第1章 異世界転生
「「生まれ変わったら殺してやる....!!」」
これが私の前世...いや正確にはアメデアの最後の言葉だった。
私は率直に言うと「異世界転生」をした。
前世、私はブラック企業で働くただの女性だった。そんな私にも唯一の癒しがあった。
それは「偽聖女は公爵様を忌む」という小説だった。
その世界では、本物の聖女オーロラは公爵家当主のアベレ・オベールの婚約者だった。
アベレ・オベールは社交界随一の美青年だと言われており、当然モテた。偽聖女アメデアにもだ。公爵様の婚約者オーロラにアメデアは酷く嫉妬し、壮絶ないじめをした。そして最終的には毒を盛り殺人未遂を犯し、公爵様に斬首刑にされた...その世界での設定だ。だが実は裏設定がある。それは本物の聖女はアメデアだということだ。オーロラは魔道具「聖女の指輪」を持っており、それを使い本物の聖女に成り代わっていた。
当然本物の聖女アメデアはそれを許さなかった。いじめが始まったのは嫉妬からじゃない。「聖女に成り代わられた」これが大きな引き金となった。
私は、オーロラというキャラが大嫌いだ。
聖女に成り代わりましては本物の聖女を偽聖女として処刑。本当に最低だ。そう考えると同時に誰かの「危ない!!!!」という声と同時に意識を失った。
目が覚めた時知らない場所にいた。
ここはどこなんだろう。そう考えているとドアが空いた。
「聖女様。お目覚めですか?」
それはアメデアのメイドであるアリスだった。
「え?なんでアリスがいるの?」
思わず声に出てしまったようだ。その声にアリスが反応した。
「聖女様、寝ぼけてらっしゃるんですか?今日は建国祭ですよ。起きてください。」
ここでようやく私の状態に気づいた。私は前世、交通事故に巻き込まれ死んでしまったということ、聖女アメデアに転生したということ。
鏡を見ると美しい銀髪に青の瞳をしていた。
「瞳、、綺麗、、、」
アリスが言った。
「何言ってるんですか聖女様。瞳だけじゃないですよ。」
いくら自分の体じゃないと言っても恥ずかしくとも思った。
いや、こんなこと考えてる程暇では無い。
「今日、建国祭だって言った??」
「はい。今日は建国祭の日です。」
建国祭。それは私が偽聖女だと疑惑を付けられる約半年前。アメデアはここで初めて偽聖女オーロラと出会う。まだ公爵様の婚約者になる1年前だから良かった。オーロラと公爵様が出会う前に私が何とか妨害しないと、殺される。
そう考えると同時に体が動いた。
「アリス!!建国祭の準備をお願い!」
「かしこまりました」