その2
セキさんの夢は役者だ。今現在セキさんは、某有名劇団に在籍しているが人数が多いので、公演があればすんなりと出演できる訳でもない。だからこそのあの笑顔をしたセキさんに、僕はひとまず祝辞を述べた。
城間「あ、そうなんですね。それはそれは良かったじゃないですか。」
小関「おお、ありがとう。実はそうなんだ。本当に嬉しいよ。」
そして照れながらもセキさんは続けてこう言った。
小関「で、その公演に向けて当然稽古がある訳でさ。それでかなりの日程が抑えられるんだよ。」
城間「そうですか、どのくらいで?」
小関「明後日から二週間くらい。」
城間「二週間ですか。」
するとセキさんは前屈みだった体勢から一転して、椅子に背中を押し付け、踏ん反り返った状態になって、腕組みしたまま言葉を漏らした。
小関「まぁ二週間で済めばいいんだけど、実際はもう少し長くなるだろうな。」
城間「・・・そうなんですか。」
セキさんの劇団の事情はわからないけど、とにかく来月公演を行うのであれば、セキさんがそれを優先するのは当然だし、僕も周りの仲間もそれにもちろん反対はしない。
城間「その間仕事は?」
小関「もちろん!しなきゃやっていけないじゃん。稽古は夜にやるから基本時間は大丈夫。
ただ土日は日中を通してやるかも知れん。」
城間「じゃあしばらく土日が休みになりますね。」
と言った瞬間、セキさんは食い気味に僕にこう言ってきた。
小関「そこでシロちゃんにお願いしたいんだよ。シロちゃんも土日が休みだろ?」
城間「ええ。僕もそうですね。・・・え?土日って事ですか?」