芦原蓮①
「ねぇねぇっ。今日のドラマ見た?」
「見た見たっ。蓮くんカッコよかったよね!!」
「ねぇ鈴音はどう思う?」
ギクッ……
「え、なにが?」
「だーかーらー!今人気の芦原蓮くん!」
「昨日のドラマ出てたじゃーんー!」
「あ……ごめんその時間お風呂入ってた……
ってかこんな時間!そろそろ帰るね!!」
ふぅ、危ない危ない。
私はある場所へやって来た。
「おはよーございまぁす。」
「おはよー。松原さん!」
申し遅れました、私の名前は松原鈴音。
19歳の専門1年生!
「松原さんの今日のお仕事はね〜」
この人は私のマネージャー。みんな知ってると思うよ。
だって過去にあの有名なモデルのマネージャーやってたからね。
「ねっ、川上さん。」
「ん?」
川上裕樹さん。26歳。
独身で彼女募集中。元佐藤七瀬のマネージャーさん。
「今日のお仕事は?」
「まず、着替えなきゃでしょ。蓮くん」
はい、そうです。私こそ今人気の芦原蓮です。
え?お前女だろって?はい、そうなんですよ。
あの七瀬さんと同類、男装女子なんです。
「今から着替えるからねーみないでよー?」
え、声が女だろって?実は私この声地声じゃないんです。
「あーあーあー…」
私、この声作ってるんです。元は声が低いので。
作らないと女の子らしくないしね。
「よっし、っと。」
私、地毛が短いからいつもウィッグ被ってるの。
この仕事を始めたのは高校卒業後。
だから私を知ってる人は専門学校にはいないの。
「蓮くん準備OK?」
「OKでーす。」
こうやって考えると、川上さんはそーゆー人を見つけることが得意なのかなーって思う。
「ね、川上さん」
「え、なにが?」
「男装女装させるの好きですね、ってこと。」
「なっ、僕が変態みたいなこと言わないの!」
26歳なのに彼女もいないし、19の私にからかわれるし。
「川上さん行ってくるね」
スタジオに入り、ドラマの撮影が始まった。
****
19時、撮影が終わった。
「蓮くんおつかれさまでした。」
「おつかれさまでした。」
スタッフに挨拶をして、事務所に戻った。
「川上さーん」
「はーい。」
「シャワー浴びてから帰りますね。」
「じゃあ僕準備しとくから行っておいで。」
「わかりました。いつもありがとう」
「(//・_・//)カァ~ッ…は、早く行っておいで!!」
川上さん、赤くなっちゃって。かわいい。
ドキッ……
「ん?」
何だろ、この気持ち。まぁいいや。
私はシャワー室に入っていった。