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幻創の楽園  作者: 士宇一
第1章 後編
32/195

1-14b 脱出 後

脱出。それから

 

 +++

 

 

 2人の前に男がいた。それだけしかわからない。

 

 顔も姿も、いつからいたのかもわからない。

 

 

 だからユーマは男が現れたとほぼ同時に風葉と緊急作戦会議。非常事態の対応は兄にシミュレーションで叩きこまれている。

 

 アレとは関わっていけない。何よりも本能が告げているから。

 

(風葉、《これ》ならどうだ?)

(その術式は使えますよー。ただ身体を動かしながら『足場』をイメージする必要がありますー。できますかー?)

(大丈夫。昔兄ちゃんが崖から落ちた時、似たようなことをやってた。見たことあるから)

 

 問題はどうやって逃げるか?

 

 戦う必要も話をして相手の情報を引き出す理由もない。ユーマはただエイリークを逃がせばいい。

 

(あれはヒトじゃないですよー)

(わかってる。ラヴニカとも感じが違う。わからない。なんだ? アレ)

 

 もう時間がない。ユーマの隣にいるエイリークが短剣に手を伸ばすのを見た。

 

 あの突撃馬鹿、と内心舌打ちしながらユーマは覚悟を決める。

 

 脱出作戦、開始。

 

 

「どちらでもいいですよ。落ちて死ぬのも、」

「今だっ」 

 

 

 ユーマは動いた。男が何かを言いきる前にエイリークの手を掴み、引き寄せると、

 

「えっ? ええっ!? …………えっ?」

 

 

 砦の屋上から飛び降りた。

 

 

「ええええええ!!」

 

 エイリーク、絶叫。

 

 ユーマはエイリークを抱き寄せたまま降下。地面へ真っ逆さまと思いきや途中で風葉が魔法をかける。

 

「あまがけー」

 

 ドスッ、といった衝撃がユーマの身体中に響いた。構わずユーマは空を『踏みしめる』。2人分の体重に膝が軋む。

 

「ぐっ!?」

 

 床を踏み抜きそうな感覚をこらえ、次の1歩で前へ『踏み込み』宙を『駆け出す』。

 

《天駆》

 

 風属性移動術式。空中を走ることを可能にするこの術式は足を踏み出した先に空気の足場を作っていく必要があるので難度が高い。

 

 それをユーマは『落ちてくる僅かな瓦礫に足をかけて上るという非常識な兄』をイメージし、《補強》してやってのけた。

 

 《高速移動》を併用して砦から一気に遠ざかる。 

 

「ど、どこを触っているのよ!」

「しるか!」

 

 ユーマはエイリークを抱えたまま逃げ出した。

 

 エイリークの怒鳴り声は無視。ユーマに余裕はなかった。

 

 

 

 

「……まあ、いいでしょう。まさか本当に飛び降りるとは思いもしませんでした」

 

 その場に1人取り残された男。逃げられたことはあまり気にしていないようだ。

 

「でも、生きてるといいですね?」

 

 彼が手にしていたものはクロスボウ。

 

  

 矢はなかった。

 

 +++

 

 

 ユーマはエイリークを抱きかかえたまま空を走る。人を抱えて走るなんて今のユーマには相当な負担だったが、それでもエイリークを離すことはなかった。

 

 エイリークも最初は今の体勢が恥ずかしくて離せ、下ろせ、と騒いでいた。

 

 しかしユーマの背にいつのまにか刺さっていた矢と服に滲んだ血、それに必死に走るユーマの荒い呼吸の音と自分を抱きしめるその力強さにとうとう何も言えなくなってしまう。

 

 身動きの取れない彼女は変に意識しないよう、ユーマの背中越しに外を眺めた。風森の国が自慢する西の国で最大唯一の森林地帯とその先の砂漠。そしてただ青いだけの空。

 

 綺麗だな。そう思うエイリーク。高いところから見渡す故郷はどんな状況であれ、感慨深いものだった。

 

 

 砦からだいぶ遠ざかったころ。

 

 ここまで離れれば追手が来ても森が障害となるのでしばらくは大丈夫だろうとユーマは安堵した。

 

 同時に頭がふらつき意識が遠のく。彼の心身の限界が近い。

 

「風葉、シアさんの場所わかるか? もしくは近くの町は……風葉?」

「……ええとー……すいませんー」

 

 ユーマは精霊の身体が透けているのに気付いた。

 

「お前!?」

「おかしいですねー? 魔力がなくなりそうですー。……少しずつ吸い取られてますー」

 

 《魔力喰い》の特性。それはユーマと繋がっている精霊にも適用されていた。

 

 

 《魔力喰い》は魔力に関わる全ての適性は皆無。いくら精霊の風森の力を借りて《精霊使い》になれたとしても弊害はあった。

 

