人類軍の幹部になったけど筋肉ゴリ押ししかできません
「今日、兵站部に新人が来る」
私が新人が来ることを部下に伝えるのはこの基地に来てから何度目になるだろうか。辺鄙な場所にある分、戦闘が少ないのは良いんだけれど新人も少ない。
そして新人が来ても、すぐにやめる。職場が悪い? まぁ、それもあるかもしれない。
確か前回は2ヶ月前のことだった気がするが……。
「お、またか?」
「まただ」
「次は何日持つんだ? 10日? それとも1週間?」
部下のひとりである男が興味なさそうに愚痴る。遊びほうけてるような外見だが、根は真面目なのか仕事を滞らせたことはない。
「面白くもない冗談を言うな。それに前回来てくれた新人は20日もいてくれたじゃないか」
「冗談よりも面白くない現実ですね……」
もうひとりの部下、こちらは低身長で「なぜ事務屋とは言え軍人になれたのかわからない」と言われる女性が溜め息を吐いている。
「まぁ、ともかく我が兵站部待望の新人である。今度こそはこの新人が兵站部に定着してくれるよう全力で応援してくれたまえ」
「は、はい……さすがに3人で兵站回すのはそろそろキツイですからね……」
言わないでくれ、そんな事実は。
「んで、そいつ結局どんな奴なんだ?」
「……質問するときくらい爪の手入れやめよう?」
答えるけど、答えるけど!!
下手に怒ってやめられたら困るから怒らないであげるけど!!!!
「コホン。まぁ、今日来る新人は皇国系の……えっと、名前は確かハルヤマ・ハルだったかな?」
「ハルヤマ?」
「Spring Mountain Springっていう意味って聞いたけど」
「どんだけ春満喫してんだよ」
知らん。皇国系の人間の名付けは不思議過ぎるんだ。
「でも優しそうな名前ですね。これなら安心かも……」
「いや、案外名前だけ優しそうで実態は怖い方かもしれん」
「そ、そうなんですか!?」
彼女は涙目になる。
いったいどうして名前だけでそんなに喜んだり不安になったりできるのか、コレガワカラナイ。
しかし残念なお知らせがある。
実はこのハルヤマなる奴の姿を俺は知らない。というか、男なのか女であるかどうかも知らない。書類上は一応女ではあるけれど。
「だから会うのは今日が初めてだ」
「なるほど、楽しみだな」
「もうちょっと楽しそうな顔で言ってくれよ」
とその時、ちょうど兵站部の扉がノックされる。
この兵站部に用事がある人間は98%の確率でノックせずに怒鳴り込んでくるので、まず間違いなく新人くんだろう。
「噂をすれば、か」
「皇国系って言ったよな? やっぱりメガネかけて出っ歯かけた低身長な奴らなのか? お前とどっちが背が高いんだろうな?」
「もう、それは偏見だよ! 本人の前で言わないでねー!」
「ハハ、それはどうだろうなー」
なんか勝手に騒いでいるが本当に本人の前でそんなことを言うなよ? それが原因でやめられたら責任問題だ。
「入っていいぞー」
「ん、うむ。失礼する……」
「お、いよいよか。いったいどんなや……つ…………」
部下の言葉がしり込みする。
もう一人の部下は物理的にしり込みしている。
ハルヤマが部屋に入り、俺の目の前にやってきた。
「お、お初にお目にかかる。我……いや、私はハルヤマ・ハルと申す。兵站部はここでよろしいだろうか?」
「あ、あぁ……ひぇ、ひぇたんぶはここだ」
「? そうか、道に迷って少し遅れてしまったことを謝罪……痛っ」
ハルヤマなる女性(?)は頭を下げようとして、盛大に頭を天井からぶら下がる電灯に思いきりぶつけたのである。
まず、この時点で言えることはひとつある。
あのチャラ男がこいつの目の前で悪口や偏見を言うことは絶対にありえない。
なぜなら、身長は2メートルはあり、筋肉隆々で、はちきれんばかりの大胸筋と上腕筋が今にも襲い掛かってきそうだからである。
その外見は、かつて母国で読んだ格闘漫画「キバ」の主人公の父親のようである。
「…………あ、あの、私はなにか失礼をしただろうか?」
「い、いや、なんもない。なんも心配はいらない」
これほどまでに神に祈ったことはない。
おぉ、神よ。彼女が女性であることを疑ったことを謝罪します。
だからどうか、私の罪を赦し、私の命をお救いください……。
「お、俺はジョゼフ・ヴァウェンサ。ポルスカ共和国出身だ、よろしく頼む。で、そっちが……お、おいお前ら、じ、じじ自己紹介くらいしろ」
「お、おう……オレはユーリ・ドルべだ。まぁ、その、なんだ、あまり教えるのは得意じゃないから何かわからないことあったら部長に言ってくれ。……おい、チビ。次」
「ふぇ!? あの……その、私はリリア・ラーケンです。3人の中では一番遅く入ったので、まだ不慣れな事が多くて……だから、何かわからないことあったらヴァウェンサ部長にいってください」
おい。おい!
