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第六話 孤児院からの移動




 さて、これからのことを院長の椅子に座りながら考える。基本的にこの治安の悪い場所からはさっさとおさらばして安全な場所を確保したい。

 だからこそ生活は基本的に海の上にあるウロボロスでいい。それこそ旅をしている間に無人島でもみつけて開拓すればいいだろう。普通なら大変だろうが、この世界は神様からの祝福が得られて超人のようなことができるのだし可能だろう。

 どちらにしろ、お金は必要だ。稼ぐ手段としてまずはいらない調度品は全て売り払おう。

 調度品を取り外して梱包し、運び出す用意をする。部屋を漁っていると机から書類がでてきた。それによると貴族が平民に生ませた落とし子なども引き取って売り物として育てているようだ。貴族は基本的に美しい人や可愛い人を取り入れているので、その血を引く子供も美形が多くて人気らしい。

 用意ができたので室内を移動していると、隙間風や雨漏りの跡をいくつも発見した。


「え?」


 食堂に移動すると一斉に俺をみて、身体を振るわせ女の子達。特に幼い子達は恐怖に震えて失禁する者までいた。心を読むと恐怖に支配されていた。働かされて捨てられるとか、いろいろと酷い内容だ。


「な、なんで……」

「えっと、お姉ちゃん……その……」


 アリアが近づいてきてくる。アリアの思考を読むとわかってしまった。子供達が俺達の後を付いてきて、あいつら排除したところをみられていたのだ。こればかりは仕方ないが

 、幼い可愛い女の子達に恐怖の目でみられるのは辛いものがある。

 しかし、統率をとらないと海の上ではもしもの時に悲惨なことになる。海は陸と違ってすぐ隣に死が溢れている。何かがおきれば歩いて逃げることもできず、簡単には逃げ出せない。遭難すれば食料や水の分配も決めないといけない。まあ、地球と違ってこちらならまだいくらでも方法があるから、そこまでしなくてもいいのかもしれないけどな。


「大丈夫です?」


 気が付けば隣にリディアと同じくらいの身長の、水色の髪の毛の女の子が横にいて、こちらを心配そうに声をかけていた。


「大丈夫ですよ」


 小さな可愛らしい女の子を撫でてから、アリアに顔を向けてからもう一度皆をみる。


「さて、決めましたか? このまま孤児院で過ごすか、それともでていくか。私としてはこのまま来ていただけると嬉しいですが、決めるのは自分でお願いします」


 周りをみても反応は少ない。まだ悩んでいるみたいだ。まあ、すぐには決められないだろう。


「……本当にお腹いっぱい、食べられる……?」

「ええ、温かい食事をお腹いっぱい食べられます。それに服も寝るところももっといいです。隙間風もありませんしね」

「あの、移動するということですが、全員いけるのですか?」


 メリルさんの質問に周りをみると、人数は27人くらい。はっきり言って二千人は軽く乗れる船だから余裕だな。


「これぐらいの人数なら余裕です。ですよね、アリア」

「はにゃ!? え、えっと、すごく大きいから余裕だよ……?」

「とりあえず、言う事をちゃんと聞いていれば安心安全です。まあ、少しは勉強して働いてもらいますが、将来のことを考えたら必要なことです」

「私、いくです」

「ボクも……」


 水色の髪の毛の子がいうと、次々と賛同してくれた。悪い事かもしれないが、それから外のことも説明してしっかりと考えてもらった。

 27人全員が一緒にくることになり、引っ越しの準備をすぐに終える。もともと荷物はほぼないので調度品を荷車にのせるぐらいですぐに終わった。




 その後は孤児院から全員で街中を移動する。いろいんなところから注目が集まるが、無視して商店街にある服屋に移動した。


「さて、ここで買い物をします。自分にあった服を買ってください。アリアは私の分もお願いしますね。メリルさんは全員をみてください。お金を渡しますので支払いをお願いします」

