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11、たのしい張り込み

 寒風吹きすさぶ今日この頃、皆様どのようにお過ごしでしょうか、私こと藤山は本日も仕事で営業へ行っています、普段と違う所を挙げるとすれば営業先が山深い山中ということだけです。

 というわけで雪深い山中の営業先から会社へ戻ってきたころには午後7時30分頃になっていた。これから関係書類を作成して明日提出できるようにしなくては、私の真の戦いはこれからなのである。



就寝



 私は一見して超田舎へ来ていた。私は〇〇署の刑事課に勤務していて、今回こんな場所までやってきたのは逃走中の指名手配犯がこの超田舎へ逃げ込んだとの情報を得たためだ。

 さっそく付近の民家へ聞き込みを開始したが、まったくと言っていいほど指名手配犯の情報は無い…聞き込み先の村民曰く、

 「こんなところで知らない人間がいれば目につく」

そうだ、しかし逆に考えると…

 (知っている人間であれば目につかない)

ということだろう、可能性として村民が犯人を隠避していることも否定はできないように思える。まぁ考えすぎかもしれないが、この仕事は疑うこと自体が仕事みたいなものだ。私は捜査用車に乗り込み、次の聞き込み先へ向かった。

 村全体から聞き込みをするも有力な情報は一切なかった。しかし、聞き込みをすればするほど村民が犯人をかばっているのではないかという疑いが強くなっていた。ある村民から話を聞いた際、

 「どーも、〇〇署の警察官です、実は今、人を探しているのですが」

 「お疲れ様です、どんな人を探しているのですか」

 「実は、人の家から物を盗った犯人を捜していまして、このような人相なんですが」

私は胸ポケットから本件犯人の人相書き及び付近の防犯カメラ映像から抽出した写真を取り出し、村民に見せたところ、

 「ふむ、こんな人間は村には住んでいないし、ここ最近は見たことが無い」

 「そうですか、最近このあたりで指名手配犯らしき人物の情報があったのですが…」

 「少なくとも私は見たことがありません」

 「ありがとうございました、また何か思い出したり、似たような人物を見かけた時は教えてください」

家を後にしようとする私に村民が声をかける、

 「こんな強盗まがいの犯人が、この平和な村にいると思うと非常に怖いので早く見つけてください」

 「分かりました、可能な限り捜査を行います」

という、一幕があったが、気になる点は三つ、

 ・「ここ最近は見たことがない」という言葉

 ・「強盗」という単語

 ・村には住んでいない、といこと

一つ目は職業がら疑う、という観点から見ると、「ここ最近は見たことがない」とは「昔は見た」という風に取れなくはない、そして、二つ目は、「強盗」という言葉、少なくとも私はこの村に入って捜査中「強盗」という単語は一言も言っていない。村人から「何をした人間か?」と問われた際は必ず、「人から物を盗った」と説明していた。また、「指名手配」という言葉を使っているが、本件犯人については、警察内部における「強盗罪」による指名手配であって、世間一般に告知される「全国指名手配」ではない、簡単に言うと、指名手配されていることは犯人本人はおろか村民が知るはずもない、そしてもちろんその罪科については本人と捜査する警察以外……

 (この村、疑わしい…)

そう考え、私は村から少し離れた山中で張り込みを行うこととした。

 私は、この村唯一の宿泊施設が見渡せる山中にて張り込みを開始していた。もし犯人が出入りするのであればこの旅館か山中だろう、仮に山中だったとしても風呂に入りに来るかもしれない、この旅館は日帰り温泉でもあるからだ、ここから辛く苦しい張り込みが始まった。

 張り込みをして一週間、犯人は現れない、疲れた、そして食料が足りなくなってきた…署に食糧支援と人員交代容貌の電話を入れる、しかし、上司からは、

 「食料は三日後、人の交代は犯人が出たら考える」

とだけ言われ、電話を切られてしまった。仕方ない、三日後の食料配給までは自給自足するしかない、私は近くの川で釣りをする、釣果は上々だ釣れた魚は…初めて見る魚であったため携帯で調べたところ

 【ココダママンボウ】

という魚らしい、焼いて食べると意外とおいしかったような気がする。

 三日後の食料支援の日、後輩が汗水たらしながら、山中までやってきた。ありがたいようやくまともな飯が食えると持ってきたリュックサックを広げると、乾パンしか入っていなかった…つらい。とりあえず、わざわざ山中まで来た後輩をねぎらっていると、ついに見つけた!犯人が旅館へタオルを肩にかけ入っていく姿を確認した。

 後輩と共に旅館へ突入する、

 「警察だ!神妙にしやがれ!」

後輩がイケイケで女湯に突入しようとするのを必死に止め、私達は男湯に突入する。脱衣所にはいない残るは浴場だ。靴下だけを脱ぎ、後輩と共に今度は浴場へ突入する。

 「警察だ!」

浴場に声が響き、今度は湯煙の奥でバシャバシャと人が動いて出るような水音がした、奥へ進むと、男湯と女湯を隔てる壁を必死の形相で登ろうとする犯人を発見した。私は全裸の犯人の両足を抱え込み壁から引き釣りおろそうとしたところ、勢い余って犯人と共に浴槽内へ倒れ込む、なおも逃げようとする犯人を浴槽から引き釣りだし、組み伏せて手錠をかける。私は息も切れ切れになりながら周りを見回すと、後輩が水筒の中に温泉水を入れていた…後で説教しようと思った。

 こうして犯人は捕まり、本署から来た応援に連行されていった。犯人を本署の警察官に引き渡した時点で私の仕事は終わりだ、私は自身の貴重品を持ち車へ乗り込む、山中で張り込みの際に使用した物品の後片付けは、今回のバツとして後輩に行わせているので大丈夫だろう、ちなみに何故、水筒に温泉水を詰め込んでいたか聞いたところ、

 「実家のおばあちゃんに飲んでもらおうと思いまして」

と至極どうでもいい内容だった。まぁおばあちゃん子がおばあちゃんを大事に考える気持ちは分からなくもないなぁと、私は今は亡き祖母のことを思い出していた。

 車で本署へ帰る途中、突如助手席に中学校時代の友人が現れた、私があまりに突然のことに驚いていると、

 「ゆるキ〇ン△はいいぞ!とくに…」

いきなり現れ、何故か某キャンプアニメについて熱く語り始める友人、私は、

 (ついさっきまで似たようなことしていたんだけど……)

と思いながら車を走らせる、見知ったところまで走ってきた。もうすくで帰れるだろう。



起床



 主に腰と肩が痛い、なんだか声がする…声をする方を見ると後輩が、

 「何してんすか、寝落ちですか」

と気怠そうに聞いてきた。寝る直前までの記憶を思い返す、たしか書類を作り終えたのが午前2時くらいで、帰ったところですぐ出社しなければいけないことから会社に泊まって行こうかなと考えていたような気がする、まぁ結果として自身のデスクで寝てしまったわけだが…パソコンをスリープ状態から起動させる、どうやら記憶通り今日提出すべき書類は完成している。とりあえず、

 (自販機でコーヒーでも飲むか)

デスク引き出しから小銭を出して立ち上がる、やはり腰と肩が痛い…机で寝るのは体に悪いなぁ




・警察の後輩は本編に出てきた後輩と同じ人間でした。

・推理がガバっているのは夢の中なのでしょうがないね。

・後日、夢に出てきた友人に某キャンプアニメについて聞いたところ、「私はキャンプが嫌いだ」「私は不便を楽しみたくない」と回答がありました。

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