「ふむ。自己紹介感謝する。改めて、ハルヤマ・ハルだ。よろしく頼む」
「……お、おう」
差し出された手が握手を求めている手だと気づくのに数秒かかった。
そのまま握りつぶされてしまうかと思ったが、筋骨隆々でゴツゴツしていること以外は女性特有の包容力ある握手だったのではなかろうか。
「それで、なぜ兵站部に? 失礼と思うけれど、あなたは戦闘部隊やらの方が……」
「うむ。それは採用担当の者にも言われたし、つい先日まで第7戦闘師団麾下の第334戦闘斥候小隊に所属していたが……」
「いたが……? あぁ、もしかして戦傷とかですか?」
「いや、私は人と争うのが嫌いで……」
「………………ハッハッハ。ご冗談を」
「……」
「…………マジ?」
ドルべが聞くと、ハルヤマは頷いた。
……まぁ、ボディービルダーは必ずしも喧嘩好きというわけじゃないが。
「それに、手先が不器用で……銃などの繊細な武器を扱うと――」
「あ、それはわかりますぅ! 私も入隊したころは銃の分解とかわかんなくて……」
と、ここで戦闘部隊に馴染めず兵站部に移籍した経歴を持つラーケンが乗った。
同じことをした同志がいるとわかったのか、ハルヤマも元気よくその話に乗る。
「あぁ、そうでありますな。銃の分解、組み立てはわかりにくい! 何度やってもうまくいかず――」
「そうそう。ばねをなくしたり、なぜかネジが一本あまったり――」
「銃身をへし折ったりしてな!」
そして一瞬で静かになった。
「……へし折るよな?」
「へし折れるんですか、銃って……」
「いや結構簡単に壊れるんですよ、あれ。銃と言うのはもう少し頑丈なのかと思ったのですが、あんなに繊細な武器なのかとビックリしたものです」
あぁ、繊細ってそういう……。
「ですので、上官殿より兵站部へ行けと命ぜられました!」
「……うん、まぁ、歓迎するよ。人手ないし」
厄介払いされた者の行きつく先は兵站部か地雷処理班ってのはこの軍での常識である。
「では部長殿! 早速お仕事を――」
そういうわけで、なんとも奇妙な新人を手に入れた。
事務処理能力は中の下か下の上と言ったところで、まぁいないよりはマシ程度の人間。やる気が十分だが空回りすることが多いのが難点で、ミスも多い。
しかしその筋肉を精一杯活用した倉庫整理、書類整理、重量物の持ち運びはお手の物。13mm重機関銃+弾薬を片手で軽々と持ち上げたり、荷物が重くて困っているラーケンの首根っこ捕まえてラーケンごと荷物運びする様は異様としか言いようがない。
「部長殿、ここに来てから書類仕事はミスばかりで役に立っているのでしょうか……」
「あぁ、勿論。役立ってるとも」
超役立ってる。荷物持ちとしての才能はピカイチである。何も心配はない。
当然そんなことは言えないけれど。
「そうでありますか! なら、もっと頑張って事務仕事やります!」
「えー、あー、それよりも第2運用科倉庫からX-13番持ってくれない? 箱ごと」
「あ、はい」
どうにかしてハルヤマを事務仕事につかせないよう仕事を割り振るのが、ここ最近の俺の仕事になった。
おかげで残業時間や休日出勤が増える。
有給休暇なんて言葉、とうに忘れてしまったよ……。
そんな日々を送っていたある日のこと。
「兵站部ゴルァ!」
不定期イベント、「補給に不満を持った前線将校が兵站部に殴り込んでくる」が発生した。
今回の御相手は陸軍の将校で、ハゲで顔面に傷があり「如何にも」という感じだったが……、
「部長殿、荷物を運び終え――おっと、失礼しました、将校殿!」
