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幻創の楽園  作者: 士宇一
幕間章 日常編
15/195

0-11 洗礼式

ユーマVS1年生

 +++

 洗礼式

 +++

 

 

「ところで今日の《洗礼式》って何なの?」

 

 ユーマには馴染みのない言葉だった。お清めでもするのかとまず思う。

 

「新入生の歓迎のひとつです。高等部と中等部では実力の差が余りにもあるのでそれを1年生に実感してもらいます」

「要するにアタシ達の実力を見せつけるのよ」

 

 

『洗礼式で新入生相手に実演する生徒募集。ランクB以上推奨』

 

 

 これが今日の依頼である。毎年学園の教員が学生ギルドに依頼しているギルド公式の依頼だ。

 

「アタシ達は3人で戦士系・魔術師系の1年生2クラス分、約50人の相手をするわ。楽勝ね」

 

 この依頼は他にも参加者がいて役割を分担している。

 

 技術士は実験棟で実演。戦士・魔術師は模範実技や新入生相手の模擬戦といった感じだ。

 

「ウインディさん、油断しないでください。去年先輩を吹き飛ばした1年生がいたでしょう?」

「……氷塊で先輩を下敷きにした1年生もいたわね」

「「……」」

 

 お互い様だった。

 

 

「まあ、いいや。場所は何処?」

「屋外演習場の林よ」

 

 +++

 

 

 屋外演習場前にある広場。

 

 

 3人の前には50人もの1年生が並んでいた。

 

 全員が真新しい簡易戦闘服(支給品の装甲のない丈夫な服)を身につけて武器やブースターらしきものをそれぞれ手にしている。

 

 

「新入生の皆さん、進学および入学おめでとう。私達も歓迎するわ」

 

 ユーマ達のグループは司会進行を代表でエイリークが行った。

 

 若干言葉遣いが丁寧だ。

 

「早速だけど自己紹介します。私はエイリーク・ウインディ。隣の魔術師がアイリーン・シルバルム。私達はランクBの2年生よ」

 

 優雅に礼をするアイリーン。

 

 ざわめく1年生。《旋風の剣士》、《銀の氷姫》は彼らの中でも有名らしい。

 

「そしてコイツはユーマ・ミツルギ。こんなでも一応特待生。ランクA待遇ね」

「……いいけどさ」

 

 コイツ呼ばわりが不満のユーマ。

 

 ユーマの方は無名らしく反応がイマイチだった。

 

「洗礼式では私達の実力を見てもらうとあなたたちは聞いていると思うけど、今日は私達を相手に実戦をしてもらいます。……あなたたち全員かかってきなさい」

 

 突然のことに驚く1年生。騒ぐのは当然。

 

 大声を上げるエイリーク。

 

「黙りなさい! 何の為に武器やブースターを準備させてると思うの? ……いいわ。ユーマ、埋めなさい」

「おい、エイリーク」

「いいのです。去年もこんな感じでした。伝統です」

 

 平然とする2人に仕方なく精霊を呼ぶユーマ。

 

「ああもう。砂更、モグラ落とし!」

「……」

 

 突如精霊が現れるのでさらに驚く1年生。

 

 ユーマは《白砂の腕輪》で地面を叩いた。

 

 

 ズボッ!

 

 

「えっ!」

「うわあああっ」

「きゃあ!」

  

 

 モグラ叩きというゲームがある。

 

 複数の穴からモグラがランダムに顔を出す。顔を出したモグラをハンマーで叩くゲームだが《モグラ落とし》は一度にたくさんのモグラを顔の下まで穴に落とすのだ。

 

 

 1年生が悲鳴を上げる。

 

 広場は砂場となり全員容赦なく首まで埋まった。

 

 生首畑である。

 

「わかった? コイツ1人でも一撃で終わりなの。アンタたち1年生ごときにアタシは負けないのよ」

 

 挑発するためかわからないが、地がでているエイリーク。

 

