恋心①
次の日の朝、本当に川上さんは来た。
「おはよー鈴音さん」
「おはよう。川上さん」
学校まで車で15分だった。
「じゃあ、行ってきま……」
ドアを開けようとした時、手を抑えられた。
「川上さん、?」
「……………。」
何が起こったか、分からなかった。
突然川上さんが目の前に広がった。
「か、わかみさん!!?」
「……いってらっしゃい。」
川上さんはいつも通りの笑顔だった。
私は車から降りて学校の中へ入っていった。
私のファーストキス……
****
バスの隣の席は杏だった。
「おっはよー鈴音たん。」
「杏テンション高いね……」
「まぁねー。てか鈴音顔真っ赤だよ?」
「き、気のせい!」
「何かあったのか〜?」
「べ、別に」
川上さん……何で私にキスなんて……。
『旅行ってことは男もいるのか。』
「……!!」
いやいや、まさか……そんなわけ……。
「鈴音?」
「あ、ごめんごめん。」
頭の中が川上さんでいっぱいだよ……
その日の夜、ホテルの部屋も杏と一緒だった。
「大浴場は使用禁止だから……部屋に備え付けのシャワーを使えってさ。」
「了解。、」
大浴場使用禁止でよかった。
この長い髪はウィッグだし、ウィッグ外したらもう大体蓮だって分かっちゃうし。
「じゃああたしから入るね!」
「うん!」
杏がシャワーを浴びに行った。
《コンコン》
部屋がノックされた。
「はーい、」
ドアを開けるとイケメンな男の子がいた。
「?」
「杏は?」
「今シャワーだよ?」
「、そか。」
そしてその男の子はいきなり私を抱きしめた。
「え、ちょ、離してください!!」
「ずっと好きだった。付き合って……」
「無理です!やめてください!!」
私はイケメンを突き飛ばしてドアを閉めた。
「……。」
あーゆーのは川上さんにしてもらいたかった。
しばらくして杏がシャワーから出てきた。
「開いたよ〜」
「はーい。」
私はシャワー室に入り、鍵を閉めた。
ウィッグをとり、シャワーを浴びた。
運良くそこにドライヤーもあるので、すぐに乾かした。
そしてまたウィッグを付けて、シャワー室から出た。
「あっ、ん、ちょ……」
杏の声だ。ベッドの方のぞき込むとさっきのイケメンと杏がベッドの上で寝っ転がっていた。
「あ、ん?」
私は声が出なかった。
「あ……鈴音」
「私……ちょっとロビーでお土産見てくるね……っ。 」
私は財布と携帯を持ち、部屋を出た。
《トゥルルルル……》
『はい、川上です。』
「川上さん、もう私帰りたいです。」
『どうしたの!?』
「友達がシャワー浴びてる時にいきなり男子に抱きしめられて、その後私がシャワーを浴びて出てきたらその男子は友達とベッドの上で抱き合ってました。」
『……』
「川上さん?」
『鈴音さん、荷物まとめて出てきてください。』
「え!?」
『心配で貴方がいるホテルの前のファミレスにずっと居たんですよ。』
「……分かった。」
私は慌てて部屋に戻り、荷物をまとめた。
「鈴音!?」
まだ2人は抱き合ってた。
「私帰るから。じゃあね!性夜を!」
再び部屋を出た。ロビーにいた先生にも帰ることを伝え、川上さんの車に直行した。
****
「はい、おつかれ〜」
安定の川上さんだ。
「おつかれ。ってか何でここにいたの?」
「言ったでしょ。心配だって。」
「……うん。」
「この近くのホテル予約とってあるからそこ行こうか。」
え、もしかしてこれって川上さんと泊まるの!?
私がさっき居たホテルよりも全然高そうなところのホテルに来た。
「荷物ちょうだい。持つよ。」
キャリーバッグは川上さんが持ってくれた。
「ここだよ。」
部屋のドアを開けてくれた。
「ありがとう。」
「いえいえ〜。鈴音さんはもうシャワー浴びたんだっけ?」
「うん。私はもう浴びてある」
「じゃあ僕か。鈴音さん僕のメガネ持っててもらっていい?」
「あ、はい。」
普段かけてるメガネを私に預けた。
メガネしてない川上さん…初めて見た。
……………私、川上さんのことが好きだ。