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幻創の楽園  作者: 士宇一
第2章 後編
54/195

2-13b 失踪中のユーマ 後

失踪:行方をくらますこと。でもばれた。


敗者達のその後。

 

 +++

 

 

 ――ここまでバレず順調だったのに

 

 リュガに捕まったユーマはちょっぴり悔しかった。

 

 +++

 

 

 話はまず昇級試験初日のことから。

 

 エイリークが試験の直後倒れた。そう聞いたユーマは慌ててリアトリスを頼り、見舞いと偽って彼女の護衛を頼んだ。

 

 彼女はどうやら《陽炎の外套》が放出する熱にあてられたらしい。改良が必要です、と悔しがったのは外套の製作者だったポピラである。

 

 この時、試験で消耗したあとを《竜使い》が仕掛けてくるのでは? と思ったユーマ。次のリュガとアイリーンの試験をこっそりと観戦することにした。

 

 試験2日目。リュガの時は問題なく監視をすべて捕らえて自警部に押しつけた。アギにみつかりそうになったがその話は割愛。

 

 

 問題は試験5日目。アイリーンの試験直後のこと。

 

 彼女の時にマークしていた生徒が一斉に動いたのだ。ユーマも動くが1人では対処が間に合わない。

 

 しかしユーマより先に事態を察知した集団がいた。彼らの名は《アイリーン公式応援団》。

 

 正体不明の団長が率いるこの第3勢力が不審者を全て捕まえた。応援団の実力と統率力は並ではなかった。

 

 彼らはアイリーンのことに関われば非常に優秀すぎた。怪しい人物を誰ひとり見逃さない。

 

 そして。

 

 

「ここは俺に任せろ」

 

 

 覆面黒マントの男に大剣を突き付けてリュガは同志たちを先に行かせたのだった。

 

 +++

 

 

「で。裏でこそこそしてたお前はなんだ?」

「通りすがりの正義の味方です」

 

 即答。往生際が悪い。

 

「いい加減にしろユーマ。アイリーンさんのストーカーだったら遠慮なくぶった切ってるところだぞ」

「似たようなものだったかも」

「ああ?」

 

 仲間たちの様子を影から見守っていたユーマ。怪しい変装をしているのもあってはた目からは変質者やストーカーとさして変わらなかった。

 

 そんな彼をリュガがユーマだと気付いた理由は2つ。

 

「声、それにアギのゴーグル。戦闘時以外それは身につけないくせに。俺達ならモロバレだ」

「……覆面だけだとカッコ悪いんだ」

 

 凡ミスだった。

 

「お前はあれか? 噂にあった『報道部の隠密を参考にした自警部の特殊部隊の一員に抜擢された』というやつか」

「それは違う」

「じゃあなんだよ」

「皆には黙ってくれる?」

「アイリーンさんに聞かれたら無理だな」

 

 リュガ・キカ。バンダナ兄弟の赤いほう。

 

 彼はアイリーン公式応援団の幹部であり彼女の忠実な僕である。

 

「それじゃ理由は話さないから見逃して」

「都合いいなお前。……そうだな、俺は今からやることがある。ついてきたら黙っていてもいいぞ」

「本当? 何するの」

 

 リュガは不敵に笑い、答えた。

 

「査問会だ」

 

 +++

 

 

 連れてこられた空き教室の真ん中に異様なモノが1つあった。

 

「リュガ、これって」

「丁度いいのがあったから自警部から買い取った」

 

 そこにあったのは巨大な十字架。そしてそれに磔にされてぐったりした男子生徒が1人。応援団がそれを囲っている。

 

「……俺もやりすぎたかな?」

「何言ってるんだ? おい、団長は?」

「アイリーンさんと一緒にいます。査問会は私達に任せるそうです」

「相変わらず勘がいいな。驚かせようと思ったのに」

 

 正体不明の団長。リュガの企みは外れた。

 

「なんのこと?」

「気にするな」

「あのーキカさん? この覆面は誰?」

 

 訊ねたのは応援団員の女生徒。よく見れば男子生徒の方が少ないことにユーマは気付く。

 

