七月七日・その二
京都で新撰組が闊歩し出したのはご存知の通り大坂も段々きな臭くなっていた激動の時代。
そこへ場違いな招かれざる客が姿を現すことになるのです。
そんな明治維新も終わり、時代は明治。西暦で言うと一八七三年頃です。
長女と同じように美しく育った十三歳の三女・羅紗さんはこの年の秋も、塾に通っていました。
そんなある日のよく晴れた朝。四宮結さんが四宮家の奥で一人、かごの中の小鳥に向かって寂しそうに話しかけていました。
「ぴーよぴよぴよ。アンタは悩みがなくて良えねぇ……」
この時公式的な年齢では結さん五十三歳。かなりのおばあちゃんです。見た目は子供みたいですが。
「キャアアーッ!」
家の中のどこかから響いて来る少女の金切り声を聞いた結さんは、口の端を持ち上げてニヤリと笑いました。
スリルを楽しんでいる人が見せる、あやうい笑いです。
「ふふふ……見てみようかね」
結さんが広い家のよく軋む廊下を通って悲鳴の聞こえた部屋までそれなりに急いで向かい、到着。
ふすまを開けてみると、明治時代日本に相応しくない、現代的な洋服を着た背の高い男性が畳の上に敷かれた布団の上で寝ていました。
上の掛け布団はこの時代、大きな着物のようなデザインなんですよ実は。
その着物のようなデザインの掛け布団の上に俯せで倒れている男性を見て、その次に、部屋の隅で縮こまっている少女を見た結さんは一言、こう言いました。
「知り合い?」
「ちゃうよ! お祖母さま! 私が寝てたら急にこのお人が……!」
まあ、多分年代的に結さんの次女の真知さんの娘、つまり結さんの孫娘であると思われますが、四宮の血を継いでるようです。
結さんもこの孫娘がその血を継いでいると初めて知り、彼女にこう声をかけました。
「神憑きになるとそないな事もあるらしいわね……ちょっと、アンタ起き!」
おばあちゃん特有の大雑把さで幸村さんの頭を結さんがひっぱたくと、幸村さんは起き上がり、開口一番、ここにいる誰にも理解出来ないことを言い出しました。
「ハッ!? 春雪は!? ここは一体……」
「ここは大坂の道修町。薬問屋のほか医者もやっております、四宮家でございますが……?」
「おおこれはご丁寧に。私、神野幸村と申しまして……」
「神野? みちのくから大坂まで何用で?」
「いや別に来たくて来たわけじゃないんですが……」
「お引き取りを。うちは金輪際神野のお方とは……」
「嫌われたもんだな……もちろんすぐ出ていきます。
道わかりますか? 駅はどっちです?」
「……?」
「……?」
おばあちゃんと孫娘は、一斉に顔を見合わせ、困惑します。
駅なんて言葉、多分この当時まだ日常会話で使うことはなかったでしょうから、どういう意味か分からなかったんでしょう。
別に変なこと言ったわけでもないのに気まずい雰囲気になって、いたたまれなくなった幸村さんは頭を下げるとこう言いました。
「似たような事はあったが……とにかく失礼!」
「あ!」
結さんは飛び出していく幸村さんを追いかけ、そして、外に出て景色を見渡した幸村さんは言葉を失い、立ち尽くします。
私だっておなじです。大坂といえばグリコの看板とかのイメージがありますが、看板どころかそれを掲げるビルもなく、木造平屋ばかりが立ち並ぶ明治時代初期の町並みに、ただただ絶句していました。
「幸村はんと言わはりましたか……未来から来られたので?」
「……自分でもわかりませんが、多分そうだと思います」
幸村さんは額に汗して言いました。心情は察するにあまりあります。
「あんさん目立ち過ぎですわ……さ、とりあえず家のーー」
と結さんが背の高い幸村さんを家へと誘導しようとしたその時でした。
一般的な江戸時代の女性風ではない、崩した髪型で黒髪を髪の自由に任せるように流した女性が駆けてきます。
神野幸村さんが、かつて結婚していた最愛の女性にうり二つで、そして、もちろんこのあと結婚する事になる女性です。
彼女を見て幸村さんは石のように硬直しますが、他の二人は気がつきません。
「お祖母様、家の外に出てはるやなんて珍しい。隣の方は?」
「詳しい話は中でするわ。アンタも入りなさい」
さきほど結さんのいた小鳥の住まう奥の部屋に通された三女の羅紗さんと、先程から黙りこくっている幸村さん。
二人を座らせ、その前に鎮座し、ついでに孫に茶と菓子を持って来させて、結さんは話を再開します。
「羅紗、四宮家の血を継ぐ人間の中には未来もしくは過去から人間を産み出す事があるらしいのよ。
確かあのぉ……ええと、真知の三番目の娘の……」
「糸?」
「そう! 糸のところに出て来たのよ!」
「……」
その間もずっと幸村さんは怖いくらいに羅紗さんの顔を凝視していることに気づいた結さんは話を彼に振ります。
「幸村さんでしたか……娘の顔に何か?」
「いえ……入ってきた時からおかしいと思っていたが……何でここに君がいる!