「ハンデをあげる。まずコイツの精霊たちは使わない。ユーマ、短剣と腕輪はアタシに預けなさい」

「腕輪もかよ。いや、砂更は今のでほぼ限界だからいいけど防御補正が……」

「いいのよ。アンタは《それ》があるでしょ」

 

 《ガンプレート・レプリカ》を指差すエイリーク。ユーマは仕方なく彼女に短剣と腕輪を預けた。

 

「これでユーマの実力はランクC程度ね。アタシのハンデはこれ。武器はこの短剣1つでいいわ。アイリィはどうする?」

「《氷輝陣》と《氷晶壁》の使用禁止。《氷弾》も使いません。どうですか?」

「最高ね。コイツ達相手なら十分よ」

 

 生首状態の1年生を指差し嘲るエイリーク。

 

 あからさまに挑発している2人の態度に生首達の顔色が変わる。

 

「ルールはこうです。私達は《マーキングボール》を1つずつ身体に付けます。それを3人とも割ることができれば貴方達の勝ち。制限時間まで割ることができなければ貴方達の負けです」

「アンタ達は諦めなければ何度でも挑戦できるわ。制限時間は2時間。3人のボールを割ることができたら全員の個人ランクはアップするわよ。これは学園長にも了承済み。……本気で来なさい」

 

 では解散。と林の中へ駆け込む3人。

 

 しかし1年生たちは生首状態から脱出するのに時間がかかった。

 

 

 戦闘が開始されたのは1時間後である。

 

 +++

 

 

 屋外演習場。森林ステージ。

  

 

「5人……いえ6人ですか」

  

 林の中は広く1年生達はいくつかのグループに分かれて散開していた。

 

 アイリーンが遭遇したのはそのグループの1つだ。

 

「戦士が4人、魔術師が1人。隠れているのも魔術師ですね」

 

 伏兵の正体までばれて驚く1年生。《感知》の特性を持つ彼女ならば未熟な隠蔽など簡単に見破ることができる。

 

「くそっ、かかれ!」

「いつでもどうぞ。私の魔術はこれです。……《氷晶球》、展開」

 

 接近する戦士タイプを前にアイリーンの銀の腕輪が輝く。

 

 創造されたのは両手で抱えるぐらいの大きな氷の球体。前方に2つ、後方に1つ。

 

「はあっ!」

 

 アイリーンは腕を振るい《氷晶球》を操作する。自在に飛び回る氷の球体を1年生の1人にぶつけて牽制。

 

「どうしましたか? この術式、まだ不慣れなんです。貴方方にはちょうど良いと思うのですけど」

「なめるなよ。先輩!!」

  

 氷晶球を砕こうと斧を振り上げる1年生。

 

 その攻撃は球体に弾かれ、もう1つの球体をぶつけられて木に叩きつけられる。

 

「《氷晶壁》とはいきませんけどこの《氷晶球》も硬いですよ。『球体』を割るのも貴方達の技量なら難しいでしょうに」

 

「それならこれだ、《火球》!」

 

 背後からの魔術攻撃。

  

 しかし背面の氷晶球がこれを察知。アイリーンは振り向かずに球体を操作して火炎弾を防ぐ。

 

 

 アイリーンは自分が生成した氷を知覚することができる。また、その氷にも《感知》が適用されるので氷を周囲に展開するほど彼女は物の気配を感じとる範囲が広がっていく。

 

 《氷輝陣》は全周囲をカバーできるが範囲は自分を中心に半径6メートルと狭い。

 

 《氷晶球》は球体を中心に周囲約3メートルを感知することができる。球体の操作範囲は最大半径約15メートル。

 

 同時展開は最大5つまでで同時操作は2つまで。これが今の彼女の限界だった。

 

 

 直撃した球体は傷1つ、溶けた形跡もない。

 

「イメージが足りません。私の氷を溶かすならリュガさんくらいの熱を想像しませんと」

「……まだですよ先輩。応援が来ました」

 

 いつの間にかアイリーンは囲まれていた。

 

