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あの人、今どうしてるのかな?

作者: 竹仲法順

     *

 今がちょうど二〇一三年の年末だから、八年とちょっと前ぐらいになるが、初めて紙の書籍を出した時、メールや掲示板などを通じていろいろと言ってきた中年女性がいた。最初は同情していたようだが、徐々に批判がましくなり、やがて消息すら分からなくなってしまった。

 その人(名前は出さないが)は、ボクと同じようにブログを開設していて、熱心に創作のことなどを語っていたのだし、ネット掲示板などでもいろんなことを書き込んだりしていた。同じ出版社から協力出版で本を出していたので、意見が合うこともあったのが本音だ。

     *

 だが、その人、処女作みたいなものを一作出してから全然見かけなくなった。〝あれ?この人、作家辞めちゃったのかな?〟と思っていた。何かしら成功した物書きのことを気に掛けていて、全然水準に達してない作品をもう一作ぐらい書いたのが、なれの果てだったようだ。それ以降、めっきり見かけなくなったのである。

 掲示板などでも、ボクに対して<あなたの出版歴は皆無に等しいです>などと暴言を吐いておられた。別にその程度の人かなと思っていたのだが、実際、文芸には不向きだったのだろう。多分作家業は廃業されたんだろうなと感じている。

     *

 その人は明らかに戦線離脱した人。別に気にしても仕方ないと思う。逃げ出した人のことなんかいくら言っても、意味ないからね。〝ああ、その程度だったんだな〟と思っている。本職どころか、中短編の一作も書ききれない人は、作家などとは到底呼べないのだし……。

 別にどうでもいい書き手だったのである。そんな人のこと、今更どうのこうの言うことじゃないし、筆を折られたんなら折られたで、それでいいと思う。ボクなんかあれから何百もの――正確な数を把握してないから分からないのだが、下手すると一千作ぐらいに達するのかもしれない――作品を書き綴ってきた。あの人とは明らかに違う道を選んだのである。いわゆる多作というやつだ。

     *

 まあ、作家というのはアマチュアからセミプロ、プロまで数えきれないぐらいいるのだし、別に全員平等に売れているわけじゃない。実のところ、売れない作家の方が多いのである。ボクなんか、単なるネット作家だ。将来本職に慣れる道筋など、まるで立ってない。だが、どんどん書いていく。書き綴っていくうちにコツを掴めるからである。それに創作は永遠のテーマだ。そう思っている。

 ボク自身、文章の書き方はまさに独学だった。誰も教えてくれない状況からやってきたのである。今こうしてネット上で多数の拙作を発表できているのも、自分で自分に磨きを掛けたからである。他ならず、自力でやってきた。

     *

 他力本願というのは、何事においても実に危険。創作だと、創作学校とかそういった類のものに拘っているうちは、絶対に上達しない。それは断言できる。冒頭の女性作家のことに話を戻すのだが、おそらくその方もその手の学校で教え込まれたのだろう。そんな小手先のテクニックで創作が上達するはずがない。自分でテーマを決めて模索しながら書き綴っていく――、淡々としているのだが、それが愚直なようで、尚且つ一番の王道じゃないだろうか?  

 今のボクにとって、前述した人のことなんか、別にどうでもいいけどね。単に一作自費で出して、それも差して目に留まることなく、表舞台から消え去ってしまった人――、そうとしか映らない。それにもう八年以上前のことだから、あの頃の技術論などまだ浅かったなと思っている。今は当時より断然成長しているので、過去の自分がちっぽけに見えてくるのだ。ああ、あんなもの書いてたなとか、こんな作品出したよなとか……。

     *

 まあ、その人のことはどうでもいい。所詮、一日のうち、創作に充てられる時間はあったにしても上手く使い切れておられないのだろう。可哀想だが、同情の余地はほとんどない。自分で自分を苦しめたのである。原稿の一つや二つ書けなくて、プロになろうなどとは大間違いだ。本当のプロは数えきれないぐらいの原稿をものにする。それが自然。そうなれない人は、半永久的に職業作家になれないだろうね。別にボクもそこまで高みを望んでいるわけじゃないのだが……。

 ひとまず、昔ネット上で知り合った女流作家のことに関し、一筆書かせていただきました。もちろん、今はメールなどの音信も一切不通ですし、どうなさっているのかも知りません。まあ、どうお過ごしであろうが、こちらには一切関係のないことなのだが……。

 ではまた。

                                (了)


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