちが集まる。

 

 裏を言えば世界中の国は何かあれば『子供たち』を盾にする事ができる。だから何も起きない。

 

 

 学園都市は4地方が互いを牽制するために存在する場所にある。

 

 

「だから俺達はいろんなことに挑戦できる。誰もがそれを許されてる。……ここは世界から隔離されてるからな。各国が協力し、干渉しないことで成り立つんだから」

「アギ?」 

 

 アギは故郷の砂漠を想う。

 

 比べたくもないが学園都市の環境は何をするにしても最高の環境だ。リーズ学園はその中でも最高峰だとアギは身を持って知っている。

 

 身分も種族も関係ない。誰もが個人の能力を伸ばすことができる。学園都市にいる学生は未来に可能性とチャンスを与えられている。

 

 

 だからここを《楽園》だと言う人がいる。

 

 

 それが思惑があってつくられた、もしくは管理下に置かれた、『子供の時間』に与えられた有限のものだとしても。

 

 

 生徒会長だってそんなことは知ってるはず。

 

「だから学園の組織改革を行っていても『学園の統一、学園都市の統一の企み』というのは噂どまり。本当のところがわからないが、今の会長は実際よくやってるから誰も不満がない」

 

 アギの言うところが生徒会長に対する一般生徒の見解。

 

「その辺は《会長派》にでもなればわかるのかな?」

「さあな。会って話したんだろ? お前がわかんなきゃ俺にはさっぱりだ」

「そうかな?」

「そうなんだよ」

 

 今のアギはユーマやエイリークが言う『まともなアギ』だ。ユーマは時々だがリュガとは違う意味で彼の事がわからなくなる。

 

 やけに事情に詳しい。真面目に考えることだってある。3枚目から2枚目半にランクアップしてカッコイイ。

 

 

 ……所詮エイリークに吹き飛ばされる同志だというのに

 

 

 そんなことを考えるユーマをアギは知らない。

 

「俺は今の学園のままがいい。それを脅かすなら俺なりに何からでも守ってやるさ」

「……そっか」

 

 アギが無意識に突き出した右手。その先にある《盾》を見てユーマは思う。同じだと。

 

「アギは兄ちゃんに似てるね」

「いきなりなんだよ、それ」

「カッコイイって話」

「……気色悪い」

「ははっ」 

 

 鳥肌を立てるアギにユーマは笑った。

 

 笑ったけれど《盾》は《狼》の拳に負けない、同じ力をもってるとユーマは本当に思ったのだ。

 

 揺るがない信念。ユーマが未だ持たない強い在り方をアギはもう築いている。

 

 

 だから《盾》は強いのだとそう思った。

 

 

 +++

学園最強

 +++

 

 

 生徒会棟、緊急会議室。

 

 

 昼休みに集まったのは正規の《Aナンバー》10人。そして学園長。

 

 実は学内のエースを招集できるのは生徒会長と彼女だけ。

 

「いきなり集めてごめんなさいね。お昼はこちらで用意したけどよかったかしら?」

「構いませんよ」

 

 ブソウは学園長から人数分の『職員弁当』を受け取った。購買部に出回らないある意味レアな弁当だ。

 

「集まってもらったのは親睦会……ではなかった彼のことです」

「ミツルギですか?」

 

 頷く学園長。

 

「そうです。元々招待状配りはあなた達に1人ずつ会わせようとしたことですから」

「ちっ。話聞いた時にそう思った」

「親睦会なんて今までしたこともないからな」

 

 察していたのはティムスとリアトリス。

 

「ユーマが言っていたあの破格の報酬は何だ? 招待状1人に付き10万、20万と言うやつ」

「なんやて!? そんなオイシイことしてたんか、あいつ」

 

 ヒュウナーは驚いた。羨ましかったらしい。

 

「あれはエース就任時に与えられる支度金を使いました。ヒュウナーさんにはもうお渡ししましたよね?」

「……ああ。はい」

 

 学園長には200万なんて豪遊して使い切ってしまったなんて言えない。

 

「ユーマさんには期限を今日までと言っていたのですが……昨日の事件で皆さんと顔合わせしてしまいましたからね。だからお訊ねしようと思いまして」

 

 怪訝な表情を浮かべるエース達。

 

「わたしが勝手に作りだした異例のエース。現エースのあなた達がどう思ったかをわたしは知りたいのです。それでどうでしょうか? あなた達は11番の彼を同じエースとして迎えてくれますか?」

「別にどっちでもいい」

 

 一番に口を開いたのはティムスだ。

 

「エースだろうが違おうが俺はあいつに協力する。逆も然りだ」

「私も構わない。目に付けている後輩が彼にとられる可能性はあるが……」

「ワイもやな。元々おこぼれのエースはワイの方やし」

「……フフ。彼は同志」

 

 リアトリス、ヒュウナー、ミストはすぐに同意。

 

「あの子は面白いわ。特に砂の精霊」

 

