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ボーイとガールがミートして  作者: ニャンコ教三毛猫派信者
LOG 1
45/75

六月二十五日・上

翌、六月二十五日です。どうも、モードです。


この日は学校で神野さんを見かけるなり、こう言って声をかけました。


「神野さん、あのー、あなたって子供は好きですか?」


「人並み以上に好きではないよ。それがどうかした?」


「いえ、別に……」


「僕が優しいとしたらそれは自分の子供だけだ」


「……あと瞳の目、元に戻してくれてありがとうございました」


「あれは息子がやったんだよ。それに僕は医者の息子だ……不思議パワーで奇跡が起こっても、何となく納得行かない……」


「取り付く島もないという感じですねぇ。そろそろログも書き納めでしょうか……」


「君と話すのが気まずい僕の気持ちぐらいわかってほしいものだけどね。

もう何も捜査すべき事はない。用が済んだらそれで終わりなのかって言われたら、その通りだけど……」


「そういえば……あの、えっと、昨日ニュースで見ましたよ。

東南アジアへ食指を伸ばしながら、遺伝子調査の件も始まりましたね」


「種を存続させるためだね。それに、世界征服についても、僕は何も言う気はない」


「今日のニュース見ました?」


「ああ。昨日の深夜、新しい法案が続々と成立したらしいね」


「あと北ベトナムの降伏宣言、シンガポール、タイ、ラオス、ミャンマー、マレーシア、カンボジアが大東亜共圏への加盟を発表してました」


「それを受けての深夜の国会。こういうとき独裁国家は行動が早いね」


「ええ。当分東南アジア諸国は日本円を使わず、様子見ということになったみたいです。

その他、東南アジア開発費として追加予算二十五兆円が組まれました。

東南アジア諸国との行き来にはパスポートなしということで中国やチベットなども合意してます。

これに関しては恐らく日本がベトナムに手を出す前から決まっていた事でしょう」


などと、私は無理矢理神野さんと会話しようと頑張ります。


「開発費二十五兆円て凄いけど、神野家からすれば、はした金なんだろうけどね」


「東南アジアへ例の会長は行かれるんですか?」


「もうすでに今日、もう一人の僕は視察に現地へ飛んだ。

一週間で全て見て回ってすべての指示を出す気らしい。

まるでワーカホリックだな。その間、子守をしろって連絡があったよ」


「鳰さん達もいるのになにが子守り……あっ」


私はどういうことなのか察しました。


「そ、それより夏樹ちゃんは?」


「夏樹ちゃんは記憶喪失も何とかなくなって、一応学校に戻ったよ。

僕が子守を任されたのは結さんだよ。あのババア、やべーよ……」


「やべーってどういうことです?」


「大阪の四宮家まで婚約の挨拶と、次女の行方について話してからクタクタになって東京に帰った。

それで四宮家に泊まってたら、布団に入ってきて……あと一週間こうかと思うと気分が滅入るよ」


「何でです? 結さんのこと愛してるんでしょ?」


神野さんは苦虫をかみつぶしたような顔で言いました。


「……あの人とは体が惹かれ合うんだ。イザナがいる部屋でそんなのに一晩中くっつかれて()ぃ!」


「大阪に行ってたせいか、関西弁うつってますよ」


「子守りとはよく言ったものだよ。そういうわけだから、あと一週間は向こうの家で住むよ」


「神野さん、ところで気づいてます?」


「なに?」


「実は岡本さんが……」


私と神野さんが一対一で長いこと会話しているというだけで、周囲からの視線が痛いほど刺さりました。


「私ほら、あなたと子供を作れるかどうか確かめるって言ったじゃないですか?」


「いつの間にやら広まってしまったらしいね。君には申し訳ないね」


「申し訳ないのはこっちですよ。パートナー契約は一年間、更新するまで変わりませんから……」


「あの時は、全く考えが甘かった。瞳と結婚したいと、出来ると本気で思ってたんだからね。

もう話はいい? 君と話してるとイザナが嫉妬するから」


「ああ……そうでしたね……」


イザナさんの方を見ると、まるでおもちゃを買ってもらえなくてスネてる子供のように私を睨んでました。

全然怖くないんですけどムカついたので、私は四宮さんに、周りにも聞こえるようにしてこう言ってみました。


「四宮さん。あなた神野さんと婚約したんですってね?