 これはユーマが力を制御できない為でもあるが、未熟なおかげで風葉から魔力を少しずつしか奪わなかったのは不幸中の幸いでしかない。

 

 魔力体である精霊は魔力がなくなればその存在が消えてしまう。そして風葉は傭兵達との戦闘のほかにも《癒しの風》使い続けていて魔法を多用しすぎていた。

 

 

「俺のせい? おい、大丈夫なのか?」

「もう無理ですー。……ごめんなさい。ちからになれなくて」

 

 しょんぼりする風葉。

 

「そんなことない。お前のおかげで逃げることができた。俺の身体もなんとか動かせたし、今生きてるのも風葉が助けてくれたからだ。俺は……」

 

 ユーマは満身創痍。実は《死んだふり》で使用したヒールの回路紙があまり効いていない。傭兵の私刑で受けたダメージと疲労は蓄積されている。

 

 《魔力喰い》のもうひとつの弊害。それはユーマへ向けた魔法の効果が薄くなってしまうことだ。回復の術式が身体へ巡る前に魔力の大半を奪ってしまう。

  

 ユーマは3枚分のヒールと風葉が常にかけ続けた《癒しの風》のおかげで何とか身体を動かすことができたのだ。傭兵に囲まれたときに逃げずに短期決戦に持ち込んだ理由でもある。

 

 そしてユーマの肩には男が放った矢が刺さっている。これも風葉が咄嗟に《風盾》で威力を殺いで狙いを逸らしてくれたから致命傷を避けることができたのだ。

 

 出会って間もない精霊はこの上なく少年を守り、助けている。

 

「……ありがとう風葉。あとは俺がどうにかする。だから」

「そうですかー? だったらわたし、じっかにかえりますー」

 

 だから地上に降りるまで頑張ってくれ、ここまで聞かずに風葉は消えた。

 

「ちょっ、 実家ってどこだよ。 うあっ!」

 

 風葉が消えれば魔法が解ける。

 

 がくん

 

 空を走り続けたユーマの最後の一歩は、階段を踏み外したような感じがした。

 

 そのままユーマはエイリークと共に森の中へ落ちる。

 

「えっ? きゃ……んぐ」

 

 落下する感覚に悲鳴を上げそうになるエイリークの頭をユーマは胸に抱く。

 

 ユーマにできることがもうそれしかなかった。

 

(せめてエイリークだけでも……頼む!!)

 

 ユーマは何でもいい何かに祈り、そして気力だけで持たせていた身体をエイリークの盾として使い、

 

 

 ――ゆーま!

 

 

 意識を手放した。

 

 +++

 

 

 エイルシアが風森の騎士と兵を連れてユーマとエイリークの捜索にあたっていたのはそれから3時間後のこと。

 

「姫様。この先は私達に任せてお待ちを」

 

 護衛の騎士がそう進言すると、小さな精霊を肩に乗せたエイルシアはいけませんと首を振る。

 

「私とこの子でなければ2人を見つけることはできません。私が近くまで案内します」

「ですが」

「エイリーク達にも追手が迫っているかもしれません。捜索は単独で行わないようお願いします」

「……了解しました」

 

 そしてエイルシア達は森の中へ。

 

「エイリーク……ユーマさん……」

「大丈夫ですよー」

 

 2人の無事を祈り心配するエイルシアにそう言ったのは風葉。

 

「風葉、でしたね。どうしてですか? それにいくら魔力を使い切ったからってあなたがユーマさんから離れるなんて」

 

 エイルシアの非難を精霊は気にもしない。

 

風森わたしはやりすぎたんですよー。《世界》から謹慎をうけましてー、あの時はふらふらのわたししか動けなかったんですー」

「……?」

「あの子が守ってわたしが助けを呼びに行くのが最善だったんですよー」

「それって」

 

 問いかけようとしたその時、

 

「エイルシア様!」

 

 伝令の兵だ。

 

「見つかったのですか?」

「いえ、それがツアイ殿の隊がおかしなものを発見しまして」

「おかしな? どのようなものですか?」

「それが……」

 

 どう言ったものか困惑する伝令兵に護衛の騎士が苛立つ。

 

「ありのままで構わん。さっさと言え」

「は、はい! 森で大きな繭のようなものを見つけたのです」

「繭?」

「ようなものです。木にくっついているのがどこか不自然なほど大きくて……なんというか白く輝いていました」

「! それは」

「エイルシア様?」

「案内して下さい。私が確認します」

「は、はい」

「危険です! 新種の魔獣かもしれません」

 

 気が急いて騎士の制止を振り切ろうとするエイルシア。

 

「問題ありません。だから行かせて。……風葉、そういうことですね? あの子がユーマさんを守るから2人は大丈夫だと」

 

 頷く風葉。でもどことなく焦りが見える。

 

