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何日か経って連絡が来た。彼からではなく、春花からだ。
「葉月、もう起きるの?」
日曜日の朝、というよりかは昼も差し迫った時間。私の部屋の狭いシングルベッドの中で彼は言った。私は手にしていた携帯を閉じて彼に抱きつく。
「んーん、もう少し浩樹とこうしてる。」
「ん。」
細い指が私の髪を梳かす。額に落とされる小さな口付けで魔法がかかったみたいに幸福の中に埋もれていくのがわかる。
彼は春花のことについて一切、触れない。私も何も聞かなかった。聞かずとも春花から連絡が来るであろうことを知っていた。彼としては堂々と私に乗り換えたというのは気まずいものがあるのかもしれない。それも分からないけれど、構わない。多くの犠牲を払った私は、その代償として彼とのこの時間を得たのだ。浸れる時に幸せに浸っていたい。
「葉月。」
伸ばされる腕の中で幸せに浸る。私の指先に口付ける彼は私のことを愛していると信じていたい。
「どうしよう。浩樹くん私以外に好きな人が出来たみたい・・・。別れて欲しいって。もう私駄目かも。ちょっと怒っただけなのに、私がいけなかったのかな。今日とか予定空いてる?話聞いてもらってもいい? 春花」
「春花の話は私が聞いておくね。」
美雪からのあまりにも展開の読めたメールに苦笑する。本当に迷惑をかけ通しだ。しばらく、もしかするとこの先ずっと春花には会えないかもしれない。結局、私は自分の幸せを選んだ。恋に落ちるってきっとこういうことだ、と思う。
隣りで眠る彼の顔は清々しく美しい。もう午後もだいぶ過ぎてしまった。一緒に買い物に行こう、堂々と手を繋いで。
だって貴方は春花を捨てて私の彼氏になることを選んだのだから。