背後から身長200cmオーバー、体重も恐らく100kgオーバーの巨体に押し出されてしまう。
将校殿は一瞬「あぁ!? どこに目を付けてんだ!!」と言いかけるが――、
「や、あの、失礼。用事を思い出した……」
戦術的退却を選択することになった。
どうしてこうなったのかハルヤマは気づいていない。
「部長殿、あの将校殿は何をしに……?」
どうも彼女、自分の肉体が持つ威圧感がどうなっているのかに気付いてない。
筋肉以外は年頃な乙女なのである。実際、体重も教えてくれない。気になったが「女性に体重を聞くのはNG」と正論を言われてしまった。
しかし……。
「…………これ、使えるかな?」
「は?」
使える物は何でも使え。それが人であっても。
軍隊とはそういうものだ。
だから俺は、目の前にいる抑止力の塊を使うことにした。
「ハルヤマ、君の力がどうしても必要だ。ついてきてくれるか?」
「……はい! 喜んで!」
うむ。
では、カチコミに行くぞ!
どこにカチコミに行くんだって? そりゃ決まってる、人事部だ。
兵站部のメンバーが4人ってどう考えてもおかしいでしょ。しかも落伍者ばかり寄越しやがって。
そりゃね、辺鄙な基地の兵站部っていうのもあるよ? でもだからと言って3人はないよ。
来週、方面軍司令部での兵站会議があるのでそれに出席する。
だいたいいつもにぎやかし要員だし、それに人員が足りないので1人で行くのだが、今回はハルヤマと2人。初めての共同作業だ。
相方は本気出せばだいたいのことは単独作業できる気がするが。
んでもって当日。
会議は何事もなく終わったので、その後に人事部へと寄る。
「ここが方面軍司令部なのですな。私はあの基地でも大きいと思っていたのですがここも大きい……しかも滑走路が舗装されています!」
「そりゃあの基地に離着陸する飛行機なんて三流のボロ連絡機くらいだからな……」
方面軍司令部は当然ながら、方面軍全ての人事権を握っている。
しかし規模が大きい故に子細を掴めないことも多い。
なので今回は、その人事の方々に辺鄙な基地の実情を強制的にわからせるために交渉しに来た次第です。
なお、こけおどしの準備は万端。
人事部の部屋に入った時点で、襲撃と勘違いした奴が何人かいた模様。
「あの、人事部長殿は?」
「……何の用だ!」
「いや強盗しに来たわけじゃないんだから落ち着いて?」
落ち着くまでに数分かかるの、ハルヤマさんの効果強すぎるのでは。
「わ、私が人事部長のクラッツァーだが……何の用だ?」
「あぁ、クラッツァー部長、お久しぶりです。覚えていらっしゃるとうれしいのですが、私は第7師団駐屯基地兵站部のヴァウェンサです」
「……噂は聞いているが、何の用だ? わ、私は忙しいのだが」
「部長殿、このお方に用があるのか? なにか、妙に汗ばかりかいておられるのだが、もしや風邪を――」
「大丈夫だ、私は大丈夫だ!」
うーん、効きすぎて話が進まない。
禿げ散らかし始めているクラッツァー部長の頭部が砂漠よりも酷い有様になるのに、これ数分もかからないのではないだろうか。
「人事部長殿! 風邪を引いた時はリンゴを食べるのが一番です! 私、今持ってるんですがおひとつ差し上げましょうか?」
「いやハルヤマ、なんで持ってるんだ?」
「道中食べようと思ったのですが、ダメでしたか?」
「……いいんじゃないか。ついでに、おすすめの食べ方とか教えてやれ」
「はい!」
筋肉がリンゴを持ったら何をするべきか、みんなわかるかな?