「飛び入りだがもう1人の特別ゲストだ。顔は訳あって見せられないが俺達の同志だ」

「ちょっとリュガ!」

 

 非難するユーマ。

 

 応援団に入る気なんてない。ファンクラブにいるという自分が嫌なのだ。

 

「いいから黙ってろ。もう1人のお客さんも来た。はじめるぞ」

 

 そして査問会という処刑の儀式が始まった。

 

 +++

 

 

「それで私を呼びだして何の用なの」

 

 もう1人のゲスト。彼女の名はディジー・バラモンド。アイリーンの試験官だった魔術師の3年生である。

 

「今日はわざわざ来てくださってありがとうございます。実は貴女とアイリーンさんの仲を取り持とうと思いましてこの場を設けました」

 

 ディジーに応対するのは応援団副団長。

 

 彼女は生徒会役員でもある才媛。どうでもいいことだが。

 

「なんですって? どうしてあんな小娘と」

 

 熱り立つ彼女に対して副団長は冷静に話を続ける。

 

「《氷姫》の二つ名に関しては報道部のせいなので私達には関与できません。でも貴女が彼女を嫌うもう1つの理由は私達も見逃すことができなかったのです」

 

 そう言って副団長はシーツで隠していた十字架をディジーに見せた。さすがに彼女は驚く。

 

「マ、マックス」

「……ディジー、か?」

 

 磔のされた男はディジーの彼氏であった。

 

「試験中に貴女が叫んだことは覚えています。マックス・リバー。彼は貴女という恋人がいながら私達応援団の中にいた。これは裏切り行為です」

 

 副団長の声に力が籠る。

 

「貴女にとっても、私達にとっても裏切り者なのです。……二股なんて最低よ」

 

 私情だった。

 

「私達応援団は彼の為にアイリーンさんの敵を作りたくはない。だから決めました。彼と2人で話をして和解して下さい。これは平和的解決法です」

「どうして磔なのよ」

 

 もっともな質問。

 

「自警部の方に聞きました。これは自警部で信仰されているという『天下無双薙刃神教』。そこでおこなわれる誰もが素直になる儀式だそうです」

「……」

「……」

「……ごめんなさい」

 

 ユーマは磔にされた彼に心から謝った。デタラメが噂になっておかしく伝わっている。

 

 

 後にこの真実を知ったアギとリュガ、報道部部長は爆笑。ブソウの苦難は続く。

 

 

「さあ、私達の事は気にせず話し合ってください」

「さあ、と言われても」

 

 戸惑うディジー。彼の事は許せなかったけど、自分の発言のせいでこうなったのなら申し訳ないとも思う。

 

 磔の彼はぐったりしていて気力をごっそり奪われてしまったあとのようだ。

 

「さっさと喋れ」

 

 業を煮やしたリュガが大剣を十字架に叩きつけた。ガツッ と根元に刃が食い込む。

 

「うわっ、たたた倒れる! わかったから!! ……ディジー、ごめん」

 

 磔にされた罪人は恋人に謝った。

 

「確かに俺は君と付き合った後で応援団に入団した。でも信じて欲しい。愛しているのは君だ。夕日を背に屋上で告白したあの時の俺の気持ちは今も変わっていない」

「……だったら、だったらどうして!?」

「俺は彼女を見て自分の気持ちに気付いた。これは愛じゃない、崇拝なんだ」

「わかんない! わからないわよ!!」

「俺はただ近くで彼女を見たくて応援団に入った。それだけだ」

「……どうして」

 

 罪人の彼は覚悟を決めた。

 

 たとえ嫌われても、恋人であるディジーのかなしい顔を見てしまったなら正直に伝えるしかない。

 

「ディジー。俺、俺は……」

 

 そして彼は告白した。

 

 

 

 

「貧乳派なんだ。アイリーンさんのあれはイイ」

「……」

 

 

 

 

 沈黙が痛い。そしてこの男も痛かった。

 

 

「……そこの赤いの、切り倒して」

 

 

