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目が覚めるとそこに堀内君が眠っていて、元旦特有のすっきりとしゃんとした空気がこの堕落した年末のままの私の部屋にも押し寄せていて少し驚いた。

「おはよう。」

「おはよ。」

目覚めて朝の挨拶をして、温かなお茶を入れた。実家の母が送ってくれたお正月のおせちセットを食べるかどうか聞いてみる。

「朝、おせちセットあるんだけど食べる?」

「ん、食べる。セットって何あるの?」

「えーと、栗きんとんに伊達巻、かまぼこ、黒豆、数の子に里芋じゃなくてあれ、あれの煮もの。」

「あれ・・・ああ、やつがしら!」

「それ。あとは・・・忘れた。まあ見て、食べましょう。」

冷蔵庫から取り出す前に顔を洗って服を着替えた。いつものようでいつもではない朝。それは元旦のせいだけではない。

「あ、モチ貰ってきたんだった。焼いていい?」

「食べたい。おモチ焼いて。」

「ん。」

突然、目の前から消えた人がすぐ横にいて普通にごはんを食べるという事実。昨日の夢は夢か、リアルか。むしろ居なかったことの方が夢のようだ。もう、よくわからない。

「ねえ。」

モチを並べる横顔に尋ねる。

「ん?」

「昨日の・・・。あれさ」

「本気だよ。」

「そっか。」

別れ話でもしたみたいに私達は黙りこくった。でも、今はこれが正解だ。浮気問題も解決していないし、春花のことも、まず昨日までどこにいたのかということも、ある。


 しかし、それらすべてがどうでもいいとも思える。恋ってきっとこんなものだろう。そして、こんなものだというから足元をすくわれていくのだ。

「ふふふ。」

思わず笑いがこぼれた。彼はどうした!?と驚いていた。こんな年始も面白くていいかもしれない。きっと続いていく。大丈夫。



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