その4
それから数日が経過して、僕は再び休憩室でセキさんと話した。
小関「また休憩中に悪いな。」
城間「いえ、特に。で、前回の件ですか?」
小関「そう、詳細だけな。ギャラ交渉はその後になる。」
そう言って僕が座っている席の前に、テーブルを挟んでセキさんは座った後、セキさんは持ってきたカバンの中から、タブレット端末を取り出して操作し始めた。そしてセキさんはタブレットに表示された、そのイベントのホームページを僕に見せてきた。
小関「三月八日の日曜日。会場は✕✕。〇〇と◎◎がコラボした、そのTシャツとタオル。
そしてスマホケース。・・・あ、これだ。」
イベントのホームページから販売されるグッズについて、二人でタブレットを見ながら確認した。スマホと違ってタブレットだと、画面が大きいし字も見やすい。何よりテーブルの上に置いて、お互いチェックするので、依頼内容も理解しやすい。
小関「あと、このイベント用のチラシもあったら欲しいそうだ。」
城間「チラシ?」
僕はそう言って、視線を画面からセキさんに移した。セキさんは淡々と答えた。
小関「ああ。よくあるだろ?映画の宣伝に使われる感じのヤツ。なかったらなかったで良い。」
城間「・・・で、いくつですか?」
小関「各種一個で良いそうだ。とにかくこの三つは手に入れる事。チラシは気にするな。」
城間「・・・了解です。」
僕はそう言った後、ふと視線を天井に向けた。それを見てセキさんはこう言ってきた。
小関「もちろんシロちゃんの納得する額にしたいけど、向こうも向こうだからな。」
城間「・・・どこの人ですか?」
小関「鳥取。」
それを聞いて僕は再び、視線をセキさんに向けて言った。
城間「・・・そうですか。よほどの感じがしますね、何となく。」
するとセキさんは首を傾けて、腕組みして言った。
小関「・・・それはアレか、田舎的な?」
城間「・・・別に。」
正直内心はそんな気持ちになった。が、僕はさり気なく告げた後、次こう発した。
城間「まぁとにかく、引き受けますよ。ギャラは強気じゃなくても構いません。」
それを聞いてセキさんは何故かニンマリした。そしてタブレットをカバンの中に入れて、おもむろに立ち上がった後、セキさんは僕を見ながら言葉を発した。
小関「・・・わかった、そうしよう。とにかく頼んだからな。」
僕もセキさんを見ながら答えた。
城間「・・・わかりました。よろしくです。」
セキさんが去った後、僕もスマホを取り出して、そのイベントのホームページを見ながら、その当日の状況をイメージしていた。