うかうかしてると奪われちゃうかもですよ。何とか言ったらどうです?」


「……!」


なんか言ってるのはわかるんですが、唇さえ動かないので、四宮さんが何を言ってるのかサッパリ。

でも罵倒されたのは何となくわかりました。

そして、周りの皆さんは唖然とした表情。私も少し意地が悪かったと反省します。


「反撃してこない相手を罵倒とは……酷い事をするね、人の婚約者に」


「うるさいんですよ! あなたね、好きでもない人と結婚して、四宮さんを幸せに出来るとでも思ってるんですかこの自信過剰男!」


さすがにここまで言われると、神野さんも堪忍袋の緒が切れたといった様子でした。

ザワつく朝の教室、青ざめていく神野さんの顔色。彼はため息混じりにこう言いました。


「痛い所を突かれたな。でも心配ないよ。イザナも同じ気持ちで居てくれてる。

人間、一緒にやっていく上で一番大事なのは見つめ合っている事じゃなくて、同じ方向を向いている事だというのは誰の名言だったか……覚えてないけど、まあそういうことだ。

行こうイザナ、今朝は遺伝子調査のために移動するから」


神野さんはイザナさんの肩を抱いて、例の多目的ルームへ行ってしまいました。

私は教室内で悪の権化のように扱われ、途方に暮れながら同じ場所へ歩き出したのでした。


私は味方を求め、友達だという桜井さんをたずねると、早速こう言いました。


「さーくらいさん、さくらいさん!」


「ん?」


非常に背の高い桜井さんが振り向いただけで、空気も揺れるかと思うほどです。

神野さんは桜井家の血が入っているので背が高くなるようです。


彼の大人になった姿は、身長が一九(ひゃくきゅうじゅう)〇センチ近くありました。

その娘である真夏さんも大人になると女性でありながら一八(ひゃくはちじゅう)〇センチ近くになっていました。


「あのですね。今までの例を見るに神野さんが精神薄弱な状態、つまり狼狽するか、子供の時にのみ息子の夏樹くんは自由に動けるようです。

検証はしてませんがほぼ間違いないでしょう。なら意識を飛ばせばいいんです!」


「はぁ? 大の男相手に女二人で……奇襲でもするっていうの?」


「もちろんしません。実はちょっと科学実験室で薬を調合しましてね」


私が取り出したのはクロロホルムのビン。

マニキュアの空いたビンに入れました。

ホルマリンはホルムアルデヒドの水溶液であり、まあ要するにこれに塩素を加えたものがクロロホルム。


作り方は簡単。塩水を電気分解して水酸化ナトリウムを得ます。

水酸化ナトリウムに電気分解したとき発生した塩素を加えるだけでよしです。

出来た次亜塩素酸ナトリウムをアルコールで洗うだけでクロロホルムの完成。

ついでにいえば、最初から実験室には素材があったので一瞬で作れました。


なんと、実験室で女子高生の私ですらこのように作れる簡単な薬。

よく映画や刑事ドラマで見られるような即効性はないものの、確実に大の男を失神させる薬が、簡単に手に入るのです。


ちなみにこのクロロホルムから揮発するホスゲンというガスはさっき言った通りこの薬自体ホルマリンによく似た構造のため、生物にとって有害なホルムアルデヒドを含んでいますので、現在では医療現場で使われておりません。

ちなみに、第一次世界大戦では毒ガス兵器として使用されたらしいです。


つまり毒物ですので、試した事はないですが、家にゴキブリが出てもこれをかければ即死するはずです。

ゴキブリ退治スプレーの方がいいと思いますが、もし家にスプレーがないという人は試してみてください。


「それほんとにクロロホルムなの?」


「モチのロンです!」


「使うわけないでしょ。先生には言わないでおいてあげるから、渡しなさい」


「こ……これは私のクロロホルムです、渡せません!」


「渡しなさい! お姉さん怒ってないから渡しなさい!」


などと押し問答の末、私は白状しました。


「使いませんよ。ただ、奇襲して頭を殴って気絶させようと思ったんですよ」


「え……そっちもどうかと思うんだけど……」


「もちろんですが、やむを得ないでしょう。

夏樹くんに直談判しないといけないんですから!