 ディジーは裁きを下した。

 

 

 +++

補足説明

 +++

 

 

 彼女達の胸の大きさをランキングしてみよう。

 

 

第1位 ミサ・クリス

 

 低身長、童顔でそのアンバランスさは学園の一部で好評。

 

 

第2位 リアトリス・ロート

 

 着やせというか普段は鎧姿なので分からない。隠れである。

 

 

第3位 ディジー・バラモンド

 

 最上級生の面目躍如。並より上。

 

 

第4位 エイリーク・ウインディ

 

 決して小さくはない。ただミサを見ては「剣を振るのには邪魔」と愚痴っている。

 

 

第5位 ポピラ・エルド、ユンカ

 

 控えめ。でも彼女達はまだ15歳。

 

 

 そして最後は《銀の氷姫》ことアイリーン・シルバルム。彼女はスリム、スレンダーなんだと弁解しておく。

 

 

 尚、エイルシアをはじめ大人陣は割愛。報道部部長の情報は隠蔽され、ラヴニカは現在幼女バージョンの為に論外とする。

 

 +++

 

 

 リュガによって切り倒された十字架。正面から倒れたので磔の彼は顔面を床にぶつけて気絶。その上でディジーに氷漬けにされた。

 

 

 自分の彼女を前に勇気ある告白をした彼の評価は応援団の中でも賛否両論。

 

 彼に同意する男子生徒とそれを非難する女子生徒で対立し難航した協議の結果、彼は条件付きで許されることとなった。

 

「ありがとう。彼を処刑する機会を与えてくれて」

「いいえ。女の敵は滅ぶべきです。あとはしっかり『調教』してください」

「ええ」

 

 ディジーの彼氏を引き渡す応援団副団長。そして彼女と握手するディジー。

 

 共通の敵を懲らしめて友情が芽生えたらしい。

 

 

「よろしければ貴女も応援団に入りませんか?」

 

 そして副団長はいよいよ『本題』に入る。

 

「入団すれば彼氏の監視もついでにできますし。正直にいえば貴女の氷使いの力が応援団は欲しいのです。後輩であるアイリーンさんの力になってもらえないでしょうか?」

「本気?」

「ええ」

 

 応援団の基本方針は変わった。アイリーンの特訓に初めて付き合った彼らは彼女と直接ふれあい、力になれたことに喜びを感じてこれからも全力でアイリーンをサポートすることに決めたのだ。

 

「私達だけでは彼女の力になれない。アイリーンさんには貴女の力が必要です。私達と手を取り合うことはできないでしょうか?」

「……貴女のことは嫌いじゃないわ。シルバルムのことも試験で決着がついたからケジメはつけるつもり。でもだからといってシルバルムに協力することは話は別よ」

 

 残念だけど、とディジーは断ろうとする。

 

「私にメリットがないの。シルバルムに魔術を教えたとして私は何を得るの?」

「それは……」

「メリットならあります」

 

 言葉に詰まった副団長に助け舟をだしたのは怪しい覆面の男。

 

「誰?」

「通りすがりの正義の味方です」

「それはもういい」

 

 即答してリュガの突っ込みが入る。

 

「それで、私のメリットって何?」

「あなたの魔術、その弱点をアイリさんは補うことができる」

「――!! 何を言っているの?」

 

 ディジーは驚く。でも怪しい覆面男に言われる筋合いはない。

 

「今日の試験見ました。ディジーさんの凍結したものは魔術ですら脆くするあれはすごいと思います。でもそれは長所でもあり短所だ。あなたの氷の術式はそのものが脆い」

「……どういうことかしら?」

「この十字架を見て下さい。あなたが凍結した氷は白っぽい。確か急速で冷凍して作る氷がそんなふうになるんです。その氷は空気が混じって気泡が入り割れやすくなる。そして熱に弱く溶けやすい。推測ですけどディジーさんの氷も同じ性質じゃないんですか?」

「……その通りよ」

 

 ディジーは覆面の推測を認めた。

 