ゆ、結さん。この女性はラシャさんと言いましたか?
年齢は。姓は。どうしてこの人がここにいるんですか!?」
「お客さん一体……」
「済まないが今それどころではない。結さん、答えてください!」
あまりの剣幕に五十歳をゆうに越えているを越えている結さんも動揺し、素直に答えてしまいました。
「ええと……この子は私の娘で今は十二……」
「数えやとそうね。けど今は十三歳と数えるんやよお祖母様」
「とまあ、こういう小賢しい娘ですわ」
幸村さんも知らない事ですが、彼の妻は実はここにいる二人の女性と血縁関係。
現在羅紗さんが生きていれば一六〇歳ですから、相当離れた血縁とはいえ二人の面影が重なる事がないとは、誰にも言えない事でしょう。
そして非常に頭の痛くなる事実があります。
それはこの時点で幸村さんの孫にあたる夏樹くんは病院で死亡。
その上、鳰ちゃんも操って神野春雪さんが母親に疎まれ、幸村さんと彼の妻が離婚する原因が出来ているという点です。
頭が痛くなります。複雑ですし時系列的に一見矛盾することが重なり過ぎでわけわかりません。
「なるほど……理解しました。すみません取り乱してしまって。
要するにあなたの血筋で四宮家とは関係がないんですね?」
「ええ。化野の血を引く幸村さんでも結婚は出来ますが……」
「ちょっ、おばあ様!」
いくら妻に面影があっても十三歳に手はだしません。
幸村さんは結構後になってから彼女と結婚するようです。
「確かに……妻の面影が……ここまで似ていると放ってはおけません」
初対面の女性に対し、幸村さんはなにを言っているんでしょうか。
でもなんか羅紗さんも、まんざらでもなかったりして。
やはり結さんの血筋の女性は神野家が惹かれ、その逆もあるというのが正しかったみたいですね。
「面影がってそんな理由で私は結婚しまへんよ!?
とにかく定職についてもらわへんとね……」
「それは心配要らない。結さん。私は諸事情ありまして結婚には積極的です。
ここでやるべき事も出来た……後の世代に残したいものがあるんです」
「それは……?」
「我々の肉体を研究する研究機関を興したい。そうして呪いを解きたい。
多分そうすれば息子は父親も母親も失わずに済むんです」
何という運命の悪戯でしょうか?
