4/9
第4話 屋敷
ガキに取り付いた俺はその格差に腸が煮えくりかえりそうだった。
人間と鬼が和解して、しかも鬼が世襲制だと。
何の冗談だ。ならば鬼になった俺はなんだ。
「滅ぼせ」
俺はガキに言い聞かせる。
人間は滅ぼせ。
この狂った世界を滅ぼせ。
そして事が起こった。
「大君。話があります」
「どうした息子よ」
「鬼がなぜ人と繋がりを持つのですか」
「鬼族の繁栄のためだ」
「鬼はそんな存在ではない」
「若いな。わしもそうだった。時期に慣れる。務めを果たせ」
「はい大君。オレは務めを果たします。この狂った鬼を是正するために」
「何を」
飛び散る血しぶき。それをガキが飲み干す。
素晴らしい力だ。
だがこれは人間だ。力はあっても鬼ではない。
人間が鬼を束ねていたというのか。
鬼こそが飼われていたというのか。
その事実に到達した俺達は頸木から解放され存分に人を食った。