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幻創の楽園  作者: 士宇一
第2章 後編
63/195

2-19b エピローグ-銀の悪魔

第2章ラストはユーマとエイリーク。あと学園長

 

 +++

 

 

「あー喉痛いし。いい加減もう疲れたよ」

「さぼったアンタが悪いのよ」

 

 イベント終了後。打ち上げの準備や今後の打ち合わせなど役割を分担した結果、会場に使ったステージを片づけることになったユーマとエイリーク。

 

 一息ついた所でエイリークは身に付けたリングをかざし、ユーマに話しかけた。

 

「それにしてもこんなものよく思いついたわね。もしかしてアンタの世界の物なの?」

「似たようなものがあるんだ。腕輪じゃなくてポケットに入るようなものだけど」

 

 ユーマが学園で『むこうの世界』のことを平気で話せる相手はエイリークしかいない。

 

「こっちにはゲンソウ術を使った仮想体験のゲームがあるけど、幻創獣に使っていた技術は能力設定を組んだり、《ウインドウ》みたいな仮想ディスプレイなんてあってコンピュータゲームぽい所があったんだ」

 

 ティムス達を交えてルックスの発見した遺跡の技術を解析したところ、応用すれば携帯端末に使えそうな部分を見つけたユーマ。

 

「専門的なことはさっぱりだけど俺が思いついたままに言ったアイデアや技術をティムス達が再現してくれたんだ。やっぱり天才だよあいつら」

「その遺跡の技術って結局何だったの?」

「ゲーム。俺が思った通り対戦物のゲームとしか言いようがなかった。しかも《精霊紀》の頃の物だよ」

「嘘!」

 

 千年前に再生されたというこの世界。つまり以前の世界には魔術以外の高度な技術があったということになる。

 

「問題はそこじゃないんだけどね」

 

 エイリークに聞こえないように呟く。

 

(ティムスには砂更の知識を借りたと言って誤魔化したけど、遺跡に使われていた文字は俺の世界で使われているものだった。あれは……どういうことだ?)

 

 ユーマに読むことができた遺跡のゲーム内容。

 

 

 ゲームに浸食された世界において対死霊に作られた唯一対抗できるゲームシステム。世界防衛の最終プログラム。

 

 精霊を使役して戦うゲームのタイトル。その名は――

 

 

「まあ、いいか。いくら今の俺が《精霊使い》だからって関係ないよな」

「……? 何の話よ」

 

 何でもないと言って誤魔化す。考えてもどうしようもないことだった。

 

「まったく、試験期間だったのにとんでもなかったわよ。最後は皇帝竜なんか相手にしたし」

 

 結果2体の皇帝竜を倒したことになるエイリーク。《竜殺しの剣士》の二つ名はまんざらでもない。

 

「大体コメットマンなんて何なのよ? 架空の話の主役なんでしょ。あの銀色そんなに思い入れのあるものなの?」

「まあね。兄さんに似ているんだ。なんとなく」

「全身銀色で目が金色なのが?」

「それもね。でも生き方がきっと一番似ている。光輝さんはきっと嫌そうに否定するけど」

「?」 

 

 

 少し笑ってからユーマは思い出す。少年の兄の事を。

 

 +++

 

 

「光輝さん。これ」

「ああ?」

 

 陰気に答えた黒髪の眼鏡男。優真にディスクを貸していたことも忘れていた。

 

「劇場版コメットマン、最後まで見たよ。結局コメットマンは世界から消えてしまうんだね」

 

 

 誰かの願いを叶え続けることでしか存在できなかったヒーローの最後。


 コメットマンは地球を守りたいという自分の願いと共に最後の敵を倒し、燃え尽きた流星のように少年の前から消えてしまう。

 

 どんな願いでも自分の願いの為に力を使ってしまったコメットマンは消失する運命だったのだ。

 

 

「そんな話だったか? もう忘れた」

「光輝さん……」

  

 たかが特撮ヒーローの話。でも優真はコメットマンと銀髪金眼の誰かの姿を何故か重ねてしまう。

 