「わ、わかりました」

「お姉ちゃんはどうするの?」

「この辺りで食料を買います。ですが、まあ最初は一緒です」


 アリアと手を繋いで店の中に入る。最初は歓迎ムードだったが、すぐ後ろに孤児院の子達が入ってくると顔をしかめた。やはり、この街は程度が知れている。少なくとも私の白い軍服姿をみて、後ろの子達が関係者だとわかるだろうに。


「この子達の服を一人5着、下着なども合わせておねがいします。代金は原価に3割増加でお願いします」

「それはちょっと……」

「大量購入するのですからまけてください。嫌なら別の店にいきます。ああ、原価はしっていますからね」


 相手の心を読んで、その値段を告げると顔を青ざめた。他にも色々とお話しをすれば快く快諾してくれた。


「ああ、買った服はまだきませんからね。持って帰るので袋にお願いします」

「わ、わかりました……」


 うなだれる店主を放置し、女の子達に買い物を選ばせる。流石に孤児とはいえ女の子は女の子。お金を気にしなくていいと告げると楽しそうに選んでいっている。




 俺は外にでてから荷車を追加で購入し、そこに大量に購入した食糧を乗せていく。特に野菜と肉類を中心に購入した。ウロボロスは冷蔵庫や冷凍庫もちゃんとあるからだ。

 服屋を中心にして大量に買っているので、目立つが仕方ない。


「すいません。売れるだけ売ってください」

「わ、わかった」

「鍋ごとください」

「はい」


 いろんな店からある程度買い占めていると、向こうから売りにくる人もいるのでその人達からも買い取る。ちゃんと相手の思考を読んで相場通りの値段で購入する。どんどんお金がとんでいくが仕方ない。

 しばらく待っていると馬鹿がわいてくるが、大通りで襲うことは流石にない。むしろ、俺から金を受け取った連中をターゲットにしているので、放置する。こちらに実害がなければどうでもいい。取引が終わったのなら、あちらの責任だからだ。


「餓鬼が随分と羽振りがいいじゃねえか」

(見たことのない服だ。他国の奴か? どちらにしろ、ダンジョンで今日は稼げなかったから、儲けられると助かるぜ)

「まったくだぜ。俺達にも別けてくれよ」

(うまい事交渉できればいい。できなくても餓鬼なら恫喝すればいいだろ。護衛もいないみたいだし、このままだと襲われるのは確実だ。それにこんな大量の荷物だ。運んでやれば金がもらえる)


 いかつい武装した男達。どうみても野盗や強盗のようにみえるが、考えていることは納得できる内容だ。ダンジョンで儲けられなかったから、こっちで補填しようとしているだけだ。


「いいでしょう。雇ってあげます。護衛と積荷を運ぶのを手伝ってください」

「まじか。俺達の見た目で雇うのか?」

「まじです。数時間だけですが、給金は一人銀貨一枚ですが、それでよければどうぞ」

「やる!」

「俺もだ!」

「では10人ほど受け付けます」


 凄い食いつきがいいが、買い物で調べた貨幣価値はこうなっているので理解できる。


 鉄貨1枚  → 100円

 銅貨1枚  → 1,000円

 銀貨1枚  → 10,000円

 金貨1枚  → 100,000円

 大金貨1枚 → 1,000,000円

 白金貨1枚 → 10,000,000円


 つまり、1,2時間働くだけで日本だと1万も貰えるのだからやらないはずがない。

 協力者ができたお蔭で荷車の運び手もできた。ついでに二人ほど探索者カードを預かって、お金を渡して大量のロープや網を買ってきてもらう。この頃になると店から子供達がでてくる。


「買えましたか?」

「お姉ちゃんのもちゃんと買ったよ」

「それはよかったです。ではいきましょう」

「うん。みんな、いくよ」


 護衛の人達に子供達が怖がったりしたが、まあ無事に港に到着した。遠巻きに複数の人がついてきている。


「あなたは……」

「停泊料金はいくらですか?」

「あの大きさの船なら一日金貨2枚です」

「わかりました」


 前に声をかけてきた兵士に金を渡してから、超弩級魔導戦艦ウロボロスを召喚する。


「うそだろ……」

「うわぁぁっ!」


 虚空に穴を作ってでてきた巨大な戦艦に視線が集まり、驚愕したり、悲鳴をあげたりしていく。


「り、リディアちゃん! なんですかこれは!」

「これが私の祝福である船です。そして、これからはここが孤児院になります」

「えっ、えええええええええええええっ!」

「ほら、さっさと乗ってください」


 驚くメリルさんを無視してタラップを降ろして孤児院の子達を乗せていく。アリアにも協力して急いで乗せていく。護衛の人達に持ってこさせた積荷は全てウロボロスの倉庫に転移させて回収。これは中にはいれないためだ。