「いそいでくださいー。しろっちも限界なんですよー」 

「え? わかりました。ズイン、貴方も付いてきて。急ぎます。クムさんも」

「……わかりました」

「俺の名前を姫様が……」

 

 伝令の兵は名前を覚えてもらっていることに感激し、騎士に尻を蹴られ慌ててエイルシアを繭の所へ案内した。

 

 

「こ、これは」

 

 森の中で見たものは大きなしろい繭。

 

 森の木にくっついている、というよりも木の幹や枝に引っかかっているような感じだ。

 

「そんな……」

「姫様?」

 

 エイルシアは愕然とした。

 

 繭が放つしろい光があまりにも弱々しく明滅して、今にも消えそうだったから。

 

「大丈夫。もう大丈夫だから!」

 

 声が届くかわからない。だけどエイルシアは叫んだ。

 

 あの繭を『彼女』だと認識できるのはおそらく世界でエイルシアしかいないから。

 

「無茶をしたら駄目! あなたが消えてしまったらユーマさんは……だからもうやめて!!」

 

 必死な声が届いたのか、繭は形を変える。

 

 ふわりと広がるそれはしろい翼。中から現れたのは、エイリークを抱きしめたまま眠るしろい髪の少年。

 

「ユーマさん、リィちゃん!」

 

 次の瞬間、しろい翼は幻のように消えてユーマの髪も黒に戻った。

 

「あの少年は確か……彼が妹姫様を?」

「ここはいいので人を呼んでください。急いで!!」

 

 騎士と兵は慌てて仲間を呼びに行く。

 

 2人の無事を確認したエイルシアは守ってくれた彼女を想い、涙する。

 

 

「……ありがとう」

 

 +++

 

 

 落ちる。

 

 ユーマは落ちている。落ちて行く先にいるのは先に落ちた1人の少女。

 

 助けなきゃ、ユーマは思う。だから自分から落ちて行く。

 

 

 落ちる。

 

 手を伸ばすユーマ。まだ届かない。

 

 ――落ちろ、もっと早く!

 

 無理やり体勢を変えて抵抗を減らす。周りは見えない。景色が歪む。

 

 

 落ちる。

 

 ――助けなきゃ、そうしないとまた失ってしまう

 

 もう手放してはいけない。あんな思い2度としたくない。

 

 だからユーマはあの日から兄達を追いかけた。何もしらないまま。

 

 

 

 

 兄は夜に巣食う闇を見た。見せられた。

 

 振りまわされ狂わされていく彼の運命。自身の姿と心が歪むくらいの怒りと悲しみの中で彼は正直に生きる。

 

 許せないからと。

 

 

 もう1人の兄はまっすぐだった。力もその心も。

 

 彼ができることは身体1つで戦う事だけ。だから彼はいつだって親友の前に立つ。

 

 これ以上親友を傷付けないために彼は《狼》を名乗り拳を振るう。

 

 

 姉はただ1人を守り、護り続けた。

 

 非日常を生きる彼をうしろから見守り、いつ心が潰れてもおかしくなかった彼を隣で支えた。

 

 彼の危機を救ったのはいつだって姉だった。

 

 

 優真という少年は彼らを『日常』から見ていただけ。

 

 光輝の力の正体、大和の誓い。優花の覚悟さえ少年は知らない。それでも構わなかった。

 

 ただあの『非日常』を知ったからこそ変わらない兄達の強さを知った。打ち拉がれて初めて少年は彼らを追いかける。

 

 

 ――あの人たちのようになれば俺は……

 

 

 

 

 落ちる。

 

 届かない。ユーマは兄達に及ばない。だから必死に追いかけた。

 

 落ちる。

 

 届かない。だから手を伸ばす。

 

 『あの子』にしてあげられなかったこと。次があるならば、

  

 今度こそ――

 

 

 とどけ、いつか、きっと!

 

 

 落ちる。落ちる。落ちる。

 

 落ちる先で手を伸ばす少女。彼が助けたいのは金の髪の少女。

 

 

 

 

 それともしろい髪の……

 

 +++

 

 

「あああああ!!!」

 

 飛び起きるユーマ。

 

 目の前にいるのは驚いて目を見開いたエイリーク。彼はベッドからへ飛びかかるように抱きつく。

 

「あ……あああああ!!!」

「えっ!? えええ!!?」

 

 2人は床に倒れた。

 

「いたっ、離しなさい。と、とにかく落ち着きなさい!!」

 

 顔を赤くしてエイリークは叫ぶが、ユーマは離れない。震える腕で力強く抱きしめる。

 

 と、そこに――

 

「おもしろいのう」

「……ユーマさん。私の妹に何してるのですか?」

 

 ラヴニカとエイルシアがいた。エイルシアにいたってはユーマに向けて魔法をぶっ放そうとしている。

 

「……あれ? 俺?」

 

 正気に戻った。何に必死だったのかも忘れた。

 

「いい加減に離しなさい!!」

「エイリーク? お前! 無事か!?」

 

 今度は肩に手をかけられ激しく揺さぶられるエイリーク。ユーマにただ頷く。

 

「そっか。ならいいや。ここどこ?」

 

 あっさり手を離したユーマ。反動でエイリークは床に倒れる。

 

 こてん。ガツッ!