「術式の発動速度を上げると誰でもこうなるけど私の氷はそのなかでも酷いの。私はこの特性を活かすことで凍結した物を脆くする特性を術式に付与させていたのよ」

「成程。でもこれだと《氷晶壁》のように物理攻撃に強い氷が生成できないから防御には使えない。だから攻撃的な戦闘スタイルになるのですね。それとディジーさんは風属性も扱うけどそれだけじゃ火属性、特に熱を使われると弱い。リュガなんか天敵のはずだ」

 

 もしもディジーがリュガと戦う場合、《高熱化》を扱うリュガが凍結した氷を片っ端から溶かして接近戦に持ち込むことができれば、現在ランクCの彼が相手でも彼女は詰む。

 

「試験では凍結系以外の術式は風属性しか使わなかった。もしかしてあなたは生成する氷の強度が足りなくて他の氷属性の術式が使い物にならないのではないんですか?」

「あなた、何者なの?」

 

 ディジーの氷使いとしての弱点を見抜いたユーマ。でもこれは事前に試験官の情報を報道部から取り寄せていたから推測できたのだ。

 

「アイリさんの氷は透き通った透明な色をしている。不純物が混じっていないから強度もあるし溶けにくいんです。彼女の氷の生成はとても繊細で丁寧なんだ。ディジーさんも学ぶべきことがあると思います」

「……それをシルバルムは私に教えると思う? 魔術師が自分の魔術を晒す危険を冒すと思うの?」

 

 ユーマは躊躇いもなく答えた。

 

「もちろん。彼女は全てを晒してでも魔術師の上を目指します。あなたの魔術を教えてくれるのならきっと何も惜しまない」

 

 アイリさん実は根性の据わった馬鹿なんですよ。とユーマが付け足すとディジーは笑った。

 

「あのシルバルムに馬鹿と言う男はそういないわよ。……いいわ。私の為に彼女に力を貸す。それでいい?」

「ありがとうございます」

 

 こうしてディジーと応援団の間にアイリーンに関する協力同盟が結ばれた。

 

 

「よくやったユーマ。これは副団長からの礼だ。貰ってくれ」

 

 

 ディジーの説得に成功した覆面男はその功績により応援団の名誉部員に無理やり認定され、報酬として2枚の写真が与えられた。

 

「これは……バレたらどうしよう?」

 

 

 この写真を早く処分しなかったことが、後に悲劇を呼ぶことをユーマは知らない。

 

 +++

 

 

「時間くったな。今日はあとミサちゃんのところっと」

 

 リュガを口止めして普通科棟へ向かうユーマ。

 

 

 ミサは普通の少女だ。もし《竜使い》の連中に襲われたら彼女はなにもできない。

  

「ブソウさんには普通科棟を特に警戒してもらっているけど……いた」

 

 ミサを見つけた。この時期の普通科の生徒は筆記試験だ。

 

 きっとその帰りだろう。友達と一緒にいる。

 

 そしてユーマは気付いた。彼女を待ち伏せしている黒い鎧を着た男がいることに。

 

「ミサちゃんに声をかけた!? 自警部に連絡しなきゃ」

 

 ミサは自分から男について行くようだ。ユーマは校舎から離れる2人を追いかけ、とりあえず様子を見ることにした。

 

 +++

 

 

「それでなんのご用ですか? ラグレス先輩」

 

 ミサは1人で《黒鎧》の男と向き合った。

 

 ブロト・ラグレス。エイリークの試験官を2度もして、1度は容赦なく彼女を打ちのめした大剣士。ミサにとっても印象の悪い男である。

 

「リィちゃんはあなたに勝ちました。もうあなたにリィちゃんの剣を否定なんてさせない」

 

 エイリークの親友兼専属侍女を自称する彼女は勇気を振り絞る。エイリークの為ならばミサは決して退くことはない。

 

 たとえ負けた報復に巻き込まれ襲われたとしても、彼女は精一杯抵抗する気でいた。

 

「ああ、そうだ。彼女は俺に勝った。完敗だ。だから俺は」

 

「ふぇ?」

「君に謝りに来た」

 