「すいません。少しお話が……」


 こんなことをしていたら、流石に湾を管理している兵士や騎士の人達やお偉いさんが集まってきて声をかけてきた。


「これは貴様の船か」

(このような巨大な船はみたことがない。我々が接収し、有効に活用すべきだ。しかし、他国のものなら危険だ。小娘に任されるような船ならば、量産されている可能性もある)


 特に偉そうな騎士がやってきた。面倒事しかない。


「そうですが、それがなにか?」

「どこの国のものだ」


 どこの国かと聞かれたら、日本と答えるのがただしいだろう。これは日本で作られたゲームのものだからだ。


「日本のジェネシスです」

(なんだそれは……聞いたことがない国だ)

「どこにある?」

「詳しい位置はわかりませんね。私はこの艦と共に転移してきたので」


 嘘は言っていない。リディアに転移させられてきたのだから、詳しい位置などしらない。


(これは好都合だ)

「だったら、さぞお困りでしょう。どうでしょうか、一度我が領主様と面会するために領主館にこられては……」

(その間に押さえてしまえばいい)

「お断りします」

「なっ!?」

「面会したいのであればそちらからきてください。こちらは用もなければ、困ってもいませんので」


 絶句している兵士を無視してタラップの方へと移動する。


「状況はどうですか?」

「お姉ちゃん、みんな乗ったよ」

「そうですか。では出港しましょう」

「まっ、待て!」

「待つ理由はありませんので、これで失礼します」

「我が領を、国を敵に回すことになるぞ! 大人しく船を渡せ!」

(いくらこの船が大きくとも、領主軍と国軍を合わせては相手もできまい)

「へぇ……なるほどなるほど。技術もろくに進歩していない未開の地の国が、ウロボロスに戦いを挑むのですね。いいでしょう。その喧嘩、買ってさしあげます」

「え? ほ、本気か?」

「本気ですよ。代償は国が焼け野原になることでよろしいですか?」

「は?」


 ウロボロスを操作して、ミサイルの発射シークエンスを起動する。ウロボロスの甲板の一部と横面に複数の穴が開いて大量のミサイルが発射される準備が整った。


「さて、宣戦布告を受けたので攻撃を開始しますね。一番から5番。撃て」


 甲板の方から複数のミサイルが発射されて、近くの崖に命中して大部分が消し飛んだ。その部分に大量の海水が流入していく。


「ミサイル、撃ってみましたが……照準を修正して再度放ちましょう」

「う、うそだ……ゆ、ゆめだ……これは夢……」

「安心してください。現実です。あと200発くらい連続でこの街に、国に、放ってあげましょう。よかったですね。国を滅ぼした大馬鹿者として名前が残りますよ」


 呆然として蹲っている騎士の耳元で可愛らしく、個人情報も含めて彼の家族や親族、その周辺の人達がこれからどうなるかも囁いてやる。


「うわぁああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 叫びながらのたうち回る騎士をみながら、ニコリと笑ってから見物人の人達へと顔を向ける。


「さて、皆様。皆様には申し訳ございませんが、何も無ければこの港町や国はこの愚か者のせいであと数日で消し飛びます。どうぞ逃げることをお勧めいたします。それでは、残りの生を悔いのなきよう生活ください。ごきげんよう」


