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イソジンと恋愛

ただ、雨

作者: イソジン

雨のお話です

ただただ雨だ。



あなたに出会ったのも雨の日だ。

あの日は私の心にも雨が降っていた。


急に振りだした雨から逃げるように近くのお店の軒下に逃げ込んだ。

傘を買えばいいものの、あいにく貧乏学生の私には傘を買うお金がない。

いつ降りやむかもわからない雨を何時間眺めていたのだろうか。


ふと横に人がいることに気づく。同じぐらいの年だろうか。すこし自分より背の高い彼は雨でずぶ濡れだった。

長い間見てしまったからか彼は私の視線に気づくとニコッと笑う。

「降られちゃいましたね(笑)」

雨のなか、彼だけは晴れていた。。


数十分といったところだろうか。いつのまにか雨は上がり、水溜まりには青い空が写っていた。


「晴れましたね。じゃ、バイトがあるので。」

彼はバス停へと走っていく。途中水溜まりに入ってしまい「つめたっ…」なんて言っていた。


一週間後の同じ曜日の同じ時間。また雨が降った。

少しだけ期待をして、私はまた店の軒下に雨宿りをしていた。

彼はまたずぶ濡れで登場する。


「いやー(笑)あなたに会う日はいつもずぶ濡れで…」

濡れた頭を恥ずかしそうにかきながら彼はそういった。

できれば上がってほしくない。そう思うが止まない雨は無いのだ。

「また雨の日に会うかも知れないですね(笑)じゃ、バイトなんで!」

彼が見えなくなるまで手を振って、私は家路にいく。

道にできた水溜まりに写った私はとても楽しそうだった。



それからなぜだか彼に良く会うようになった。しかし決まって雨の日だった。

「なんで雨の日にしか会えないんでしょうね(笑)」

たまたま雨の日に乗ったバスが同じだったとき彼はそういったそういった。

「雨は嫌いだったんですけど、あなたに会うようになってから雨が降ればいいなって思うようになったんですよね。。今度は雨じゃない日に会いたいですね」

私が首をかしげると彼は照れくさそうに頭をかき

「あ、一応…告白だったんですけど…分かりにくかったですよね(笑)好きです付き合ってください」

手を出す彼の手を握った。にしてもバスの中で告白されるのはビックリした。


3日後、初めて彼と雨じゃない日に会うことになった。

「今日はずぶ濡れにならないよ!(笑)」

髪型が少しだけ違って見えた。

遊園地に行き、ジェットコースターに乗った。

最後に水に飛び込むタイプのジェットコースターだったので、ずぶ濡れになる。

「結局、ずぶ濡れだ(笑)」

いつも通りの髪型になった頭をかく。


それから彼と会う日は毎回晴れが続いた。

「今度は晴ればっかだ、相合い傘とかしたくない?(笑)」

首を横にふる

「したくないのかよ(笑)でもまぁ、今日は雨降らなくて良かった。だって降ったら中止だもんな」

顔を合わせ笑いあう。

夜空に 大輪の(はなび)が上がる中、私は彼と初めてキスをした。





3ヶ月がたち、少しずつ会う頻度がすくなってくると少しだけ不安や不満を感じるようになった。

毎日していたラインも1日1回、2日に1回、3日に1回とどんどん少なくなっていく。


付き合ってから4ヶ月たったある日、彼から「今日会えるか?」とラインがきた。二日ぶりのラインだった。

慌てて返事をし、用意をして待ち合わせ場所にむかった。


待ち合わせ場所は彼と初めて出会ったあのお店の軒下にだった。

予定より早くついてしまい待っているとポツポツと雨が降り始める。

少ししてずぶ濡れで彼はやって来た。

「急に降ったな。おかげでずぶ濡れだよ(笑)初めて会ったときもそうだったね。」

懐かしそうに少し上を見上げ屋根から落ちるあまつぶを見ながら彼はいう。

「話なんだけどさ。何となくわかってるとは思うけど…その別れよう…?」

やはり別れ話だった。悲しくて辛くて、涙は雨のように落ちていく。気合いを入れてした化粧は落ち、次のデートのために買った服は涙で濡れていた。

「泣くなよ…。ごめんな。でももう…これ以上すれ違うのは嫌なんだ。嫌いになりそうで…」




それから雨が上がるまで思い出話に花を咲かせた。

「じゃーね!」

手を振って彼は歩いていく。




「私…またフラれちゃいましたね…。」

屋根から少しずつ一定のリズムで落ちる雨粒にそう呟くと家路につくことにした。


皮肉にも雨が上がった空には虹がかかっていた。












西日本豪雨の被害に遭われた方々。今は雨は怖くて恐ろしくて嫌なものかもしれません。

でもいつか、皆さんにとって雨が嫌なものじゃなくなるといいなって思います。

伝えるのが下手くそなので嫌な風に見えたらすいません。

1日でも早い復興を、そして皆様の幸せを願っています。

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