「自己犠牲なんて最悪だ。報われない戦いを続けてきたなんて辛いよ。きっと」

 

 誰もいないように別の作業に没頭する光輝。

 

「……報われたさ。コメットマンは」

 

 でも優真の沈み込んだ呟きにはぼそっと答えた。

 

「どうして?」

「コメットマンは最後少年に“ありがとう”と言って貰えた。それだけでよかったんだ」

「話、忘れてないじゃないか」

「忘れたさ。覚えていただけだ」

 

 うるさいよお前、そう言って光輝は優真の頭をはたく。

 

「ひどいよ。……じゃあさ光輝さん、《梟》は誰かに“ありがとう”って言ってもらえた?」

 

 優真は聞いてみたかった。彼の在り方を知ったあの日からずっと。

 

 

 人ならざる力に蝕まれ、人も天使も悪魔も関係なく夜を棲家に闇を狩り続けた彼の所業。

 

 彼の行動理由がわからない。大和も姉も、特に光輝の義姉である十六夜は辛そうな顔をする。

 

 誰も教えてくれない。だから聞きたかった。

 

 

 

 

 兄のしてきたことに意味と救いはあったのか?

 

 

 

 

「知るかよ。夜行性の鳥に感謝する馬鹿なんているのか?」

 

 投げやりに答える光輝。

 

「世界中の恨みを買った《梟》の最期は地獄の業火で焼き鳥になると決まってるんだよ」

「……《狼》は?」

「首輪付けて御剣家で飼われる」

「食費がかかるから嫌だな」

「じゃあ野良しかない」

「兄ちゃんはそれで十分生きていけるよ」

 

 はぐらかされた。でも優真は深く問い詰めることはしない。光輝の心の内に踏み込む覚悟はなかった。

 

 あとで聞いても彼は『見てしまった』、あるいは『見せられた』ものに対する八つ当たりを繰り返してきたにすぎないというのだ。

 

 優真が遭遇した『しろい少女』の事件だってそうだったと言い張る。

 

「ヒーローと言っても特撮だろ。怪獣なんてわかりやすい悪を倒して地球が平和になるならここにも怪獣が来ればいいんだ。大和がぶん殴ればそれで終わる」

 

 光輝は相棒の非常識さをよく知っているので割と本気で言った。

 

 優真もあながち嘘じゃないと思っている。

 

「大和兄ちゃん1人で世界を平和にできるね」

「武器も軍隊も世界中からなくなるぞ。あいつの飯だけ用意すれば100年は平和を維持できる」

「世界中で怪獣が現れたら?」

「本気で走らせる。間に合わないなら俺か優花が飛ばせばいい。怪獣退治は一発で終わるんだから時間もかからない」

「そうか! だったらどこかに怪獣いないかな?」

「そういや50年前にでっかいのがいたらしいな。天使や悪魔がいるんだ。その辺の山に埋まっているだろ?」

 

 大和云々に関しては2人は何も疑っていない。優花ツッコミがいないので言いたい放題だった。

 

 

 光輝につきあって散々言ったあとに優真は溜息。

 

「……もういいよ。とりあえず光輝さんの『しつけ』は姉さんに任せる。地獄に落ちる前にいい加減真人間になってね」

「おい」

「俺は兄さん達のようにはなれないしヒーローにもなりたくない。それでいいや」

 

 そう言いながらも優真は兄のように強くありたかったし《梟》はヒーローであってほしかった。

 

「何の話だ? 自己完結かよお前」

「うん」

 

 弟分である少年は願う。

 

 

 兄がコメットマンのように誰かから“ありがとう”と言われて救われてほしいと。

 

 +++

 

 

「裏でこそこそやってみたけど俺には向いていなかった。俺は兄さんにはなれない。《皇帝竜事件》でわかったのは結局それだけ」

「アンタって」

 

 光輝なら手段はともかくきっと1人で解決できたこと。ユーマは1人じゃ何も解決できなかった。

 

