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28、たのしい恐山

 コロナ禍という理由もあって、趣味の城跡巡りができていない藤山です。

 今日はようやくの休日、冬の足音が聞こえてくるような、じわじわと寒くなる毎日に対抗するため、冬支度を行う。まぁ独身男の冬支度なんて1時間あれば大体終わる。スーツのクリーニング等は、すでに出したので明日受け取りに行けばいいか。なんて考えながら晩飯を作っていたところ携帯が鳴った…


明日は仕事になった。たった今、決まった。よし、不貞寝しよう。私は、早々に食事と入浴を済ませると布団に潜り込んだ。


 就寝



 今私は、自家用車で青森県は、恐山へ向かうため車を走らせている。ごきげんな旅仲間は、助手席に中学時代の友人、後部座席には会社の上司とその奥さん。なんでこんなパーティー編成になったのか、経緯は全く分からないが、とにかく恐山へ向かうのだ。

 気がつくと恐山に到着していた。周りは白いような灰色の様な、砂利と大岩や小岩が辺り一帯に転がっている。私は周辺をなんの気無しに歩いていると、木造の巨大な門が目に入る。門は茶色のような黒色のような色で、大きさは普通の二階建て一軒家くらい、門と言っても、周りを囲う柵等も無ければ、門を抜けた先に何かあるわけでもない。

 歩き疲れた私は、見つけた東屋で休憩していると共に恐山へ来た、ごきげんなメンバーも同じく休憩に来たようだ。中学時代の友人と取り留めの無い会話をしていると、私の肩を誰が叩いた。振り向くとそこには、数年前に私の上司だった人物がおり、一緒に来た上司は居なくなっていた。私は、突然数年前の上司に

胸ぐらを捕まれ、

 「あの書類はどうなった!?早く出せ!」

怒鳴られた。恐らく仕事の話なのだろうが、山程ある仕事書類の中で「あの書類」と言われても皆目検討付かない。ついには胸ぐらを掴まれた状態で前後に揺さぶられたため、中学時代の友人に助けを求めようと振り向くと、中学時代の友人のいた場所には、職場の同僚が座っていた。

 「俺に言われても何もできない」

同僚は振り向くことなく、私を見捨てた。同僚に見捨てられ、前の上司から胸ぐらを捕まれ途方に暮れていると突然思い出した。

 (ここ恐山じゃない)



    起床


 目が覚めた。暗い、どうやら日はまだ登っていないようだ。夢の中で見た場所は、間違い無く恐山ではない。行ったことがあるので違うと言い切れる。しかし、夢の中でも気付けるとは意外だった。私は、二度寝する前に携帯で時間を確認する。

 午前4時44分

寝惚けた頭で不吉だねぇ〜と思いながらも、睡魔に勝てず私は二度寝した。

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