私は今まで謎だったあの研究機関の事を深く考えた事はありませんでした。
きっと冷酷なマッドサイエンティストの結さんが作らせたものだと。
何という皮肉でしょうか。幸村さんが築き上げた研究機関こそが彼の息子や孫を苦しめる結果になるとは、この時点の幸村さんに知る由もありません。
「研究? そないなこと考えたことも……けど面白いですね。
幸村さんしか思い付かなかったやろうと思います……科学的に呪いを突き止めようやなんて……」
結さんの顔が少し明るくなりました。幸村さんのことを信頼した証です。
「どうも。手っ取り早く神野の家へいきたい。結さんから一筆書いておいてくれませんか。
あなたの言葉は必ず届く。すれ違ってしまった化野家とも」
「百年以上未来の人もそのことを知ってるのね」
「孫にそう教えられました。だから……」
「わかりました。幸村さん、あなたを発見した子は糸ですが……」
「はい、その子で間違いありません」
「羅紗、あの子の母親に連絡して」
「はい、おばあ様」
母親なのにお祖母様とは不思議ですが、羅紗さんはとにかくそう呼ぶようにしつけられてるみたいです。
その後変な噂が立っても恥ずかしいとのことで寂しがり屋さんの結さんと、面食いで年上の男性が好きな彼女の娘も幸村さんとしばらくの平穏を過ごしました。
景色が移り変わり、そこは見覚えのあるような、ないような景色。
その景色を、死んだイザナさんが解説してくれました。
「ここは秋田県。あなたや神野家などの故郷だよね」
「は、はぁ……まあそうですね……」
「県警本部ビルはないけど、まさにあなたが小さい頃住んでたこの場所。
さて、ここで一際大きい家を覗いて見ましょうか」
「はい……」
視点が移り、私も一度か二度ほど見たことのある澄谷家が。
その横に、これまた見覚えのある古い神野家がありました。
この神野家で、私が見覚えのある人物が。
「神野……幸村……」
忘れていました。神野幸村といえば神野春雪さんのお父さんじゃないですか!
戻ってきたようですね。
和服を着ていますが、やはり周囲と比べて非常に背が高いです。
百八〇センチ近くあるんです。現代人ですからね。
普通に神野家へ溶け込んでいます。
「あの、ここに未来人が溶け込んでいるということは?」
「神野家で一番有名な、ノーベル賞受賞者の博士、神野博士。
下の名前まで日本人であれば小学生のうちに必ず習うわよね?
佐々木瞳ちゃん、その人の名前を言ってみて」
「神野道雪さんのはずですが……」
三十代らしき神野幸村さんと家の中の書斎らしき場所で、二人きりで話している中年の男性はもちろん、神野博士です。
「素晴らしい……夢の抗菌薬、サルファ剤と言うのか……」
幸村さんの提出した書類を読んで、早速神野博士は感嘆していました。
教科書に顔の載っていた偉人の動いている姿を見るのは変な気分です。
「お爺様。何かご不満でも?」
「いや。お前はいいのか? 未来を変えてしまっても。自分の知る世界が変わってしまっているかもしれないぞ」
何年経ったか知りませんが、とりあえずこの世界ですでに幸村さんは覚悟を決めたらしいです。
自らの知識と経験をこの過去に放出し、人々を救い、金を集める道を。
「いえ。どうやら変わらないようです。俺はこの過去を知っていますから。
そうだったんですね。神野博士の功績は、未来人の知識によるものでしたか」
やっぱり。正直明治時代の日本で抗菌薬が出来た事自体がおかしいんですよ。
神野博士が偉大過ぎると思っていました。やっぱりそうだったんですね。
「イザナさん。神野博士が財産を受け継がせた相手とはすなわち、神野幸村さん。
本当は神野博士はそんなに大した人物でもなかった。
未来人である神野幸村さんの知識を活かして抗がん剤、抗菌薬、ビタミンCやD、結核の特効薬を開発し、自分の手柄に。
しかし、それで得た財産などは全て幸村さんに渡った。それが真実ですね?」
おかしいと思っていました。何故博士は実子にではなく養子に全部を受け継がせたのか。
自分の実力ではないからなんですね。もちろん神野幸村さんの子孫も神野博士と血は繋がっていますが。
「まさしくその通り。でもまだ推理には続きがあるわよ」
「はい?」
「ちょっとニブいのね? わかったわ。見せましょうか」
時間がすこしだけ飛び、また大坂に戻ってきました。
神野幸村さんは明治時代になっても着物です。
そしてその隣には私の見知った女性がいます。
和服ですが髪型は現代人とそう変わらない黒髪のロング。
美人です。若いですね。もちろん結さんです。
結さんはいつも通り閉め切られた屋敷の奥で隠れるように住んでおり、訪ねる家族はどういう因果かすべて女。
娘や孫達の旦那さんを奪うわけにもいかず、まして稀に生まれてくる孫息子をたぶらかすなんて、もはや妖怪の所業。
我慢に我慢を重ねていた結さんですから、神野家へ挨拶に行った幸村さんを奥の間に迎え入れると、早速一献のお酒と豪華な食事でもてなしました。
「ぐふふふ……幸村さん、首尾はどうでしたか?」
「神野家には認められました。ご当主の養子になることさえ許してもらえましたよ」
「おほー! そりゃめでたいわ!」
と真っ赤な顔で言う結さんはもうすでに出来上がっています。アルコール分解能力の調整ぐらい造作もないでしょうが、今日は酔いたい気分なんでしょう。
「大坂に戻ることも、四宮の女性と結婚だけはしない事を条件に許しを頂けました。
それ以外には所望も何もしていませんよ、結さん、いや本当に感謝する!」
「未来に戻る気はないのん?」
「まさか。俺は意思ある存在に飛ばされた。そんな力のある存在に逆らえるわけがない。
それに孫がいるなら息子はそれなりに幸せだったんだろう……未練はありますが、ここには残りたい」
「私も嬉しいわ! 幸村さんが来てくれて!