 ティムスやブソウ達には最初から手伝ってもらったし、最後は結局エイリーク達の力も借りてやっと《竜殺し》を成し遂げることができたのだから。

 

 反省するユーマにエイリークは一言。

 

「実は相当のブラコン?」

「なっ!?」

 

 衝撃が走る。

 

 この世界にもその言葉があったなんて。

 

「聞いてればアンタの行動のほとんどがお兄さんの真似ごとみたいじゃない。ガンプレートだってそうでしょ?」

「……師匠でもあるんだ。似てるのはしょうがない」

 

 痛いところを突かれた。

 

 エイリーク(突撃馬鹿)には口で負けたくないユーマ。

 

「でも俺はブラコンじゃない。だったらエイリークのほうがシスコンじゃないか。姉さま姉さまって」

「いつそんな事言ったのよ!!」

 

 でも長年母親の代わりだった姉姫のことを大事に思っているのは確かであってシスコンを否定できないエイリーク。この話は2人して有耶無耶にした。

 

「とにかく。アンタは何してもみんなを巻き込むのよ。だったら最初から話をしなさい。きっとそれでうまくいくから」

「そうかな?」

「そうよ。アンタには《竜使い》とは違って頼りになる仲間がいるのよ。竜殺しの《旋風の剣士》とか」

「……」

 

 沈黙。本気か冗談かわからない。

 

「む。何か言いなさいよ」

「《竜使い》か。でも俺は一歩間違えればあいつと同じだった」

「……どういうこと?」

「初めて皇帝竜と戦った時、俺は《イグナイター》を使ったんだ。魔石の魔力に引きずられて俺は……」

 

 

 魔力には狂気が宿る。

 

 この狂気を抑える術を得てこそ魔力を扱う《魔法使い》といえるのだがユーマ自身は魔力を持たない少年だ。簡単に狂気に囚われた。ティムスもこれは《精霊使い》だから扱えると勘違いしていた。

 

「あの日、風葉達が止めてくれなければ俺は無差別に暴力を振るって《竜使い》達を殺していたと思う。それこそ学園の半分を吹き飛ばしてでもね。……きっとラヴニカと戦ったシアさんもあんなドス黒い気持ちになったんだと思う」

 

 風森の魔人事件の事を思い出す。初めての実戦だったエイルシアも魔力にあてられて途中から人が変わったかのように好戦的になったのだ。

 

「……それが《竜使い》とどんな関係があるのよ」

「皇帝竜の腕輪は特別で高純度の魔石が使われているんだ。常備型の《イグナイター》だったんだよ」

「なっ!?」

 

 驚くエイリーク。専門の知識がなくてもその危険性は理解できた。

 

「だって《イグナイター》は術式の威力を大幅に増加する代わり精神に支障をきたすから使い捨てなんでしょ? 常備型って」

「おかしいと思ったんだ。俺はティムスが腕輪を改良しなければIMP1万前後の幻創獣しか創れなかった。なのにグナント兄弟はIMP10万以上の皇帝竜を創った」

 

 ルックスが最初に創った腕輪では皇帝竜を制御どころか《現創》することもできなかったのだ。

 

 そして彼等は手っ取り早く魔石の力に頼った。きっとそれが今回の事件の本当のはじまり。

 

「竜騎士団の幹部たちも少しおかしかっただろ? 《竜使い》は長年魔石付きの腕輪を身に付けて魔力の狂気に侵されていた。中毒者だったんだよ」

「ルックスは知っているの?」

 

 ユーマは首を横に振る。

 

「回収した皇帝竜の腕輪を調べたティムスが激怒してルックスを殴ろうとしたよ。みんなで抑えて口止めするのが大変だった」

 

 イース達を含めた5人がかりでやっと抑えたのだ。彼の技術士としての誇りがルックスの未熟を許さなかった。

 

「だって可哀相だろ。兄貴が自分の創ったもののせいで変わってしまったなんて。……ユウイは治療ために学園を離れた。精神的なショックを受けたせいだと偽ってこれだけはルックスも知ってる」

「そんな」

 

