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1話
「また不審火か」
街中の交番から慌てて飛び出す警官は思わず心の声を漏らしていた。
駅の近くの雑居ビルのゴミ捨て場に駆けつけると、ビルの壁が焦げ、あたりに燃えかすが散乱していた。
「これで6件目だ」
合流した先輩警官は溜め息にも似た声で話しかけてきた。
「やはり、憂さ晴らしですかね」
「そう考えるのが妥当だろうな」
「ただ刑事課の同僚は事件が駅の近くばかりで起こっていることを気にしていたな」
「まぁ、あとは刑事課にまかせよう」
そういうと現場の周りにロープを張り、現場を保存する作業を始めた。後輩警官もあとに続いた。