神野家、どうやった? 数的に大丈夫そう?」
「見てきたところ若者は息子が一人のみでしたね……」
「アカンよそれは! 貴重な神野家の血を絶やしたら我々は……!」
「まあそうですね……俺も……息子とやり直してみたい気もするが……」
「幸村さん思い出して! 神野家の歴史ってどうやったの?」
「どうって……確か神野博士の養子神野幸村……つまり俺は、羅紗という女性と結婚して二人の息子を生んでいた」
「羅紗と? まー、好きな男の一人もおらんと学問ばっかりしてる変わった子を貰ってくれるならありがたいわ!」
「まあ、向こうがその気なら俺もやぶさかでは……血は絶やせない。
血を絶やせば俺の目的も意味がなくなってしまう。結さん、俺はこの期に及んでまだあなたに頼らなければならない。
男の風上にも置けやしない。こんな俺を許してくれ」
「……どうしたのん? 何やのん? その計画って言うのんは?」
「俺は研究所を作りたい。莫大な費用をかけて作る神野家と四宮家の研究施設だ。
そのために金が欲しい。金は薬を作ることで生み出す計画だが……色々と頭痛の種があるのさ結さん」
「ん? 話してみぃ!」
「まず資金が足りねぇ。俺の知識さえあれば薬は作れるが、資金を貸してもらいたい。
当然倍にして返すつもりだ、いや間違いなく返す。
そのほか……計画にはもっと大きな力が必要だ。国をも統べる力がな」
「なんでそんな力が……」
「研究はまず、絶対に他からの資本提供を受けず秘密で行わなくては。
結さんも知っているだろう。人間を遥かに飛び抜けた生き物が社会に潜んでいると知れれば人間は大混乱に陥る。
それは俺達としても面白い事ではないし……必然的に莫大な金と権力がいる」
「権力は金さえあれば握れるとして、研究資金を出したらいいのんね?」
「その上で必要なのは、一族の子孫達が代々それを守っていく事だ。
これも中々難しい。子孫達が金を私欲のために使い、研究所を閉鎖したらどうしよう?
あるいは没落して金のかかる研究所を運営できなくなったら?
不安は山積みだ。でもわかるだろう結さん。どう頑張ったってこうするしかないってことは」
全くその通りです。不安要素はあれど、これ以外に建設的または科学的な方法論でこの呪いの血を解明する方法がないのです。
「そうね。そしてそのどれもに私が必要ね?」
「えっ、いや借金のお願いに来たんですが……」
「不老不死の私が未来に至るまで研究所を守るわ。
それに四宮家の経営は全て私が今までやってきた。
薬を売るにしても元から薬問屋の四宮家で流通させた方が楽で、何より早いわよ」
「それは確かに……経営手腕は間違いないが……」
「もちろん幸村さんの画期的な薬を売れば国家を握れるほどの富を生む。
それを増やして体制を盤石にするのも私がやるわ。
こう見えて商人の血ですからね。だから、ね、幸村さん?」
すすっと膝を寄せて隣の幸村さんの腕にしな垂れかかると、五十歳をゆうに超えている結さんが極度に甘えた猫なで声を出しました。
「私も寂しいのよ。もう十年近くも男と寝てへんのよ……干からびて死にそうやわ。
私が幸村さんの目的のために人生を捧げるから、幸村さんも……ね?」
「俺は元より居るはずのない人間。
俺の身に今後何が起こるかは誰にも予想出来ないわけだが……」
と言いつつ着物の隙間から胸に手を入れて腰に手を回し、もう片方の手で簡単に帯を抜き取り、キスもしています。
やはり幸村さんも結さんに劣らないほど、彼女に対し体が惹かれあう感覚があり、それに耐えてたんでしょう。
息子の神野春雪さんとは違って、人間の女性にもある程度興味を示して何度かこういうことをしていたんじゃないですかね、多分。
「たまに思い出したらこうして抱きに来て?