「私としてはリンゴをすり潰してジュースとするのが一番おススメなのですが、道具がないのでこうしてます。――えいやっ!」
そうだね、リンゴ潰しだね!
片手で潰すのには握力80㎏が必要なんだっけ? ハルヤマにコツとか聞こうと思ったら「意外と簡単ですよね!」と、全員ができる前程で話をしていたので全く参考にならなかった。
いやぁ、台詞だけ聞いてれば勘違い系の可愛い女の子だなぁ。身長200cmで体重100㎏オーバーなんだけど、文字だけだとこの威圧感伝わらなそうだ。
「ひぃ! 要求はいったいなんなんだね!」
「あのぉ、私達誘拐犯ではないんですよ? そんな要求だなんて……ちょっと人事に配慮して、うちの兵站部の負担を減らしたいだけなんです」
信じて貰えなさそうだけど。
「わかった、わかった。なんでも手をうとう! だから……」
効果がありすぎるのは問題だ。今回の作戦、もしかしたら失敗なのかもしれない。
そんな不安が過る。
「わかりました。ありがとうございます。そのお言葉、よく覚えておきます。これで部下も喜びます」
まぁ、人事で最善を尽くすと言われたからにはまぁ大丈夫と信じたい。
この行為が叛乱と看做されなければ、だけど……。
しかしそんな不安をしていることを知る由のないお人よしがここにいる。
「おう、もう帰ってしまうのですか? もう少し楽しみたかったのですが」
すごい誤解を招くような言い方をするんじゃあない。
「これ以上ご迷惑をかけるわけにもいかない。今回はただの挨拶みたいなもんだから」
「そうですか……。それでは人事部長殿、これにて失礼を。もしまた体調が優れぬときはいつでも私をお呼びください! 今度はこんな手垢まみれのジュースなどではなく、ちゃんと真心こめて『料理』致しますので」
「…………」
いやクラッツァー人事部長が泡吹いて死にそうだからそれ以上やめてほしい。
「……帰るぞ」
失敗だ、これ完全に失敗したよ。
けれどもそんな失敗、ハルヤマさんが気付くわけもない。
しかし事の真実を彼女に告げていいのだろうか。生物学上一応は年頃の女子であるハルヤマさんに「あなたの筋骨隆々な肉体は相手に恐怖をもたらす、ハッキリ言って化け物」と言えるわけがない。
「お前、交渉の才能あるな」
脅迫者としての。天然だろうけど。
「本当ですか! いやぁ、私に交渉のスキルがあるなんて思いもしませんでしたぞ! 今度、ドルべ殿についていっても良いでしょうか?」
「……やめとけ。あいつにはあいつのやり方があるから」
「では、ラーケン殿と一緒に司令部内の交渉を――」
「あいつは一人でやってる時の方が仕事が捗るんだと」
「…………では、部長殿と一緒がいいです」
ションボリとする身長200センチの筋肉を可愛らしいと思う日が来ると思わなかった。
「考えておこう。とりあえず、あの辺鄙な基地に新人が来るまでは」
「ありがとうございます! 願わくば、二度と来ないようにと祈ってます」
「勘弁してくれ……」
そんな予感がするけれど、これは殆ど俺のせいなので反論することも抗議することも出来ない。
どうしたものかと考え、俺らは帰路に就くことになった。
しかしどうしてだろう。
世の中不思議なモノで、人事部は仕事熱心だということが証明された。
あっけなく、しかもハルヤマとその後一度も渉外に出ることなく、新人がすぐに、しかも4人一気に来てしまったのだから。