「いくら氷姫と呼ばれるあなたでも《氷弾》や《氷晶壁》もなしで15人を相手にできるのですか?」 

「それでも足りませんね。でも少しだけ本気を見せます。……未完成の術式です。手加減はできませんよ」

 

 しかし早い段階からアイリーンは増援を感知していた。ただ気にしなかったけだ。

 

 彼女は《氷輝陣》を展開した時のように蒼眼を閉じる。その雰囲気にのまれて1年生は動けない。

 

「《氷晶球》、術式変更。魔眼、展開!」

 

 氷の球体のすべてに真横に亀裂が入る。そして球体の「まぶた」が開いた。

 

 開かれた瞳の色は銀。3つの銀の瞳は戦闘態勢のまま動けない1年生をただ静かに見据えている。

 

 

「《銀の魔眼》。これが私のあたらしい魔術です」

 

 +++

 

 

「はあああああっ!!!」

 

《旋風剣・疾風突き》

 

 竜巻を纏う突撃は細剣だろうと短剣だろうと関係ない。打突時の衝撃波で吹き飛ばすだけだ。

 

 1度に3人を吹き飛ばすエイリーク。ハンデが1番軽いのはきっと彼女だろう。

 

「次は誰?」

「下がれ。俺達が相手する。魔術師はサポートを頼む」

 

 前に出たのは重装備の戦士タイプが3人。大きな鋼の盾を持ち、槍を構えている。

 

「重戦士ね。いくわよ!」

 

 構わず《旋風剣》を振るうエイリーク。

 

 重戦士の1人がさらに前に出て盾でエイリークの突撃に耐える。装備重量もあってうしろに数歩分下がるだけで吹き飛ばされなかった。

 

「今だ。撃て!」

 

 残り2人の重戦士が槍を突きだした。

 

 攻撃を防がれたと同時に後方に下がったエイリークは槍を容易に躱すが、追撃の魔術攻撃が彼女を襲う。

 

「狙いが甘いわよ。……硬いわね。防御特化の強化系なのかそれとも盾に付与の術式を与えているのかしら?」

  

 魔術攻撃は自分に当たるものだけ《風盾》を使い短剣で逸らした。

 

 エイリークは《旋風剣》以外の術式も使う事が出来る。

 

「……試してみるか。旋風剣!」

 

 短剣に纏う竜巻は風をさらに飲み込んで大きくなる。

 

「集え集え集え! 風よ集いて螺旋を描け!」

「その技はまさか! ……隊列を組み直す。防御系の術式を使える奴は援護を!」

 

 リーダー格の重戦士を前にして複数の防御壁を展開。

 

 対するエイリークの放つ技はユーマがアイリーンとの模擬戦で見せた魔法剣上位剣技。

 

《旋風剣・螺旋疾風突き》

 

「いっ、けぇーーっ!!」

 

 防御壁を容易く突き破り重戦士へ突撃するエイリーク。

 

 ガリッ!

 

 ところが切っ先が盾に触れた途端《旋風剣》の竜巻は分解し、衝撃波となって爆散した。

 

 エイリークと重戦士のリーダーは互いに吹き飛ぶ。

 

「痛っ!……失敗か。ユーマの言う『どりる』が訳分からないからこれはちょっと無理ね」

 

 

 ちなみにユーマは「ドリルは魂の武器でスーパーロボット専用なんだ」と力説し、風葉は「ぐるぐるぐるぐるのどーん! ですよー」と解説する。彼女には理解できなかった。

 

 

「いけるぞ。《旋風剣》が効かないなら《旋風の剣士》なんて……」

「言ってなさい」

「――!!」

 

 歓声を上げようとした重戦士の1人。彼の目の前にエイリークがいた。

 

「は、はやっ」

「制裁!」

 

 防御する隙を与えずにエイリークは《竜巻ぱんち》で重戦士を殴り飛ばす。

 

「甘いのよ」

「……しかし不意打ちはそれまでだ。防御を固めて遠距離から攻めれば」

「試してみる?」

 

 《疾風突き》の構えを見せるエイリーク。重戦士のリーダーと睨みあう。

 

「はあああああ!」

「ぬおおおおっ!」

 

 小細工なしのぶつかり合い。エイリークの《旋風剣・疾風突き》は再び重戦士の盾に阻まれる。

 

「まだまだぁーっ!」

「う、おおおお!!」

 

 突撃が止まると同時にエイリークは《旋風剣》の短剣を盾に叩きつける。

 

 何度も何度も何度も何度も。

 

 何度も!