「直談判!?」


「私は双子の姉の瞳が心配です。瞳は神野さんに完全に絶縁されました!

以後、瞳は部屋から出てきません。地元に帰りましたが、もう二度と誰にも心は開かないかもしれません」


「ちょっとまって瞳って、え?」


「知らないとは言わせませんよ。私と成り代わって何度もこの学校に来てたでしょう!?」


「全然気付かなかった……」


見た目はクールでデキる女って感じの桜井さん、結構ヌケているところがあるみたいでした。


「ま、まあいいです、そんなことは。重要なのは、瞳は目が見えなかったのに、この間、急に目が見えるようになったんですよ!」


「それは……おめでとうでいいのかな……?」


「桜井さんはほんとにイイ人ですよね。気を使ってくれてありがとうです。

瞳はせっかく目が見えるようになったんです。瞳は過去を見る目に特化していました。

ついこの間までは過去にばかり目を向けていた。物理的にも精神的にもです。

でも今は目が見える。過去からも目は逸れ始めたばかりだったんです。

もちろん、神野さんとの未来を見ていたんです


「可哀相に……私は忠告したのに。男に入れ込み易い性格だったのね」


「はい。そんな瞳が、今後また過去にばかり目を向けるようになって、神野さんとの思い出を何千回と思い出しながら一人で生きていくのか。

それとも前を向いて歩いて行けるのか、ここが瀬戸際なんですよ!」


「あー、なるほど……つまり瞳ちゃんって子は、私と同じ立場ってこと?」


桜井さんは自虐することに躊躇がありません。私は興奮しながらこう答えます。


「そうですよ! 桜井さんは神野さんと子供を作れる『同種』ですが瞳はあなたと違って異種族なんです!」


「そこは諦めようよ人として……ハルくんは最初から人間とは結ばれ得なかったんだって……」


「そう簡単に初恋が諦め切れますか!? あの子にとったら最初で最後かも……!」


「佐々木さん。初恋はそう簡単にあきらめ切れないよね。

その言葉、無視できないものがある。わかった、協力はしてみる」


そう言った桜井さんが神野さんによく似た顔でカッコイイ事を言ったので、私はちょっとドキッとしてしまいました。

もし瞳だったら濡れてましたね。桜井さんは一言で言うならおっぱいのついたイケメンです。

男性からより圧倒的に女性からモテる人ですし、なんなら私もファンになりました。


「ほんとですか!?」


ところで今日あった出来事を文字に起こしていてふと気づきました。

初恋はあきらめ切れないよねって、それは神野さんと鳰さんに関しても言えるのでは?

二人が同居していることが、ちょっと危険だと思い始めた私でした。

そして結さんの血筋を色濃く受け継ぐ夏樹ちゃんも若い方の神野さんと同居するのはマズい気もします。

夏生まれで現在十歳頃だとしたらもうすぐ十一歳。ゆりかごから墓場まで恋をしているのが女性という生きものの大半なわけですから、夏樹ちゃんが若かりし実の父親に恋をしないとは、誰にも言えないでしょう。