新人は良く仕事し、ハルヤマを見てはビビり、外部との調整も上手くやっている。
そしてまたハルヤマの存在に怯える。
「部長殿、私部長殿と外に行きたいのですがよろしいでしょうか?」
「……あー、その前にこの荷物を憲兵隊詰所まで運んでくれないか? 少し重いが」
「お任せを! ……しかし部長殿、少し聞きたいことがあります」
「なに?」
彼女を見やれば、体格に見合わない殊勝な態度でこう聞いてきた。
「私、役に立っているのでしょうか?」
「……」
彼女が来てからこの台詞を聞くのは何度目だっただろうか。
でもまぁ、たぶん俺がこの後に言うセリフも何度あっても同じだろうと思う。
「あぁ、勿論。役立っているとも」
途端、ハルヤマは飛び切りの笑顔を(怖いくらいに)見せた。
「そうですか! なら私、満足です! ……あ、すみません、この箱でしたよね。意外と軽いですので行けってきます」
「おう、気を付けろよ」
彼女はウキウキとしながら軽々としたステップを踏みながら部屋を出た。
それを見た何人かが青ざめている。俺はもう慣れた。たぶん、ラーケンもドルべも慣れ始めた頃。
「なぁ、部長さんよ」
「なんだいドルべさんよ」
「……あれ、中身なんだっけ?」
「あぁ、アレね」
なんだっけな、確かそれほど重要なものじゃなかった気がする。
えーっと、伝票がここに……と、あったあった。
「127mm対魔像砲弾だね」
「…………それを手渡された荷受け役の憲兵はどうなるんだろうな」
「知らん、そんなことは俺の管轄外だ」
ハルヤマをその肉体だけで危険視している奴だからな。そんなことどうでもいい。
「そんなことより、仕事に戻るぞ。筋肉は筋肉に任せて、俺らは頭を働かせることにしよう」
「へいへい……」
いやいや、しぶしぶと席に戻るドルべと入れ替わりに、ラーケンがやってきた。
周囲を見回した後、彼女は小声で言った。
「あの、部長」
「ん?」
「幸せにしてあげてくださいね!」
「……はい?」
俺の疑問に、彼女は答えることもなく自分の席へと戻った。
いったいどういう意味だろうか。
暫く考えたが、何も思い浮かばなかったので仕事に戻る。考えてもわからないことで悩むより仕事だ。
「ただいま戻りました!」
「おう、ハルヤマ。早かったな」
「はい! 憲兵さんたちはお忙しそうだったので、荷物を受け渡した後にすぐに帰ってまいりました!」
「そうか。特に変わったことは?」
「私が部屋に入ったときには何も。ただ、部屋から出てすぐなにか悲鳴があがりましたが……幽霊でも出たんですかね?」
「幽霊よりヤバいものを見たんじゃないか?」
「えーーー! 困ります、私幽霊苦手なんですよ! 部長殿、なんどかしてくれますか!?」
「…………お前はたぶん、大丈夫じゃねぇかなぁ……」
思わずそう言ったら、ハルヤマは笑いつつも反論する。
ホント、体格以外は乙女なやつだよ。
「ほら、そんなことより仕事だ。目を離すと、(幽霊の方が)ビビりそうだからな。今日も俺の補佐役だ」
「諒解しました。謹んで、任務に励みます!」
そう言う感じで、この辺鄙な基地での兵站部は今日も何事もなく日常が過ぎていっている。
気になることと言えば、なんかハルヤマが楽しそうに仕事をすることが多いと言うことだ。ここ最近の新人としては珍しいが、いったい何があったのか気になるね。
「では部長殿、指示をください!」
……本当に、なんでだろうね。