 

「いい加減に……吹っ飛べぇええええ!!」

「くっ、しまった!」

 

 ついに重戦士の盾が弾かれた。

 

 その一瞬の隙にエイリークは彼の懐へ飛び込む。

 

「なっ!」 

「遅いのよ。アンタは」

 

《旋風剣・疾風突き》

 

 吹き飛ぶ重戦士のリーダー。ここで1年生グループの前衛は崩壊した。

 

「次は誰? 来ないなら、いくわよ!」

 

 

 エイリークは1年生の集団に飛びかかった。

 

 +++

 

 

 一方その頃。

 

「何だ? この嫌な感覚……狙われてる?」

 

 

 ユーマは林の陰に隠れていた。

  

 +++

 

 

 遡って戦闘開始の合図から1時間が経過した頃。

 

 

 林の中に身を隠すユーマには腰の短剣も左腕の腕輪もない。

 

 あるのは額のゴーグル(とうとうアギに譲ってもらった)と右手の《ガンプレート・レプリカ》だけである。

 

「そろそろ来るかな? ……風葉達もいないなんて本当に久しぶりだ」

「そうですかー?」

「って風葉?」

 

 彼の肩にしがみついてるのは緑の小さな女の子。風の精霊の風葉。

 

「お前どうして?」

「見学ですよー。もちろんお手伝いはしませんー」

 

 この精霊は一応中位精霊。精霊器である《守護の短剣》から離れても活動できるらしい。

 

「でも」

「傍にいるくらいならわたしは消えませんー。守護精霊をなめないでくださいー」

 

 ユーマの心配は自分の《特性》で精霊たちが消えてしまうこと。心配ないと風葉はえへん、と胸を張る。

 

「危なくなったら『おうち』に帰れよ……ってお客さんだ」

 

 風葉を胸ポケットに放りこむユーマ。木を登って上から様子を見ると、1年生の2人組がやってきた。

 

「よし。まだ気付かれてないな」

「どうしますかー?」

「もちろん。奇襲だ」

 

 1年生が真下に来たところでユーマは木から飛び降りる。さすがに気付かれるがその時にはもう相手の背後はとった。

 

 スリットの銃口を向けて《風弾》を連射。

 

「えっ!」

「うわっ!?」

 

 撃たれた1年生2人は風弾の衝撃で木に叩きつけられた。

 

「何の音だ?」

「こっちの方だ」

「急げ!」

 

 《風弾》の発射音、木に叩きつけた音に気付いて駆け寄る1年生達。その時にはユーマはまた木に登って姿を隠していた。

 

「……気付かれたかな? この発射音はどうにかしないと」

「《消音》の術式は風属性ですよー。覚えますかー?」

「あとでな。……追加装置が欲しいな。ティムス達に聞いてみよう」

 

 ちなみにエルド兄妹は今のユーマを偵察器(仕組みは分からないが監視カメラのようなもの)で観測している。

 

「そういえばどうして《それ》を持つと《風弾》や《風刃》が使えるのですかー? わたしが教えても全然だめでしたのにー」

 

 ふくれる風葉の質問にユーマは呆れる。

 

「術式を放つイメージがどうしてもできないんだよ。ガンプレートは元々『魔法弾を撃つ道具』だからイメージしやすい。風弾なんかはシアさんのを見たことあるからね。……それに風葉の教え方がひどい。ふーふーのずばーん、とか言われてもわからないよ」

「そうですかー?」

 

 不満そうな風の精霊。

 

「いたぞ、木の上だ。撃て!」

「うおっと」

  