娘と結婚しても娘には内緒で」
「それは十年ほど先にはなりそうだ。その時には新しい男を見つけた方がいい。
俺達一族は枯れるのが早い……あんた一人を除いてはな」
「幸村さん今いくつ?」
「三十」
「私は五十四」
「うわっ、母ちゃんより上だ……」
幸村さんは露骨に嫌そうにして、顔をしかめました。
男性は決して興奮してはいけない状態では脳裏に母親の裸を浮かべるらしいです。
私も今、父が裸でポーズとっている所を想像しましたが、吐きそうです。
「今日はもう寝る?」
「いや……」
幸村さんは一瞬母親のことを思い出して興奮に水をぶっかけられたものの、それでも止まりませんでした。
それから二年ほどのち、結さんは五女を出産。
絹さんという名前がつけられました。父親は不明。
ほぼ確実に幸村さんじゃないかと思われますが、まあいいでしょう。
それを取り上げたのが十五歳の医者見習い、三女の羅紗さんやその上の姉、女医の真知さんなどでした。
「まさか母親のお腹から妹を取り上げることになるとは」
というふうなコメントを残してましたが、まあ、こんな五十四歳がいたらご近所はビックリです。
当然医者は自分の娘か婿ぐらいしか頼れません。
今までの出産全部身内の医者にお世話になっていました。
さて、まだ小さい四女や赤ん坊の五女が大きく成長する程の時が流れました。
その間、幸村さんは四宮家の資金を得て薬を開発。
怪しまれないように時間をかけて開発し、四宮家の販売ルートで売り捌きました。
これが世界初の科学の万能薬、硫酸系抗菌薬誕生の瞬間でした。
もちろん功績は全て神野博士に譲る形です。
その助手として、実は初対面のときから幸村さんのことを素敵だと思っていたのか、羅紗さんがサポートしました。
案の定二人はくっつきました。もはや結さんの血に引き寄せられる神野家の男性、呪いレベルですね。
結さんの血筋の女性達は彼女たちで、神野家の男に引き寄せられてしまうみたいです。
「二人の間にはやはり子供が二人、どっちも息子が出来たわ」
とイザナさんが解説してくれたので、私はこう質問します。
「なるほど。名前は?」
「神野春雪。偶然にも子供は春に生まれた。
言うまでもなく、神野幸村は息子の春雪の事を忘れないように同じ名前をつけた」
それでは、丸っきり親子で同じ事をしているではないですか!?
「幸村さんは、一体、何の目的で……!?」
「本人が言っているわ」
景色と時間が移ろうと、そこは伝統的な日本家屋とは打って変わって大学らしきところ。
『私立・雪斎塾大学』
この大学の名前の雪斎というのはおそらく神野博士の事ですね。
現代にも存在し、雪斎塾大学附属病院で、何を隠そう私が生まれているくらいですから。
この大学に入っていくのが幸村さん。
あの神野博士が認めた男として一目置かれている教授のようです。
しかしそれは表向きの顔。実際には、彼は本当の神野博士であり、未来人であるわけです。
大学の奥深くにある研究所。見れば『雪斎塾大学ガン研究センター』などと書いてあります。
「待っていろよ……」
幸村さんはついに、神野家の人間の本格研究に乗り出していました。
これ最初から考えてたなんて凄すぎだろ(自画自賛)




