鈴音の覚悟②
「……川上さん……」
「え、嘘、芦原蓮!?」
突然前から声をかけられた。
「あ、佐藤七瀬さん……じゃなくて小篠さん」
「え、なんで俺のこと……もしかして松原さん?」
「あ、はい、そうです。」
「やっぱりか〜…このマンションなの?」
「はい。もうすぐそこです」
「え、俺んちの隣!?」
「え、」
「しょーちゃーん、待ってよ〜」
小篠さんが指を指したところから、MOEさんが出てきた。
「あ、わりわり」
「もう!」
素敵なカップルだな……
「あ、の!相談したいことが……」
****
私は小篠さんの家にあがった。(隣の部屋だけど)
「どうしたの?相談なんて。」
MOEさんがお茶を出しながら希風ちゃんのお世話をしていた。
「小篠さんもご存知の川上さんの事なんですけど……」
「あ、うん。あのドジでマヌケで天然な川上さん」
「私……川上さんの事が好きなんです。」
『なんと!?』
遠くにいたMOEさんも聞こえてたらしく驚いていた。
「この間学校で研修旅行があったんです。
その時、学校の人とトラブって、川上さんが心配でずっと私の泊まるホテルの前のファミレスに居たらしくて、それで川上さんと2人でホテル泊まって……」
「川上さんらしいな……俺らは高校の時修学旅行行かなかったからな。風呂が大浴場で俺入れないし」
「萌咲もね、しょーくんが行かないなら行かなーいって」
「で、続きなんですけど……
川上さんがシャワー浴びたあと私の事抱きしめたんです。『こーゆーことされたんでしょ?』って……。その後押し倒されてキスされて……。旅行行く朝もキスされたんですよ……」
「川上さん……」
「私、その勢いで告白しちゃって……」
「返事は?」
「帰ってきてないです。川上さんに電話かかってきちゃったので。」
「んー。川上さんのこと好きになる人って居るところから俺は驚きだな。」
「しょーくんそれはさすがに酷い笑」
「そんなことがあったから私、自分を見せるのが怖くて…」
「確かに初めてあった時髪長かったよね。今それウィッグ?」
「あ、いえ逆です。これ地毛で長いのがウィッグです。」
「え!?」
《ピルルルル……》
私の携帯が鳴った。川上さんからだ。
きっと明日のこと伝え忘れたってやつだ。
「貸して、俺がでる。」
小篠さんが私の携帯を持って違う部屋に向かった。
「ねえねえ蓮くん…あのね、1ついいかな???」
MOEさんが目を輝かせてこっちへ来た。
「あ、はい、なんでしょうか」
「萌咲ね、蓮くんの大ファンなの!!サインください!!」
「えっ!?」
「しょーくんの七瀬ちゃんも可愛かったけど、松原さんの蓮くんはカッコいい。」
「……/////」
「辛いかもしれないけど、頑張ってね?」
そういってMOEさんは私を抱きしめた。
「なんかこれしょーくんが見たらヤキモチ妬きそうだね」
「あはは、そうですね笑」
「松原さん携帯ありがー……」
小篠さんが帰ってきた。
『あ、』
「え、ちょ、え、も、萌咲……」
「しょーくん、松原さんは女の子だよ??」
「あ、うん。そうだよな、うん……」
「川上さんどうでした?」
「俺が喝入れといた。このあと話があるからって来るってさ。」
「え?!」
「川上さんとちゃんと向き合って話してみて」
「……わかりました。」
こうして私は小篠さん家で川上さんを待つことにした。