一刻も早くイザナさんと神野さんは二人暮らしした方が良さそうです。


「息子に会うんだよね?」


「はい、神野さんの頭を殴る役は私がするのでご安心を!」


「……そんなことをする必要はないよ。見てて」


私は何やら自信ありげな桜井さんを信頼して後に続く事にしました。

ほどなくして神野さんが一人でいるのを発見した私たちは尾行を開始。

人気のない三階の廊下に来たところで、桜井さんが私に耳打ちしました。


「私は人を気絶させることが出来る。ほら」


桜井さんが指を鳴らすと、みるみるうちに神野さんが膝をつき、苦しそうにし始めました。


「何をしたんですか?」


「別に。ただ……あなたは私の能力を知らないでしょってこと」


「これが桜井さんの能力? 雨を降らせるだけじゃ……」


「ある種物質の創造。私の知っている限りのあらゆるブツを無尽蔵に作り出せる。

ただし、身の回りのものや空気中の物質にないものを無から生み出すわけではないけど」


「はい?」


それこそ神の領域じゃないですか。いくらなんでもそれはないでしょう?


「これは夏樹くんに与えられたもの。彼はほぼ全知全能。

この世界を一種のゲームと考えれば、メインサーバやシステムに侵入したハッカーと言ったところか……」


「確かにそれは言えてますが……」


「ハルくんにはニトログリセリン揮発物と窒素と二酸化炭素の混合気体を吸い込んでもらって昏倒させ、今は少し眠ってもらってる。

さて、あなたの話によるとこの前、敵の呼気を吸ったところ物理的に体が動かせないレベルの毒を食らっても彼は動いたっていうけど……なら可能性は二つある」


「ひとつは、神懸かった力で毒を無効化した、ですか?」


「うん。もう一つは……彼が肉体を操られる時、肉体の状態に関係なく体は動くということ……どうやら後者だったみたい」


「ええ……」


神野さんはニトログリセリンや高濃度の窒素と二酸化炭素を吸って一瞬にして昏倒しました。

常人であればしばらく意識が戻らないか、咳き込んで苦しむところです。


ところが、彼は平然として起き上がりました。

目は虚で、私を見ているのか見ていないのかも不明です。


「いけ……にえ」


いけにえ。ああ何という事でしょうか。私がつい先日殺されかけたあの化けものが出て来てしまいました。

私はこれがトラウマです。怖いです。恐ろしいんです。

桜井さんも顔は強張り、声が震えていました。


「藪をつついて蛇を出す……このことみたい」


「うまいこと言ってる場合ですか! 逃げないと!」


「ニトログリセリン作ったって言ってるでしょ。爆破して様子を見る」


「神野さんが死んじゃいますよ!?」


「死なないでしょ。殺すつもりで行かないと!」


また桜井さんが指を鳴らしました。その瞬間、近くの教室のガラスが勢いよく割れ、破片が飛び散る中、神野さんが爆煙で見えなくなります。


「ちょっと! 本当に大丈夫なんでしょうね!?」


「人の心配してる場合じゃないかもよ……」


爆煙が晴れると神野さんが立っていた位置に、黒焦げの肉塊が存在していました。


「ああ、ああ、なんてことを! 神野さんが!」


「これでわかった。夏樹くんなら全てを守っていたはず。

それがない以上、彼も父親を守るどころではないってことね……」


「分析してる場合ですか! あなた神野さんを殺したんですよ!?」


「死んでない。見てみなさい」


傷口はみるみるうちに治癒し、肌は露出していた筋肉を覆いました。

上半身はほとんど裸です。私は本能的に直感しました。今逃げないと、死ぬと。


「酷いな……周りを巻き込ませずに、彼を死なせず自分達も生き残るって難易度地味に高いんだけど」


「わ……私は逃げています!」


「いや……」


桜井さんは、まるで私を守ってくれる時の神野さんみたいに冷静です。


「ここを離れる方がかえって危険。さて……どうしたものか。

うん。とりあえずオゾンで攻めてみるか」


「はい?」


神野さんはこちらに攻撃する雰囲気はなく、棒立ちしています。

明らかに、夏樹くんが何かしているようです。

