川上さんと私
しばらくすると、川上さんが来た。
「いってらっしゃい。」
2人に笑顔で見送られた。
私は川上さんの車に乗った。
「ごめんね。まさか小篠くんに喝入れられるとは……」
「ごめんなさい……」
「んーん、いいんだ。小篠くん家居たからご飯食べてないよね?」
「食べてないです。」
「じゃあどこか食べ行こうか。」
「あの、でも」
「ん?」
「この格好で大丈夫ですかね……」
どこからどう見ても芦原蓮だった。
「大丈夫だよ」
そう言って後ろから紙袋を出してきた。
「この中に全部入ってるから」
川上さんが運転してる間私は着替えていた。
「え、この服……」
ピンクのワンピースだった。
「ごめんね、それ僕の好みなんだ。」
「川上さんの……好み……」
ご飯食べに行くと言いつつ、着いたのは家だった。
「ここ、僕んち。」
「えっ。」
「まぁ、あがって。」
川上さん家にあがって、川上さんがご飯を作り出した。
「こんなんしかできないけど……」
と言って色んなものがテーブルに並んだ。
どれも美味しかった。
****
ご飯を食べたあとどっちも無言だった。
「鈴音さん」
「は、はい!」
「あの時の返事なんだけど……」
聞きたくない。怖い。
「……。」
「もういい歳してるしあれなんだけどさ。
僕と付き合ってくれませんか?」
「……えっ」
「ん?」
「ど、して……」
「僕、鈴音さんのこと好きだったんだよ。」
「いつから……?」
「君をスカウトした時から」
「……え?!」
「返事は?」
「……知ってる癖に……」
川上さんはニコッと笑い私を抱きしめた。
そして、あの時のようにキスをした。
「ごめんね、今まで黙ってて。」
「川上さんのバカぁ……」
私は川上さんの腕の中で眠った。