 これはミヅル。

 

「試しに感想文を書かせてみたんだけど、渡した古文書の意訳がまったく違うと言ってきたわ。《塔》の7階レベルよ」

「古文書で感想文? またタチの悪いことを」

 

 でもユーマは書いて次の日の今日に渡してきた。彼女の大太刀が怖かったらしい。

 

 

 精霊使いというクラスの特性として、力量に合った知識を精霊から引きだすことができるといわれている。

 

 世界と繋がる精霊は真実を知っている。中でもユーマの精霊である砂更は世界最大の遺跡である《西の大砂漠》、そこに忘れ去られた砂の精霊だ。《西の大帝国》の遺産ともいえる豊富な知識を持っている。

 

 

 ユーマにとって砂更は優秀な歴史家で翻訳家だった。

 

 

「証言が精霊というのは何とも言えないけど、これが正しいと証明できれば……『私が』歴史を変えることになるわ! 聞いて。実は大帝国は……」

「長くなるなら後にしてくれ」

 

 知的好奇心が旺盛で興奮すると周りが見えなくなる《賢姫》の癖は皆が承知している。なので学園長まで聞き流すことにした。

 

 とここまでが賛成派。残りは反対とは言わずとも保留だった。

 

 ブソウは《皇帝竜事件》の際に彼の面倒を見て酷い目にあっているから眉間に皺を寄せたまま、クオーツは生徒会長の敵になるかどうかを見極めきれないでいる。

 

「なんか違うんだ。あいつ」

「メリィベルさん?」

 

 おかしいと首を傾げるのは《獣姫》。

 

「魔族じゃない。でも人でもない気がする。メリィ達と何かが違うんだ」

 

 《直感》持ちなのかメリィベルは鋭い。ちなみに着ぐるみではない。

 

「何だ? だとしたらミツルギは魔人だとでもいうのか?」

「《精霊使い》なんだ。それはない」

 

 魔人は魔神、精霊は世界に属するというのが常識だ。だからありえないという。

 

 人とは違うおかしなことを《獣姫》が言うのは皆が承知なのでこれも聞き流すことにした。

 

 学園長を除いてだが。

 

「……おふたりはどう思いますか? ツートップさん」

「……学園長。こいつとコンビ扱いするのはやめて下さい」

「あはは。ひどいな」

 

 《剣闘士》と《黒鉄》。それが学園の最強コンビである彼らの二つ名。

 

「実は僕たち、彼とまともに話してないんですよ。昨日も顔合わせただけで」

「そうなんですか? マークさん」

 

 マークと呼ばれた少年はそうなんです、と朗らかに笑う。彼の中性的な外見は実際の年齢より1つか2つ幼く見える。

 

 明るい表情が似合う彼が纏うのは黒衣。マーク・K・フィーは魔術師である。

 

「ほら、僕らのリーダーは遠征試合とか多くて学園にはほとんどいないから。僕も応援に行くのが忙しいし」

「リーダーって呼ぶな。柄じゃない」

 

 赤茶のツンツン頭の青年は不機嫌そうにマークを睨む。

 

「お前は俺の応援とか言いながら無料で旅行したくて付いてきてるだけだろ」

「あはは」

「誤魔化すな」

 

 2人のやりとりはエース達のお馴染のものだ。

 

「つまりあなた達はユーマさんのことがまったくわからない、そういうわけですね?」

「はい」

 

 《剣闘士》、学園最強のトップエースは学園長に頷き、最後にこう付け加えた。

 

 

「だから今日にでも試してきます。《精霊使い》が本物かどうか」

 

 

 剣を交えればわかる。彼はそう言った。

 

 +++

 

 

 その日の放課後。

 

 

「どうした? ユーマ」

「果たし状、かな?」

 

 

“今から学園の北、離れの丘に1人で来い。待ってる”

 

 僕らのリーダーより

 

 

「リーダー?」

 

 

 PCリングに届いたメールにユーマは首を傾げた。

 

 +++

 

 

「抜け。闘るぞ」

 

 

 呼び出しに応じて離れの丘に来て聞いた台詞がこれ。

 

「は?」

「ごめんね。言葉が少ない戦闘狂で」

 

 黒衣の少年に謝られて、ユーマは誰かを思い出す。

 

「確か《黒鉄》のマークさんで……あなたがリーダーさん」

「クルスだ。リーダーはやめてくれ」

「でもメールの差出人は……」

 

 『僕らのリーダー』と書いてある。送信したのはマーク。

 

「おい、マーク」

「あはは」

 

 睨むツンツン頭。クルスはとにかくリーダーと呼ばれるのが嫌だった。

 

 

 クルス・リンド。現在の学園最強。トップエース。

 

 《剣闘士》と呼ばれる彼は本物の剣闘士(職業の方)で在学中に世界ランクCの資格をとった、卒業後にデビュー戦を控えるプロでもある。

 