外からは見えませんが中で熾烈な攻防が繰り広げられている事でしょう。

夏樹くんと、白痴の奴隷なる存在との陣取り合戦。

意識を失っている神野さんは蚊帳の外です。


一方桜井さん。一応、オゾンで攻めるという意味はわかります。

オゾンは酸素原子が三つ結び付いた原子であり、濃度によっては人体に十分有害です。

オゾンは酸素三つを食うわけなのでもし大量発生させることが可能ならすぐに空気中の酸素が欠乏し、有害なオゾンを吸い込んだ体は停止するはず。

それでも体が動くなら、それは生物の原理を超えて来るということ。

ほぼ勝ち目はないと言っていいでしょう。


今まで味方だったから頼もしかった神野さんですが、敵になってみると、絶望感すら覚えます。

今まで、あの刺客達はこんな化け物を相手にしていたという事ですか。

今ならわかります。私も、そして桜井さんですら、荒れ狂う嵐に立ち向かう小魚のようなものだということを。

案の定、桜井さんは悪態をつきました。


「ダメか! 一切呼吸を止めてるんだと思う……」


「早くけりをつけないと神野さんが今度こそ死んじゃいますよ!

絶対死なせたらダメです。あの人だけは!」


「今は後! 逃げた方がいい! とりあえず足止めする!」


桜井さんは私の持っていたクロロホルムを引ったくって神野さんに投げつけました。

驚くほどの速度で胸にやけどが発生し、さすがに動きも止まりました。

私達は彼から見えないよう学校の階段を全速力で駆け降ります。


「どうして!? 彼を殺したらダメって。好きだから?」


と聞かれた私は、ためらうことも戸惑う事もなく即答しました。


「あの人が死ねば神野の血を継ぐ子供は恐らく四宮夏樹ちゃんだけになってしまいます!

繰り返したくないんですよ。神野さんの娘が実験台にされることも、夏樹くんに妹の傷つく姿を見せるのも!

あの人でもきっとそう言います。だから死なせたらダメです!」


「そうか! じゃあ、今一番会いたいけど一番会いたくない人を探す!」


「それって私のことでしょ、千春ちゃん?」


「あっ!」


私達とは逆に階段を昇って来ていたのは、もちろんあの四宮イザナさんでした。


「ふん、会いたくないでしょうね。まあ別にいいけど。

夏樹が知らせてくれた。ふふ、彼も私は攻撃できないはず……」


みんなの前では一言も喋れないイザナさんですが、一応私に対しては心を開いてくれてるようです。

その証拠に、彼女饒舌に喋ってますから。


「どうして攻撃出来ないんです!?」


「あ、それは……佐々木さんはおしえてもらってないのか。

じゃあ教えてあげる。私は異次元に消し飛ばされるとどうなる?」


「えっと……」


私は、ここまでヒントをもらってようやく正解までたどり着きました。

神野さんは何でも簡単に素早く正解にたどり着くのですから、それに比べると私は全然ダメですね。


「もしかしてそうなんですか? 神野家と四宮家、異次元の扉を開く鍵を持った人間は……!」


「そう。鍵を持った二十歳以下の人間は、異次元に消し飛ばされると生き残れる。

神のような力を手にする。

ただし、それをやって現実世界に戻ってきた者はいない。

私の自慢の息子を含めてね。ハルくんが三十二歳の時消し飛ばされたけど、その時は二十歳過ぎて全く無能力だったから、一般人扱いだったというわけ」


「なるほど……あなたを異次元に呼んだらまた面倒な事になるから、暴れてる謎の人格も手だししない、ということですね?」


「そのはず。ただし私のほうも手出しは出来ないけどね。

さて、そろそろ行くね。これは私達家族の問題だから」


四宮さんは性格がちょっとキツめなのか、私にこれ以上神野さんには近づくなと釘を刺してきました。

言い返せませんし、言い返す気力もありません。

桜井さんも私とアイコンタクトを交わし、同じ気持ちだとわかりました。

私と彼女の心が見事通じた瞬間でした。


「とりあえず……見に行ってみましょうか?」


「気持ちのいい物が見られるとは思えないけど」

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