 エイリークは兄弟の悲劇に何も答えられない。

 

「ルックスは幻創獣を創るのが早過ぎたんだ。あと数年技術士の腕を磨けば、それにあいつに頼りになる師匠がいたなら……《皇帝竜事件》はきっと起きなかった」

「それでティムスが飛び級までさせてルックスの面倒を?」

「いや、それは別の話。ルックスの件は学園長からティムスに与えられた『処罰』なんだよ」

 

 あいつがルックスのことをどう思っているかはわからないけど、と言葉を付け足す。

 

 

 《皇帝竜事件》におけるティムス・エルドへの処罰は以下の4つ。

 

1.今後も《Aナンバー》の1人として学園に貢献すること。

 

2.事件の原因である幻創獣の管理を引き受け、事件の再発を防ぐことに努めること。

 

3.後進の技術士達の指導を怠らないこと。《組合》の参加も義務とする。

 

4.壊した《スタジアム》の解体と新設工事の総監督に任命します。無償で働きなさい。以上

 

 

「《エルドカンパニー》やPCリングの販売もこのへんが噛んでるんだ。ティムスはエース資格を剥奪されて自分の研究に没頭できればよかったんだとさ」

「アンタの処罰はどうなのよ」

「これ」

 

 1枚の紙をエイリークに見せる。

 

 

“壊した《スタジアム》を弁償して下さい。働き口はこちらで用意します ――学園長―― ”

 

 

「……」

「怖いよね。なんかあったら手伝ってくれる?」

 

 

 絶対に関わりたくないと思ったエイリーク。不自然に話題を変えた。

 

「そ、それよりも幻創獣よ。アタシの猫騎士はアイリィに負けたから別のがいいわ」

「アイリさんはあのときしかブロックマン使ってないし。自分用に別のデザイン選んでいたよ」

「いいから。アンタも開発者の1人なんだから特別なの持ってるんでしょ?」

「……2号?」

 

 ピンクの風葉を喚び出す。

 

「駄目よ。あの子怒ったでしょ?」

「風葉もポピラも食ってかかってきた」

 

 これは違うと本気で怒られた。ガンプレートを無言で向けられるほど。

 

「他は?」

「《じぇんとる・ビーン》」

「豆は結構よ。野菜も嫌」

 

 ユーマが喚び出したソラマメはしょんぼりして消える。芸が細かい。

 

「俺がデザインしたの殆ど採用されなかったんだ。非売品の限定品なんだぞ」

「知らないわよ。もっと他にはないの?」

「1体だけあるにはあるけど……」

 

 一般仕様の幻創獣の色を変えたものがユーマのPCリングの中にある。

 

 でもそれを見せることを彼は一瞬躊躇った。

 

 

「まあ、いいや。もうこれしかないよ。……おいで、しろ」


 

 喚んだのは《森の賢者》という魔術師向けに創った梟の幻創獣。アイリーンもこのタイプを選んでいる。

 

「なにこれ? 全身真っ白じゃない。手抜き?」

「まさか。本当に特別なんだぞ」

 

 翼も嘴も、つぶらな瞳さえまっしろでぽわぽわした梟。

 

 梟はユーマの頭に乗って髪を引っ張る。

 

「痛い、いたいってばしろ!」

「えっ? 思考操作じゃないの?」

 

 演技と思っていたので驚いた。今度は頭の上で勝手に寝る。

 

「アップデート用のオプションで試験的に性格と行動パターンを組み込んでいるんだ。放置してると勝手に動く」

「へえ。それでいいわ。こっちに移して」

 

 PCリング同士を接続して幻創獣の術式を送る。

 

「大事にしてくれよ」

「わかってる。よろしくね、しろ」

 

 エイリークのものとなった梟の幻創獣は「ほぅ?」と鳴いた。

 

 

 

 

 ユーマが創ったしろい梟。

 

 少年が想う2人の姿を重ねたこの幻創獣の『特別』にエイリークが気付く日がくるのかどうか、

 

 今はわからない。

 

 +++

 

 