 気付かれたらしい。ユーマは《天駆》も駆使して木の上を移動し続けるが追いかけられる。

 

 どうやら探索系の魔術を使われたようだ。

 

「数が増えるのも厄介だな。このへんで迎え撃つか」

 

 木の上から飛び降りながら風弾を6連射。ほとんどが外れたり盾や術式で防がれたが牽制なのでユーマは気にしない。

 

 着地。1年生達と対峙する。

 

「貴方の事は知っていますよ《精霊使い》。精霊なしの貴方なんて貧弱な風使いだ」

「メガネは俺の事知ってるのか? でもそれは昨日までの話。試してみる?」

 

 眼鏡をかけた訳知り顔の1年生に対して不敵な態度で答えるユーマ。

 

 左腰から色違いの金属板を取り出す。

  

「実験、開始」

「お前達、いけ!」

 

 数を確認。接近してくる戦士が2人。魔術師が3人にメガネが1人。

 

 ユーマはガンプレートのグリップに赤い金属板を差し込む。

 

 金属板に付与されているIMがユーマに流れ込み、彼の《火》のイメージを《補強》する。

 

「フレイム・バーナー」

「なっ! 火属性だと!?」

 

 火炎放射に驚くメガネ。

 

 戦士の1人が火だるまで転がる。あと5人。

 

「この野郎!」

「ヒート・カッター!」

 

 振り下ろされる剣をガンプレートで受け止める。

 

 ガンプレートは銃身の先と下腹部のスリットから赤い刃を放出していた。受け止めた剣は赤熱化してじゅわー、と嫌な音を立てる。

 

 ユーマはガンプレートを振り抜いて剣を焼き切る。

 

「お、俺の剣が!」

「隙あり」

 

 呆然とする戦士の1年生を《風弾》で倒す。あと4人。

 

「そ、それはブースターなのか? そんな変な形で剣だと?」

「カテゴリーは一応銃剣になると思うけど。知ってる?」

「くぅ、前衛がやられた。一斉攻撃だ。接近を許すな!」

 

 メガネの指示で魔術師は一斉に《火球》を放つ。数は多いが弾速はリュガ並みといわなくても遅い。

  

 ユーマは腕を交差してガンプレートに差してある金属板を『換装』する。

 

 昔、兄達のように格好よく『カートリッジの交換』をやりたかったので何度も練習した。今では慣れたもので殆ど隙がない。

 

 金属板の色は水色。勢いよく噴射される『水鉄砲』は《火球》をすべて打ち消す。

 

 ついでに火だるまになった1年生にも水をかけてやる。

 

「消火完了っと」

「火属性だけじゃなくて水属性まで!? ぶわっ!!」

 

 水鉄砲の勢いに流されて木に叩きつけられた魔術師の1年生。あと3人。

 

 ユーマはそのまま《高速移動》で接近。

 

 風葉の魔法なしでは連続3ステップまでで隙ができてしまうが相手は1年生で魔術師。スピードの緩急をつけたようにみせれば十分フェイントになる。

 

「ショット!」

 

 バチィ!!

 

「ぎゃあ!!」

 

 今度の金属板は黄色。ガンプレートはスタンガンとなりその電撃で気絶させた。あと2人。

  

「ストーム・ブラスト!」

 

 竜巻で吹き飛ばす。あと1人。

 

「う、嘘だろ。風・火・水・雷の4属性を扱う魔術師なんて学園の《番号持ち》にだっていないぞ。何なんだよお前!!」

「うるさいよ」

 

 メガネの額に銃口を突き付ける。

 

「ばん!」

「ひぃいいいい!!」

 

 驚いて気絶したメガネ。泡を吹いている。

  

 ユーマはガンプレートをホルダーに収めた。

 

「何だったんだろうなこいつ。……使わなかったな、これ」

 

 ユーマの手には残りの金属板。色は青と白。

 

「まあ、いいや。この調子でいこう」

「がんばってくださいー」

 

 

 ユーマは風葉を連れて木に登り、林の中へ消えた。

 

 +++

 

 

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