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けれど 言わなければならない

作者: サメ吉次郎

聞いてください。

僕はこの学校に来たくなかった。

目標は別の学校でした。

そう、受験に失敗したのです。

はっきり言って、ヤサグレた。





けれど人生は続くのです。

まだ上の学校へ進学するつもりなので、

すべてを投げ出すわけにはいかない。

凄くやりたいわけではなくても部活動に入り

生徒会や委員会活動で地道に点数を稼ぎ、

もちろん勉強も頑張りました。


そのどれもがパッとしない成績です。

部活で記録を残すことも無く、

生徒会も委員会も、平委員でした。


そして、

目標の大学には届かず、

また、

希望とは違う学校へ進学します。


負け続きの、つまらない人生だ。


人生なんて儘ならない

全ての努力が結果に結びつくわけでもない。

平等に幸福が約束されてもいない。

困難は不平等に振り分けられている。




挫折に立ち止まり

打ちのめされ眼を瞑っても

手を引く人がいれば少しづつ進める

傷が少しづつ癒えていく

やがて眼を開ければそこに世界が拡がっている


僕たちの手を引くのは先生であり先輩でありました。

傷を癒すのは3年間の限りある時薬でした。


目標にしたい大人にも出会え

親友だと思いあえる友達も出来た。


僕はこの学校に来たくなかった。

でも、

ここで

必要な人に逢えた

大事な人に逢えた


これだけは言わなければならない




僕の青春はここにあった。





最後に・・・




「急がないけど、返事、待ってるから。」





それまでの静寂を破り

壇上を降りる背中をざわめきが追いかける。



その年を境に

卒業式の飛び入り演説が

伝統になったとか




青春だね



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― 新着の感想 ―
[良い点] 詩的で読みやすく、とても面白かったです。 最初は落として、最後にあげる。というお話の起伏が読みやすさに拍車をかけていました。 [一言] それまでの静寂を破り 壇上を降りる背中をざわめきが追…
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