 

「あ、悪い」

「……アンタは、いったい、何なのよーーーー!!!」

 

 殴りかかるエイリークを誰も止めてくれなかった。

 

 +++

 

 

 あれからユーマとエイリークは無事風森の城へ帰還した。精霊の交信を受けたエイルシアが救出部隊を編成して率いてくれたおかげだ。

  

「この子が教えに来てくれたのです。こっちにいるよーって」

 

 エイルシアの肩にちょこんと座るのはちいさな風の精霊。クッキーを頬張っている。

 

「風葉! お前もう大丈夫なんだな」

「シアっちに魔力分けてもらいましたー。そのあとおうちでぐっすり眠ったので元気ですよー」

 

 風葉は普段エイリークの《守護の短剣》の中にいる。そうすればユーマに魔力を奪われず、少しずつ魔力を回復できるらしい。

 

「シアさん、あれからどうなったの?」

「その話はあとで。あなたは3日も寝込んでいたのですよ。リィちゃん、傷薬と包帯あと水を用意してくれる? ラヴちゃんも一緒に」

「姉さま?」

「ほれ、行くぞ」

 

 怪訝に思うエイリークを引っ張って部屋を出る小さなラヴニカ。察してくれたらしい。

 

「シアさん?」

「……とりあえず私がわかることを話します。今回の件、私が狙われた理由はきっとあなたにも関係があるのです」

 

 

 人払いをしたエイルシアは400年前の勇者の伝説と賢者の預言を話した。

 

 異世界の《勇者》は野心のある王ならばどうしても手に入れたい存在。3年前の争いがそうだったと。

 

「魔力さえ確保できれば《召喚》の魔術が使える《魔法使い》の私。それよりも異世界の人であるユーマさんの方が危険です。ユーマさん、傭兵達を相手に何かしましたか?」

「あの時は碌な装備を持ってなかったから派手なことといえば風葉の魔法くらいかな。俺は魔人だぞー、て脅した」

 

 何とも言えない顔のエイルシア。

 

 《精霊使い》の存在は珍しいが全くいないわけでもない。魔人云々は多少問題かもしれないが噂話程度で済ますことはできる。

 

「他には? その……しろい羽とか」

「羽? あっ! ……よかった。盗られてない」

 

 ユーマは思い出したように服の下から首に提げた『しろいはね』取り出す。それを見たエイルシアが酷く驚く。 

 

(えっ? だって手当てした時、服の下には何も……)

 

「羽ってこれの事? ただのお守りなんだけど」

「……いえ。何でもありません」

 

 しろい少女に関しては知らないことが多すぎる。ユーマも知らない彼女の存在を伝えるべきか、彼女は計りかねていた。

 

「これからは気をつけて下さい。あなたの存在は争いの火種になる。3年前のように」

「シアさんの方は大丈夫なの?」

「私の方は問題ありません。国にいる限り私は精霊に守られています。私だって強いのですよ?」

 

 心配するユーマにエイルシアは安心するよう微笑む。

 

「それからユーマさんにこれを。あの砦は騎士団を連れて調査してきました」

「! 光輝さんの」

 

 スタングローブだ。他にも奪われたはずの文房具セットや回路紙のカードがある。

 

「砦はもぬけの殻でした。ユーマさんのものとエイリークの剣は見つけたので私が預かっていたのですが……ユーマさん?」

「……」

 

 ユーマはグローブのエンブレムを見つめていた。

 

 金の眼をした銀色の梟。追いかけてもまだ届かない存在。

 

 これを手にしてもまだ。

 

「シアさん、ごめんなさい」

 

 ユーマは下を向いたまま謝った。泣きたかったけどそれだけはやめた。

 

「どうして?」 

「風葉が、風森がいなかったら俺、エイリークを傭兵から助けられなかった。捕まって目が覚めた時、あいついなくて……怖かった」

「……」

 

 エイリークが無事だったのは本当に偶然で奇跡だったと思う。だからこそユーマはあの頃から何も変わっていないと痛感する。

 

「シアさんとラヴニカの時だってまぐれなんだ。やっぱり俺は……弱いよ」

 

 

 傷ついた少年にエイルシアは何も答えることができなかった。

 

 

 

 

 扉の向こうにいる少女もまた。

 

 +++

 

 

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