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17、たのしい留置場

 働け!社畜ども!と言われながら働く藤山です。今日も今日とて私は楽しく仕事をしています、気が付くと時計の針は午前0時を指そうとしている…なんだ、いつも通りか…



就寝



 ここは薄暗く湿っている留置場、私の職業は刑事だ。何故こんなところに来ているのかというと、逮捕した犯人を収監するためだ。いま私の目の前にいるこの男は殺人罪で現行犯逮捕され、その後、取り調べ等を経て最終的には裁判においてその罪を償うことになるだろう…私から見た限り男は両手に手錠をかけられ方を落とし顔は下を向いている。

 留置場で犯人を引き渡そうとする、留置場の担当官が男に質問する、

 「あなたは殺人罪でここに来た、間違いはないか?」

しかし、男は何も答えない、顔も無機質な白色の床に向けたままだ。担当官がもう一度聞く、

 「答えなさい、あなたは殺人の罪…」

 「おれはやってねぇ!」

担当官の言葉を遮り男は吠えるように叫んだ、そして激しく暴れ出す。

 「まぁまて暴れるな暴れるな…」

私はなだめようとするが、男はさきほどよりも強く暴れ出し、あわや担当官に向って体当たりを仕掛けようとする。

 「暴れるなこの野郎!」

担当官の鋭い左フックが男の鳩尾に叩き込まれ、男は膝を折り床に倒れる、あっけにとられる私を気に留めることなく、手続きを進め動けない男の身体検査等を進めていき、牢屋の中に入れられた。一連の流れを見ていた私も牢屋の中に入った男を見た後、留置場から退出しようとしたところ、

 「あんたちょっと待ってくれ」

担当官から呼び止められる、何事だろうかと思い足を止め振り返る、

 「あの男は九分九厘逃げ出すだろう…私がいれば大丈夫だが常にここにいるわけにもいかない他の職員にも十分に注意するように言うが、あんた達も何かしらあってもいいように備えておいてくれ」

 「えっあ、はい、わかりました」

まさかこの留置場から逃げ出すなんてことは至難の業だろうと考えていた私は、担当官の言葉を適当に受け流し留置場を後にした。

 数日後、男の殺人の罪について裏付け捜査等を行っている。気が付けばてっぺんも過ぎ午前1時半を回っている。あれから数回、男の取り調べを行ったが今のところ完全に黙秘してしまっており、男からの申し開き等はまったく聞けていない、よって捜査で持って男の罪を証明する必要がありこんな時間まで働かなければならない…パタンと入り口の方からドアの閉まる音が聞こえた。当直の人間が来たのかと思いそちらに目をやると…

 男がいた、留置場に居るはずの男が…

男の両手や衣服には明らかに先ほど浴びたであろう血液が赤々とついてる、

 「何故ここに…」

私は急激に乾いた喉から何とか声を絞り出す、男は俯いていた顔を上げる、その顔は目を見開き口を大きく歪め、笑っているように見えた。

 「…したり…い」

留置場で暴れた時とは打って変わって、男はぼそぼそと何かをつぶやく、

 「なんだって」

私は男に問いかけるも、男は無言でゆっくりとこちらに近づいてくる、私も立ち上がり身構える、

 「何がしたいんだ!」

私はさきほどよりも大声で男に問い詰めるように言い放つ、男は足を止める、男との距離は残り4~5メータくらいになっている。

 「殺したりないんだよぉぉぉぉぉ!」

突然叫び出し向かってくる男、私は激しく恐怖を覚えながらもなんとか男を捕まえようと心掛けた。




起床



 あー、腰と肩がとても痛い…どうやらまた会社で寝てしまったようだ。そういえばそろそろ会社に念のために置いていた着替え類もなくなるなぁ、何日家に帰っていないのだろうか…私はカレンダーを確認しようと部屋の入口の方を見ようとしたところ、

 パタン

入り口の扉が閉まる音がしたため、私は体をこわばらせる、

 (あれ…確か他の同僚が帰った後、この部屋に来るときに扉は確実に閉めたはずだが)

恐る恐る、入り口の方へ目をやる、

 「何やってるんですか先輩」

あほの後輩だった、というかお前も何をしているんだよ!

 「いやー仕事終わったと思って家に帰ったら会社にどうやら玄関のカギを忘れまして」

後輩はそそくさと自分のデスクの中から鍵を取り出す、

 「じゃあ、体壊さない程度にやってくださいねー」

深夜の割にはやけに元気よく後輩はあっというまに帰って行った。私は一息つき、デスク上のパソコンに目をやりながら思った。

 (まぁ現実はこんなもんだな)

結局仕事は午前4時くらいまでかかってようやく終わった。


・男の見た目は藤原〇也のまんまでした。

・机の上で寝ると体感的に悪夢がよく見れると思います…


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