 剣闘士は世界各地の闘技場で客を集め、その前で武技を競い合う戦士たちの総称。今のクルスは学園を中心に世界各地に飛び回り、武者修行に励んでいる。

 

「クルスはね、新米エースである君の力を見たいんだとさ」

 

 クルスの相棒であるマークはユーマに説明した。これは力試しだと。

  

「だから本気出してね。僕らのリーダーは手加減を知らない脳みそ筋肉だから」

「マーク」

 

 不機嫌ツンツン頭は目がつり上がる。

 

「何だい?」

「お前は何もするなよ。1対1だ」

「……君は戦いに集中しだすと僕の悪口を無視するんだよね」

 

 つまらなそうにマークは2人から離れた。

 

「マークさん?」

「君は確か親睦会の招待状を配ってたよね? 僕ら2人が出席するにはクルスに1撃入れるのを条件にするよ」

 

 だからがんばってね、と手を振る。

 

「……もうこんな人ばっかりだ」

「いくぞ」

 

 うんざりしたユーマの隙を突くようにクルスは抜刀。距離を一気に詰める。

 

 クルスの剣は二刀流。ただし彼は腰に4本の剣を提げていた。

 

「風葉、砂更!」

 

 すぐさま反応しユーマは大きくバックステップ。《高速移動》で詰められた距離を離すと同時に《白砂の腕輪》を篭手に変形させ地面を叩く。

 

「モグラ落とし、砂人の腕」

 

 地面を砂地に変えながら砂を操作して攻撃。足場を崩して足元を狙う。

 

 クルスは砂の腕に掴まれまいと砂上を駆け回った。

 

 驚いたのは落とし穴にかからないこと。

 

「浮いてる? 超低空の《天駆》?」

「その手はそこにいる黒い優男の得意技だ」

「あはは。昔はしょっちゅうひっかかってたね」

「……」

 

 マークは地属性の魔術師。地形操作は得意とした。

 

 次にユーマはガンプレートを抜く。

 

「ストーム・ブラスト」

「甘い」

 

 竜巻の放射は難なく切り払われた。

 

「え? 風弾、ガトリング!!」

 

 今度は小型の《風弾》を速射。クルスは2刀の高速剣技ですべて打ち払う。

 

 対風属性魔法剣、《裂風剣》。二刀流剣技は《五月雨》。

 

「どうした? 風を切り裂くのは《烈火烈風》だけじゃない」

「だったら」

 

 ガンプレートが使えるのは風属性だけではない。ユーマはカートリッジを換装する。

 

「バブル・ボム」

「同じだ」

 

 今度は《旋風剣》。巻き起こす風で泡の浮遊機雷をぶつけあわせ誘爆させる。

 

「(風使いだ!)フレイム・ブラスト!」

 

 再びカートリッジを換装。火属性のIMで《補強》して炎が渦巻く《ストーム・ブラスト》を放つ。

 

 風で強化された火属性放射攻撃は流石に躱すクルス。

 

「ちっ」

「いける」

 

 そう思ったユーマ。風使いでもある彼はその弱点を熟知している。

 

 有効なのは火属性や雷属性ならエネルギーの放射攻撃、地属性や氷属性ならば硬い物理攻撃だ。

 

「これだから魔術師みたいな間接攻撃を扱う奴は面倒だ」

「もういっちょう!」

 

 2発目の《フレイム・ブラスト》。

 

「でも……やはり甘い」

 

 今度のクルスは躱さずに迎え撃つ。

 

 

 クルスの剣に風が集まる。

 

 剣に纏う風は竜巻となって吹き荒れる。

 

 

「うわっ!?」

 

《旋風剣・疾風突き》

 

 お馴染の技に意表を突かれた。しかしエイリークの技よりも重く、鋭い。

 

 クルスは炎の竜巻を突き破りながら剣でユーマを貫こうとする。

 

「っ! 砂さ……」

 

 ところがクルスの剣、ユーマの指示よりも主人を守ろうとする精霊たちの反応が早い。

 

 風葉は《風盾》を発動させて剣の直撃を逸らせば砂更が砂の壁で衝撃波を防ぐ。

 

 ついでに砂はクルスの視界を塞ぎ、その隙にユーマは距離をとることができた。

 

「あぶないですねー」

「風葉、助かったよ。砂更も」

「……」

 

 姿を現した精霊たち。

 

「……今の防御は精霊か」

 

 クルスは《精霊使い》の本領を見た。ユーマには彼を守る精霊たちがいる。

 

「だからお前は甘いのか? 魔法剣と言ってもゲンソウ術だ。『破る』イメージができれば属性など関係ない」

 

 ユーマは少しだけど怯んだ。

 

 強い。《剣闘士》というだけあって近接戦に持ち込まれたら勝ち目がない。

 

 

 《全力》を出すと決めたその時、クルスがユーマに話しかけた。

 

 

 

 

「そんなものか? だとしたらお前はやはり11番。番外の、最弱のエースだ」

 

 +++

 

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