9、たのしいクリーニング
~前回までのあらすじ~
三度寝をしました。
就寝
夕日を見た翌日の深夜、私は仕事の緊急業務の関係で書類を作成していた。細長い巻物のような紙にひたすら文字を書いていく、2~3時間後、ようやく書類一式の作成が終わった。気が付くと外が明るくなっており朝になってしまったようだ、私は1~2時間の仮眠を会社で取った後、出勤してきた上司に作成した書類一式を提出する。
さらに翌日、私は自身の会社である8階建ての鉄筋コンクリート製のビルへ出社した。すると先に出社していた上司から、
「昨日提出を受けた書類が丸まって困っている、クリーニングに出してくれ」
と言われたため、書類を確認すると、なるほど巻物のように細長い紙の書類は丸まってしまっていた。私は上司に了解と回答し、通常業務の準備を始める、すると、カウンターに一見して30~40代くらいの女性が訪れ、
「これ50GBの映像記録なんですが、40KBにしてください」
と言われ困惑する、私は内心、いくらなんでも無理でしょう……と戸惑っていると、今年で定年退職予定の書類提出した人物と別の上司がお客さんに、
「分かりました、30分ほど時間がかかりますがよろしいですか?」
と説明していた。えぇ……できるの?知らなかった、と私は自分の無知を恥ずかしくなる。しかし、お客さんの方は、
「そんなにかかるんですか?」
とだいぶ不満げ、声もとげとげしい、しかし、臆せず上司は、
「昔は2~3日かかった、昔に比べれば早い方です」
と毅然とした態度で説明、さらに私が書類提出をした上司も、
「データ容量が大きいと処理に時間がかかるんですよ」
とダメ押しで説明したところ、お客さんの女性は納得した模様、やれやれどうなるかと思ったがこれで一安心だと内心ほっとする私。
その日の夜、巻物のクリーニングを依頼しに、会社近所のコンビニと散髪屋を兼ねたクリーニング店へ向かった。男性店長に事情を説明し、クリーニングを依頼すると、
「一晩かかるから店の中で泊まっていってください」
と言われ、特に疑問に思うことなく、店長が用意してくれた簡易ベッドに横になるが、掛布団がブルーシートだった。
翌日早朝、クリーニングが終わったと起こされ、続けざま店長から、
「クリーニング代金は2600円です」
と請求されたことから、財布から、
千円札1枚
五百円1枚
百円 1枚
を取り出し支払おうとしたとき、五百円の模様がおかしいことに気が付きよく見てみると、五百円の模様部分に、「オリンピック記念硬貨」と記載されていた。それと同時に私の頭の中で解説が流れる、
このオリンピック硬貨は1990年代の砲丸投げ選手「野口」選手を記念して作られた硬貨です
私は、なるほど……と何故か妙に納得し、クリーニングの支払いに使った。
クリーニングも終わり、私は会社へ戻ろうと店の出入り口から外に出ると、何故か実家に帰ってきていた。そういえば今日は休日だったか、と思い出し、実家でくつろぐことを決意する。
自室のテレビでニュースを見ていると、昨日利用したコンビニ及び散髪屋を兼ねたクリーニング店に強盗が入ったが、張り込んでいた警察官に現行犯逮捕された、という報道がされていた。ほへー私が寝ている間にこんな大事があったとは、気づかなかったなぁー、と報道に関して感想を思っていると、いつの間にか私の隣で一緒にテレビを見ていた父親から無言で跳び蹴りを受けた。
起床
ぼんやりする頭を起こす、携帯電話で時刻を確認すると、午前5時30分だった。起きるにはだいぶ早いが、もう起きてしまおう、今日は休日だし、どこかへ出かけるのもいいかもしれない、そう思い私は立ち上がりカーテンを開けると、雪が降っていた。……私はカーテンをそっと閉めると、もうひと眠りするため布団に潜り込んだ。
・お店の店長は私がよく通う、散髪屋さんの店長でした。
・ちなみに私が勤務する会社は築40年鉄筋コンクリート造4階建てになります。
・父親に蹴られて起きた割には、目覚めは良かったです。