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それをご都合主義という、のだろうか。

 私は、いや私達は自分の幸せをいつだって一番に追及して生きている。世界の平和が一番なんて言えてしまう人は自分が幸せだという状況を当たり前のものとして、当然ある物として考えているに違いない。自分が飢えて死に絶えそうな時に世界の平和が願えるものか。もちろん世界平和は大事だし、微々たる募金くらいしかしない私にしたら美雪たちのようにボランティアに勤しむ人たちは尊い。心から尊敬する。何が言いたいのかというと単純なことだ。私が春花に対して幸せになって欲しいと願うことも、春花が私の幸せを願ってくれていたらいいなと感じることも全部、私のエゴだっていうこと。私の考え方はいろいろ破綻していると思うけれど、とにかく私はそう思っている。

「浩樹。」

だから、最大限のわがままを彼にぶつけてみる。

「どした、葉月。」

きゅっと彼の服の裾を掴んで離さない。彼は私が甘えるところからのいちゃいちゃした時間の始まりだと思っている。


 あのね、私ね。浩樹と

「結婚したいの。」

誰よりも甘ったるい声で、シャーベットみたくさっぱり出来ない、とろっとろでベタ甘な声音で、私は、言った。告げた。放った。

「え。」

遅れて聞こえるのは衛星通信のせいではない。もちろん腹話術師の技でもない。ただ、彼の戸惑いのせい。

「結婚、したいの。」

「浩樹と。」

言葉を切って、言い聞かせるようにもう一度、丁寧にやさしく伝える。

「葉月。」

びっくりした顔をしている。私のことを見つめている。今、「嘘ぴょん。」とかなんとか言ってしまいたい。


でも、それは、なんだか。


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