 頭を下げるブロトにミサは驚く。

 

「君は覚えているかい? 去年俺のところに殴りこみに来たことを」

「あ! あれはちがいます」

 

 真っ赤になって両手を振り慌てるミサ。思い出したくない出来事だ。

 

「びっくりした。後期の試験のあと、普通科の女の子がひとりで乗り込んできて、そして泣きながら俺を叩いてくるんだ。もうあのあと大騒ぎだったよ」

「ううっ、忘れて下さい」

「いや忘れられない。……あの時君が俺に言ったこと、覚えているかい」

「……はい」

 

 

 ――リィちゃんは負けない。リィちゃんは弱くない

 

 ――今はボロボロでもきっと立ってくれる。リィちゃんの剣は軽くない! リィちゃんの剣は折れてない!!

 

 ――だからっ、リィちゃんを、泣かすなぁぁぁぁ

 

 

「……」

 

 思い返せば恥ずかしいことをしたとミサは思う。

 

「君の言うとおりだった。彼女は強かった。強くなった。それに比べて俺は自分の弱さを知らなかった」

 

 エイリークに3本の剣を折られ、頼りにしていた《黒鎧》の兜まで砕かれたブロト。彼は自分の力が装備にすがったものだと思い知らされた。

 

「あの時の俺は、君の言葉をただの八つ当たりだと思って信じていなかったよ」

 

 実際はその通りだ。でも今のブロトはそう思わない。

 

「でも彼女は俺に勝った。君の言葉が正しかったことを証明した。君はエイリーク・ウインディの強さを信じたが俺は信じることができなかったんだ。迷惑かもしれないけど俺はケジメをつけたかった」

「先輩?」

 

 そう言ってもう1度彼は頭を下げる。

 

「すまなかった。君と彼女を俺は侮辱した。それをただ謝りたかった」

「どうして」

 

 ミサは訊ねた。どうしてあの時、去年の昇級試験でエイリークの剣を否定したのか? と。

 

「彼女は危なっかしい。すぐ突撃するし非力なのに《旋風剣》でいつも力押しする。実戦であれならすぐに死んでしまうよ。だから剣を辞めてもらいたかった」

 

 そう言ってブロトは苦笑交じりに本音を言う。

 

「まあもしかしたら俺は彼女を守りたかっただけなのかもしれない。一応お姫様なんだからな」

 

 そして彼はまた苦笑。

 

「でもそれは余計だったな。噂では彼女にはもう《騎士》がいるらしいし」

「えーと、そのう」

 

 本人たちがいたら全力で否定しそうなことをブロトが言うのでミサは誤解を解こうと思ったが、

 

「リィちゃんに必要なのは守ってくれる人じゃありません」

「何?」

 

 去年の事をわざわざ謝った彼は不器用そうだけどいい人だった。だからミサは別の事を言うことにした。

 

「リィちゃんに必要なのはリィちゃんの隣に立って力になってくれる人です。だからもしもリィちゃんが困っていたら」

「……わかった。その時は彼女の力になろう。約束する」

「お願いします」

 

 

 ミサはブロトの謝罪を受け入れた。そして1つの約束を交わし、ブロトはミサと別れたのだった。

 

 +++

 

 

「あ。ラグレス先輩に謝るの忘れてた」

 

 実は昔、エイリークを慰めるために「ラグレス先輩なんて黒い甲虫なんだよ」と言ったのはミサである。

 

 今回、彼の二つ名がエイリークによって《甲虫》になってしまった原因は彼女にあった。

 

 そしてブロトは、

 

 

「こちら第5小隊2班。目標、捕まえました」

「……俺が何をした?」

 

 

 勘違いしたユーマのせいで自警部に捕まった。

 

 +++

 

ここまで読んでくださりありがとうございます。


 《次回予告》


 アギの試験官として彼と戦い、エイリーク達には容赦なく制裁された。


 予定外のこともあったけど、ユーマは決戦の舞台に立つ。



 次回「宣戦布告」


「生徒会規約に則って俺は、《Aナンバー》に挑戦状を叩きつける!」


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