 学園長室。

 

「学園長。これは?」

「今期の《Aナンバー》。その選定結果ですよ」

「……」

 

 学園長から渡された資料を見てオルゾフは絶句。

 

「どうかしましたか? 何か喋らないと今回オルゾフさんはここしか出番がありませんよ」

「何を言ってるんです? それよりもこの《特例》は前代未聞ですよ。付属の4校と学園都市内の他校にはどう説明するつもりですか」

 

 生徒会で選ばれた《Aナンバー》の10名。そこには《精霊使い》の名前はなかったのだが。

 

「わたしは思うのです。学園には優秀な生徒は多いのですから別に10人にこだわらくてもいいじゃないのかと」

「学園長!」

「彼の実力は本物です。PCリングの件もあります。特待生でいるだけではもったいなくありませんか?」

「それは、そうなのですが……」

 

 それに関してはオルゾフも同意だった。

 

 彼は教員側としてPCリングの販売を許可する際にリングの性能を実際に確認したのだが、あれは魔術魔法の類でないと衝撃を受けたのだ。

 

 PCリングにはゲンソウ術も使用しているが根本は今までにない技術の産物だった。

 

 遺跡の技術というだけでは説明できないほどのアイデアの塊。あれに《精霊使い》の少年が関わっているとすれば彼の存在は学園にとって有益である。

 

 それこそ《Aナンバー》クラスの高い権限を与えて学園で何かをさせたほどがいいと思うほどの。

 

「PCリングの開発はエルドが代表ということになってますし《精霊使い》というだけでは特例をつける理由としてはまだ弱いです。昇級試験では負けています。なにより彼はまだ実力を隠している。精霊の力なしで皇帝竜を倒したのですから」

「それも十分な理由になると思うんですけどね」

 

 でもそれでは別に《精霊使い》でなくてもいいという話になってしまう。一貫した実力を他に示すことができない。

 

「では彼が使った幻創獣。あれも彼の精霊ということにしましょう。他校への報告書をでっちあげてユーマさんはものすごい精霊をもっていることにしましょう」

「は?」

 

 堂々と他校を騙すと学園長はおっしゃった。

 

「今でも2体の精霊を連れているんです。『3体目』となればそれこそ前代未聞ですよ」

「学園長……」

 

 確かに風森の国の守護精霊(その一部)に《西の大砂漠》で拾われた砂の精霊。それに加えて『もう1体』がいるとなれば……

 

「いえ。嘘の報告はいけません」

「さあ今から書きますよ。オルゾフさんも手伝ってください」

 

 話を聞いてくれなかった。オルゾフは溜息。

 

「……ミツルギが辞退したらどうする気ですか」

「大丈夫ですよ」

 

 それには先手を打っていた学園長。こうしてユーマの『働き口』が決まった。

 

 

 異例のエース。11番目の《Aナンバー》。

 

 その正体はスタジアムの弁償代を稼ぐ理由で任命された、タダ働きの《精霊使い》である。

 

 

「コメットマン、だったかしら? 他になにかこう強いインパクトのある名前ないかしら?」

「……」

 

 

 そして再生世界の学園に現れたヒーローは学園長によってその存在を捻じ曲げられていく。

 

 +++

 

 

 他校に送られた新エースの報告書。その一部にはこう記載されている。

 

 

 

 

“幾多の星の矢となりて敵を滅ぼすそれは銀の流星群”

 

 

“一撃で巨竜を屠る空飛ぶそれは銀の巨人”

 

 

“それは銀の剣。数多の刃を操り定めた敵のみを消し去る《竜殺し》の奥義”

 

 

 当学園の《精霊使い》が契約した最強の精霊。その名は

 

 

 

 

“銀の悪魔”

 

 

 

 

 それを聞いたその《精霊使い》が、学園長室に割と本気で襲撃を仕掛けたのは別の話。

 

 

 +++

第2章 銀の悪魔 完

 +++

 

 

 日常編へ続く

 

 第3章 夏季休暇/王たちと少年へ続く

 

 +++

 

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