 ちゃんと挨拶をしてからウロボロスに乗り込んで沖にでるように操船する。沖で停止して停泊する予定だ。


「あの、お姉ちゃん……」

「どうしましたか?」


 甲板にあがると皆がこちらを見詰めていました。


「ああ、さっきの話なら当然嘘ですよ。流石に私でもあの程度のことで国を焼くつもりはありません。軽いお仕置きですね」

「あれが?」

「メリルさん、なにか?」

「イエ、ナンデモナイデス」

「さて、この艦にいる限りは安心です。その証拠として今からデモンストレーションを行います」


 甲板の上でくるりと回りながらミサイルを200発、空に向けてぶっ放す。


「カーニバルです」


 まわりながらミサイルを乱打する。大量の爆発が空を彩り、綺麗なミサイルの花火を裂かせていく。


「綺麗~」

「お~」

「すげ~」


 子供達には大人気だ。どうせだから花火をみながら食事を配っていく。美味しそうに食べていく彼女たちにほっこりとする。

 食事が終われば甲板で全員、裸になってもらう。そして身体中を石鹸と水で洗いまくる。艦内に汚れた身体で入らせない。徹底的に綺麗に洗って黒い汚れがでないようになったら新しい服を着せて船内にある立ち入り禁止の場所と食堂を説明し、最後に居住区を案内して部屋割りをきめていく。ふかふかのベッドに大喜びだ。


「さて、片付けが終われば自由時間とします。甲板にでる場合はおちないようにだけ気を付けてくださいね」

「「「は~い」」」


 探検にでかけていったり、部屋で寝たり、お話したり、服を着替えたりと楽しそうだ。俺はアリアと一緒に自室へと移動する。ちゃんとアリアにも士官用の別の部屋を与えた。


「これがお姉ちゃんの服だよ」

「ありがとうございます。って、なんですかこれは……」

「お姉ちゃんの服だよ。可愛いよね」


 用意されていたのはゴスロリだ。正式名称はゴシックドレス。フリルがあしらわれた可愛らしい奴。これは基本的に左右が赤で真ん中が白。それに紫の色も使われている。花の飾りがついたヘッドドレスまである。着たくない。非常に着たくない。


「ほら、着替えよう。別にその服じゃなくてもいいんだよね?」

「ええ、まあ……」


 ご丁寧にジェネシスオンラインと同じアバターシステムが導入されているので、通常装備のモードとアバターモードとで変化させることができるようだ。


「しかし、私には似合わないかと……」

「そんなことないよ。それにお姉ちゃんが着てみたいっていってた服なんだよ」


 なん、だと。敵はリディアだったのか。いや、まあ……確かにリディアの容姿なら十分に似合う。とても可愛らしい女の子だしな。


「お揃いだよ」

「色は違うようですね」

「うん。アリアは青っぽいの。お姉ちゃんは髪色と合わせてそっちにしたよ」

「着ないとだめですか?」

「駄目。他の子に怖がられるよ?」

「はぁ……仕方ありませんね」


 渋々着替えて鏡の前に立つとゴスロリの派生である赤ロリ姿のリディアが写る。小さな身長と整った顔立ちでとても可愛らしいロリっ娘美少女。しかし、瞳の中は無機質で冷たく、表情も機械のように無機質で無表情だ。確かにこれは軍服姿だと威圧感が半端ないだろう。紫がかったピンク色の髪の毛を弄りながらそう思う。


「似合ってるよ」

「アリアも似合っていますよ」

「夢が叶ったね」

「そう、ですね。ですが、今の夢は別にあります」

「?」

「アリア達を幸せにすることです」


 その為に手段は選ばない。国を亡ぼすぐらいはやってのけよう。それこそ最低限の生産スペースがあれば他はいらないのだから消し飛ばしてもいいだろう。しかし、それはもったいない。いっそ世界征服でもしてみるか? 面倒でしかないか。もしやるなら、フィクサーがいい。配下に国を任せて旨味だけ吸い取る。不労収入は夢があるし。


「お姉ちゃんも幸せにならないと駄目だよ?」

「そうですね」


 後ろから抱き着いてきた可愛い妹を鏡越しにみながら答える。そう、俺はリディアと幸せになるつもりだ。ダンジョンを攻略して、こちらに呼び出すか移動する手段を必ず手に入れる。




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